-- 「Your Imagination」はブライアン・ウィルソンのカヴァーですけど、オリジナルと言ってもいいようなハマリ具合で、このカヴァーも凄くいいですね。
YAMAKEN ハマッたっすよね! やっぱり凄いんだなと思いました。あの人はコーラス・モンスターだし、この曲はめちゃくちゃコーラスを入れましたからね。
KIKUO アルバムの中でもドキッとする曲ですもんね。いい位置に入れてますからね。
-- アルバムの5曲目という、わりと重要なポジションに収録してますよね。
YAMAKEN ほんとは後半に入れようと思っていたけど、あまりにも仕上がりが良かったんで。Hi-STANDARDで言うところの「The Kids Are Alright」(*ザ・フーのカヴァー)張りだったから、ここに入れちゃおうと。レコーディングする前はこんな感じかなと思ったけど、録ってみたら大化けしましたね。
-- この曲はブライアン・ウィルソンのソロ作『IMAGINATION』収録されてまさすけど、もとから知っていたんですか?
YAMAKEN レーベルの人に教えてもらったんですよ。みんなでいろんな候補を出していたんですけど、KIKUOの声に一番合いそうだなって。Hi-STANDARDの「LONELY」みたいな雰囲気にしたくて、一瞬でできましたね(笑)。
KIKUO 最初は歌ってて、大丈夫かなと思いました。曲の明るさと俺の歌がどう混じるのかなって。いざ歌入れするときは不安だったけど、コーラス・ワークとかプラスアルファの要素で曲がひとつにまとまったなと。
YAMAKEN キーが低いんだよね。KIKUOは基本ハイトーンなので、俺のコーラスはその下でやっているんですよ。でも「Your Imagination」は上でコーラスしてるんですよ、サビの部分だけ。それが意外と良くて、上でやってもいいんだなと。その分、俺は高いパートをやらなきゃいけないんですけどね(笑)。
-- SASAMORIさんはどうでした?
SASAMORI ドラムの話で言うと、初めて叩くようなビート感だったし、曲の作りも面白くて、サビで半音上がるんですよね。それも楽しかったですね。ヘンだけど、それを成立させて、超名曲にしているのは凄いなと。
YAMAKEN うん、あれは俺には作れないわ。
-- 曲を聴くのと、実際にプレイするのは全然違うと思いますが、カヴァーして何か発見はありました?
YAMAKEN 言ってもめちゃくちゃシンプルな曲なんですけどね。メロディなんて2個ぐらいしかないし、サビなんて連呼してるだけですからね。ただ、日本人だから歌謡曲で育っているんで、それとは全く違う要素が入ってるんですよ。だから、直接話してみたいですね。
-- ブライアン・ウィルソンと(笑)?
YAMAKEN はい。なんでこうした?って。歌謡曲はあんな転調の仕方はしないですからね。
SASAMORI しかもド頭のサビで転調してますからね。
YAMAKEN そう。サビの後半でも転調するなんて普通はやらないですから。一度、本人と話したいです。なぜそうしたんですか?って、理由を聞きたくて。
-- この曲に限らず、KIKUO君の歌も表現力が豊かになりましたね。
KIKUO そうなったのはYAMAKENのディレクションじゃないですかね。
YAMAKEN 違った?
KIKUO 1曲に対するアプローチの仕方を・・・毎回そこは試すんですけど、より挑戦して、いろいろやった気がしますね。自分の中のイメージも広がったのかなと。歌入れはわりと大変な作業で、技術的な部分は置いて、歌の表情はかなりトライしましたね。若干、声が掠れてもいいのかなって。キレイな声で艶のある感じが俺のヴォーカルだと思っていたけど、それは残しつつ、ハミ出してもいいのかなって。
-- ああ、なるほど。それと「Mistake」もド直球メロディック・パンクですね。
YAMAKEN パンク・ロックの色を強くしようと思って、すぐに作った曲ですね。
SASAMORI 多分、俺が入って最初に作った曲ですね。
-- そうなんですね。ベース始まりのイントロからニヤニヤしました。
KIKUO この曲もSASAMORIのビート感だからできたのかなと。
YAMAKEN 直球な曲って、プレイヤーとしては面白くないんですよ。だけど、ドラムに合わせて、楽器を弾いて、メロディを歌う。メロディック・パンクの根底の良さが出てる曲なので、そういう意味では楽しかったですね。いろいろやってきたからこそ、こういう曲もできるのかなと。確か俺が目立ちたいと言って、ベース始まりにしたんですよ(笑)。シンプルをテーマに作った曲ですね。
-- 今の耳で聴くと新鮮だし、すごく良かったです。
YAMAKEN そうですか? 俺はアルバムに入れる候補になかったんですけどね。おまえは入れてた?
SASAMORI 入れてました(笑)。
YAMAKEN ストレートなんですけど、アルバムの中で聴くと、それがいいフックになってますからね。