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--……どうしよう、他にもう聞くことなくなっちゃった。
K もっと話を聞いてもらわないと困るなぁ。じゃあ、こっちから一方的に話すっていうのはどう?まず、アンドリューから。俺達が何を考えて作品を作って、どういうつもりでツアーをするのかっていうアティチュードをさぁ。
A そういえば、Slayerの、あの人。
K Jeff?
A が、亡くなったじゃないですか。ちょうどそのタイミングにSlayerっぽい曲が出来ちゃって、「これはなんかあるな」みたいな。
I このアルバムは追悼アルバムみたいな側面もあるっていう。
K ああ、そういえばそんなこと言ってたことあったねぇ。忘れてたけど(笑)。
A そういうのを意識してドラム叩いたりとか。
K 曲作りの最中にSlayerのJeff Hannemanが亡くなったわけよ。それで、逆に「あのオリジナルSlayerは帰ってこないわけだから、思い切ってSlayerスタイルでできるな」とか、そういう吹っ切れ方もしたな。
--それはどの曲ですか?
K 「Pride VS Pride」はそうなんじゃないかな、ギターに関してはね。早いピッキングでリフを弾くっていうね。
A 「Right Here, Right Now」もちょっと入ってますよね。
K そうね。
I 「Quicksand」は、メタルの人が……
K ああ、そうね。ドンズバすぎてメタルの人がやりたくても出来ない刻みを俺らはやれちゃうっていう。「Dough Song」もそうだよ。あれもハードコアとかクロスオーバーとかが好きな人が出したくても出せないリズムだからね。
--それってどういうことなんですか?
K たとえば、「ガッ、ガッ、ガッ、ガガガガッ」ってリズムは、S.O.D.もやってるしMurphy's Lawもやってるのね。だから、メタルとかハードコアが好きな人には一発で分かる感じなのよ。だから俺も、自分のオリジナル曲として出すにはミュージシャンシップが許さないと思うのね(笑)。でも、BBQだとポジティブにやれちゃうの。途中で速くなるところもSuicidal (Tendencies)っぽいしさ。
--BBQだと音楽的にそれほど制限をかけなくてもいいって感じなんですか?
K そうね。でも、それなりに制限はあるんだけどね。自分なりには「これやっちゃったら、ちょっとモロすぎるなぁ」とかはあるんだけど、結果的に制限してないように聞こえる。他のハードコアバンドとかメタルバンドが手ぇ出したくても出せないところを俺らは出せちゃうから、けっこうブッチギリ感はあると思う。 (↗)
--それでも、「これはモロ過ぎてダメだな」って思うところがあるんですよね?その境目ってどこなんですか?
K ドンパクかドンパクじゃないかってことじゃない?
一同 (爆笑)
H 物を作るのはゼロからじゃないってことっすよね。
K そうそう。
A ケンさんがリフ作ってて、「あれ?これ、キーが一音下がったらアレと一緒だなぁ」みたいな時はすぐにひねって。
K 「大至急、ひねります!」
一同 (笑)
I ホンゴリアンが歌えば、全部BBQになるんで。
K それがデカいね。
--ホンゴリアンって何か変わりました?
K いや、変わってないね。バンドのメンバーとして見ると何も変わってない。相変わらずリズム感は悪いし。スタジオでね、「いや、それはそうじゃなくて、こういうリズムだから。ちょっと“食って”入って」って言っても通じないのよ。
--未だに?(笑) 分かんないの?
H うん……。
K ほんと、びっくりするぐらい変わらないよ。イソもね(笑)。イソなんてね、今回すごいこと言ってたよ。ちょっと刻みが難しい曲があってさ……
I (爆笑)
K 本当はベースもユニゾンで刻んで欲しかったんだけど、イソが悩んで悩んで悩んだ挙句に「俺は刻まないことにしました!聞いて下さい!なぜならー!ユニゾンで合わせない方がちゃんと聞こえるからです!」って(笑)。焦るっしょ?たぶん、普通のバンドだったら「おまえ、クビだ!」ってなるよ(笑)。
--でも、変わらないってのも才能ですよね。
K そうね!俺は時々言うんだけど、この2人がバンドをやってる気になったり、“プロ”とかそういうことを考え始めたら、俺はこのバンド速攻辞めるね!
--ホンゴリアンは今回のアルバムを通して訴えたいこととかあるの?
H あるわけねぇじゃん!
一同 (爆笑)
H なんだろうなぁ、そういう感じを出したら絶対カッコ悪くなると思いません?だから、デザインで好きなことやらせていただいてます。
K 音楽で訴えるつもりは元々ねぇってことよな。だって、かわいそうだと思うよ。ホンゴリアンなんてさぁ、立ち姿がみっともないから面白いわけじゃない?
