FOLLOW UP(表紙)
・・・6/26配布
GIGS
・・・6/27発売
ROCKIN'ON JAPAN
・・・6/30発売
実話 マッドマックス
・・・7/1発売
音楽と人
・・・7/5発売
Rolling Stone 日本版
・・・7/8発売
Ollie
・・・7/14発売
MUSICA
・・・7/15発売
BOLLOCKS(表紙)
・・・7/15発売
indies issue
・・・7/26発売
CONTRAST
CD Journal
——改めて知りたいんですけど、世の中で起こっている惨劇、虐げられる子供たちのことを、KOさんがずっと歌い続けている理由って何でしょうか。
KO なんだろう? 普通に子供好きだしね。自分にも子供いるし、ウチの親に言わせれば妹の存在が大きくて。妹はもう9コ10コくらい年離れてて、ほんと小学校の頃はおんぶして妹を公園に連れてったりしてて……なんか話ズレてる気がするけど(笑)。 でも子供が普通に好きだからかなぁ。あとは、やっぱ無関心っていうか「こんなこと起きてんのにお前らこっちで笑ってんの?」っていう感覚はすごくあるか な。別にその、笑ってる奴の髪の毛捕まえて「これ見ろ!」っていうつもりはないけど、実際に起きてることをそのまま「ほら」って見せるみたいな、そういう 感覚はある。
——悲劇と向き合い続けるのって、キツくないですか。
KO キツい。おかしくなってくる。さいきん俺アタマおかしいもん。昔からだけど(笑)。でもほんとに病んでくる。そういう時は髑髏屋とか行って……髑髏屋って壬生狼のヴォーカルの近藤ヒロシがやってる居酒屋なんだけど、そこで全然関係ない野球の話とかされて「そういうのほんとウザいんだけど」とか言って、だいたい口喧嘩になるっていう(笑)。
——シャレにならない時もあるんじゃないですか。正視に耐えない、ギリギリのところと向き合い続けてるわけだから。
KO そう。でもここ一年は逆に震災で……もちろん震災でもすごい落ちたけど、支援することで逆に夢中になれて、それは良かったのかな?って部分もある。自分が救われたっていうか。忙しくなったし、自分の悩みとかそういうことよりも、まず先にこれやらなきゃっていうものがあったから。俺普段そういうドキュメントとかばっか見てるしね。まぁバラエティも見てんだよ? ダウンタウンとか。
一同 (笑)。
——KOさんのこういう性格、思想っていうのは、メンバー全員が共有してるものなんですか。
KIYO 基本的にでも、みんな納得する部分あるよね。実際動いてるし、それだけ説得力があるから。
SAKUMA 俺らも震災の時、何かしてあげたいけど何したらいいのかわからないとこがあったんですよね。で、実際目の前で動いてくれて、カウンターアクションに荷物が いっぱい届いてたのも知ってるし、それを俺も一緒にトラックに積んだりして、札幌のみんなでやったんで。そういうのは共有できてるかなって。
KIYO けっこうね、あぁ…って思うんだけど、やり方わかんない人がいっぱいいるんですよ。そこでKOちゃんきっかけになってやり始めた人、やれた人、いっぱいいると思うから。
——隣で見ていて、何が彼を突き動かしてるんだと思いますか。
KIYO 性格じゃないですか? ほんと性格だと思う。
KOHEY何かしたいと思ったらやる、っていう性格ですよね。それから始まったことじゃないですか、カウンターアクションも、全部。
KIYO 自分で言ってたけどね、おせっかいなの(笑)。いいおせっかい。KOちゃんはおせっかいだから。
——わかりました。では最後、今回のアルバムをピザ・オブ・デスから出す経緯についても教えてもらえますか。
KO あのね、俺がスラングでギター弾いてた頃からその話はあったの。数年後から俺のとことも流通会社が同じだったし。ハウリング・ブルの小杉社長に「お前もレーベルちゃんとやっていけよ。今度ハイスタのアレで流通を立ち上げるぞ」って当時誘われて。もともと健ちゃんとも