--自分で映像観てどう思うの?
H いや、いいんじゃないすかね。
一同 (笑)
--みっともないとは思ってないと。
H いや、みっともないとは思うけど、最近慣れましたね。
I 全力だからね、とにかく。
H うん、そうかも。俺、別に人の上は歩けないし。
一同 (爆笑)
K ハンパねぇ!でも、できっかもしんないよ?ボッコボコにされると思うけどね(笑)。その代わりに、アンドリューが棺桶状態になって人の上をつぅ~っと気持ちよさそうに。俺、イントロとか弾いてんだぜ?(笑)なのに、アンドリューはお客さんの上にいんの。
I アンドリューはスキ見せるとすぐ(客席に)行っちゃうからね。名古屋で1曲だけ飛び入りした時も、曲のケツのところで「なかなか終わんねぇな~」ってアンドリューの姿を探したら客席の中にいるっていう(笑)。
--アンドリューはそこでなんで客席に行っちゃうの?
A いや~、俺、自分のことをフロントマンだと思ってやってるんで。
一同 (爆笑)
A ボーカルよりも目立とうとしてる。(ライヴの)打ち上げとかでもよくドラムだけで集まってたりするじゃないですか。俺、あんな輪にいたことなんて一回もないし。あの輪にいる奴らってのは、ライヴでもたいてい後ろで目立たないように一生懸命叩いてますよね。ライヴ前に楽屋でパッドを「トコトコトコトコトコトコ…」って。
一同 (爆笑)
K アンドリューね、ライヴ前にスティック握らないのよ。
--へぇ~、なんで?
A だって、ドラムがないのになんで握んなきゃいけないの?って。ライヴ前にピックだけ持ってる人なんていないじゃないですか。
K そこら辺は横山のアティチュードと近いのよね(笑)。俺、Ken Bandでも全然ウォーミングアップしないのよ。けっこう周りにもびっくりされるんだけどさ。それはでもさぁ、エレキなんだから、弦を触ればバーン!って音は出るし、マイクの前で口を開けばアー!って声は出るわけじゃん。それでよくねぇ?みたいな。 (↗)
H ああ、でも、それ、思う。(ボーカリストでも)タオル咥えてる人とか、マスクしてる人とか、どうなんですかね。
一同 (爆笑)
H (タオル咥えてるフリをしながら)「ああ~っ!」とか言って。
K それもね、人によっては良いんだろうけど、うちらはたまたまそういう感じじゃなかったのかな。
--話を聞いてると色んな人の顔が頭に浮かんでくるんですけど(笑)。
A 練習しまくっちゃってるヤツになんて、ライヴ中に目ぇいかないすから。全然。かっこ良くないし。毎日毎日、パッドを“トコトコトコトトココトコ……”
一同 (爆笑)
A 「そんなにすげぇドラムやるんだ!」と思ってライヴでそいつのこと観てみても、なんにも思わない。他の人に目ぇいっちゃうし。
--そういったイミでアンドリューが好きなドラマーって誰かいる?
A あんまりいないっすねぇ。ハードコアの先輩とか、そっちの方しかいないっすね。
--そっかー。
A だって、俺のドラムって目ぇいきません?
一同 (爆笑)
--いくいく。
A そういうことなんですよ。目がいかないドラマーに限って、打ち上げで輪になってる。
一同 (爆笑)
K ヤバい、その分析。じゃあ、次はイソちゃんかな。
--何かアピールしたいポイントがあれば。
I まぁ、ツアーはソールドアウトするし。
K 対バンも決まってないけど(笑)。
I 対バン決まってないけど(笑)。そうですね……何かあったかなぁ?まぁ、ダイシくんがなんでピザを辞めたのかっていう。
一同 (笑)
I 俺がBBQ CHICKENSのメンバーとして一番言いたい、というより聞きたいことは、ダイシくんがなぜピザオブデスを辞めたのか、そしてなんでここでインタビュアーをやっているのかっていうこと!
H なんか、最初っからそこに引っかかってるよねぇ(笑)。
I ネタだからね(笑)。
K 俺も聞きたい(笑)。
A BBQと全然関係ない(笑)。
K (流れをぶった切って)このアルバムってちゃんと世の中に響くと思う?
--物好きには響くと思いますよ。ただ、潜在的なリスナーはもっといると思うんですけど、そこまでは届かないのかなっていう惜しい感じはありますよね。
K 何が惜しいのかな?それは。
--何でしょうね?BBQはちゃんとやってるバンドじゃないからじゃないですか?
K やってるわ!(笑)
--でも、自分たちの存在を知らしめるために、戦略的に“こんなことやってあんなことやって”ってバンドじゃないじゃないですか。 (↗)
K それは露出ってイミで?
--露出ってイミで。でも、そういうことをするのはかっこ良くないじゃないですか、BBQって。
K じゃあ、これがBBQの限界だと。
--そうかもしんないっすね。
I (爆笑)「限界っすね」って言われちゃうインタビュー(笑)。
一同 (爆笑)
I でも、戦略的にやったら楽しくなくなっちゃうからね。
--そうそうそうそう。普通の考え方でいったら、「ホルモンと対バンしたらいいんじゃねぇか?」みたいなことになるけど、それも違うじゃないですか。
H じゃあ、俺がタオル咥えて、マスクしたりして、「ああ~!」とかやってたらどう思いますか?
K もういいじゃねぇか、その話は(笑)!やりたくてやってんだからいいじゃねーか!
H いや、俺がやったらどう思うんですか?っていう話。
K やれるもんならやってみろよ!
一同 (爆笑)
--普通に「ホンゴリアン、何やってんの?」って聞くと思うけどね。
I (爆笑)「それやって落ち着くの?」みたいな。
--難しいですよね、BBQの見せ方って。
I (急に)だから、ダイシくんはなんでピザ辞めたんですか?(笑)
--……それに関して言うと、ピザを辞めてから時間が経って、自分の中ではっきりしたことがあって。
I 「俺、やっぱパンク嫌いだったな」って?
一同 (爆笑)
I 「俺、やっぱりB-BOYだったな」っていう。
--(無視して)まあ、理由のひとつは、もっと色んな音楽に首を突っ込みたいっていうことで。
H ダイシ語る、みたいな(笑)。
I ここ、絶対使ってくださいね!なぜかインタビュアーがインタビューされてるっていうのが大事なんだから。
--まぁ、真面目な話、50、60になってもパンク一筋で生きていくのって……
一同 (爆笑)
H 横山の目の前で!
I 「50、60になってもパンク一筋」(笑)。
K それじゃあ、50、60で辞めれば良かったのに。バカだな~。
--違う違う!他にも好きな音楽がたくさんあって、首突っ込みたいなと思うものもいっぱいあるのに、その気持ちを抑えこんだままずっとパンクのままでいるのが自分的にちょっともったいないなっていう。
K ああ…。じゃあ、今はその辺、首は突っ込めてるの?
--突っ込めてます。アイドルの仕事ももらえるようになったし。
K 良かった。ならいいよ。
I ヲタ道を邁進してるわけですね。
--でも、そればっかじゃなくて。今でもまだやりたいことが全部できてるとは思ってないから。J-POPとかもやりたいし、宣伝制作もやりたいし。
I 良かったじゃないですか、本当に。ピザ辞めて良かったじゃないですか!
一同 (爆笑)
--あともうひとつの理由は、単純にめっちゃ疲れたなっていう。その2つが大きな理由かな。
K 俺には“横山に愛想が尽きた”としか聴こえないな!
--いやいやいや!そんなことはないです!
I あれですよね、かわいいコを相手にしないと元気も出ないっていう。
--いやいやいや!
K 何がMEANINGで、何がSLANGだってことだよな!
--いやいやいや!でも、ピザもハードコアバンドが増えちゃって。
I こないだカムバック(Comeback My Daughters)の現場に行った時に、ピザがSANDを出すことに対してみんなびっくりしてましたね。「SANDやるんだ!?」って。
K なんで?
I SANDはその界隈では相当な存在なんで。「ピザ、どうすんの?ピザはどこに向かうの?」ぐらいな反応だった。 (↗)
--へぇ~。カムバックのメンバーでもそんな反応なんだ。
I カムバックは昔からの繋がりがあるじゃないですか。
--ああ、そっか。
K こないだRush Ballに行った時にさ、顔にイレズミが入ってるヤツがいきなりさ、「俺、(SANDの)マコトさんのクルーなんです」って。
一同 (爆笑)
K 「こいつ、怖ぇなぁ。なんなんこいつ?」とか思ってたら、「◯◯って名前出してもらえれば分かると思うんで」って。
一同 (爆笑)
K 怖いわぁって。
--他にピザから出したいって思う良いバンドはいないんですか?
K いや、いるよ?いるにはいるけど……
--タイミングですか?
K そうそう、タイミングとかね。
--でも、ハードコアにすげぇ寄ってってんなって。
K いやいや、全然そんなつもりはないのよ!ポップパンクっていうか、メロディックパンクもやりたいよ。
--ふーん。アンドリュー、最近良いバンドいる?
A 大阪で、2世代下ぐらいの若いコたちでひとつのシーンが出来てきてたりとか。
I 若いシーンってあるんですよ、実は。
A ちょっと芽が出そうなのも数バンドいるとは思うけど……。逆にそういうのがいないと困るってのもあるし。次の世代を誰が引っ張っていくのかっていう。
I 今、メロディックパンクがマイノリティ化してんすよ。
--ね。それはすごいそう思う。
I そうなんだけど、新しいシーンはあります。
K 今売れてるって言われてるバンドのサウンドにどうもピンと来ないんだよね。
A Crossfaithとか、あっち系は盛り上がりを見せてるけど、みんな外国行っちゃうから。向こうのけっこうデカいバンドとツアー回ったりとか。
--BBQが一緒にやって面白いと思えるバンドがいないってことですよね、ツアーの対バンが決まらないっていうのは。
I 同じようなアティチュードのバンドがいないっていう。
K 人はそれを“悲劇”というよね。
一同 (爆笑)
I かっこいい(笑)。
--だから、BBQが伸びないのは一緒につるめる仲間がいなくなっちゃったからっていう。
K たしかにね。
H 前のツアー組む時にもそれ言ってたよね。「バンドいないよね…」みたいな。
--にしても、BBQは久しぶりに動くんだし、「こんなバンドとやったら面白いんじゃね?」みたいなのがたくさんあってもよさそうだけど。それすらいないってことだもんね。
H う~ん、マネージャーがねぇ……。
I もちろん、対バンとしてアリなバンドはいるんだけど、「それはツアー(で対バンすべきバンド)じゃない」とか。で、出てくるのがダンサーとか。しかも、片田舎の(笑)。
--ヤバいよねぇ。横山さんは何かあります?今回のアルバムを通じて。
K このアルバムって、元々「前と同じの作りゃいいんじゃね?」っていうところから始まってるんだよ。普通のバンドなら絶対NGじゃない?「これ、前のと同じじゃん」って思われたくないから工夫するんであってさ。本当はそこが“ミュージシャンシップ”と呼ばれるものだと思うんだけど、俺らにはそれがないからね。アルバム自体は真面目に作ったけど、発想が全部ナメてるんだよ、BBQ CHICKENSは。
--俺、最近思ったんですけど、ずっと同じことを出来る人たちって、同じことをやってもお客さんを満足させることが出来る人ってことなんじゃないですかね。
K そうね。それだけのテクがあるってことよね。クリの触り方にも数種類あるみたいな(笑)。
--たとえば、スピッツだってaikoだってずっと同じことをやり続けてきてるわけじゃないですか。それで、それを喜ぶお客さんがいるっていうのと同じようにBBQも。
I スピッツ、aiko、BBQ CHICKENS。
K いいね、今の答えはすごくいいね。 (↗)
I 分かってくれるのはたぶんダイシくんぐらいだけど。
--BBQもそういうことなんじゃないのかなって。アルバムごとに「今回はそこまで好きじゃない」とかあるけど、だからってファンじゃなくなるってわけじゃなくて。「好き」がまず基本にあって…。
K あー、BBQはその域ってことー?かっこ、ニッコリ笑いながら。
一同 (笑)
--ていうことじゃないですか?BBQ CHICKENSって。だからこそ、「こないだのアルバムはそんなに好きじゃなかった」って言えるし。だから、定期的にアルバムは作って欲しいなーって。
K やっちゃう!?
一同 (笑)
I 今度のツアー次第ですかね。
--……わ、けっこう喋ったなぁ。まぁ、こんなもんすかね!
K 全部文字にしてね。
I 自分のこともちゃんと書いてくださいね(笑)。
--大丈夫ですか?「これ言っときたい」とかないですか?
K や、けっこうだいぶ言ったかな。
--大丈夫?
I 大丈夫。
--大丈夫?
H あ!(CDジャケットの)帯デカいです、今回。
--え、いつもよりも?
I BBQの作品といえば、伝統の帯裏が。
--それは狙いがあってのデカさ?
H まぁ、コンセプト通りです。
--どんなジャケットなの?
H かっこいいんじゃないかな?
~ジャケットを含め、アートワークの色校を見る~
--(大爆笑)
K ……俺、正直言って、もうやりたくなかったんだよ?でもさ、うちのカミさんがさ、責任感じててさ。あの写真、毎回カミさんが撮ってるじゃない?で、「そろそろ時期なんじゃねぇん?」つって。「◯で◯◯◯◯◯せられや」って。
--よし、それじゃあ、これでシメさせてもらいます!
一同 おつかれさまでした~。
INTERVIEW BY 阿刀 “DA” 大志
PHOTO BY Teppei Kishida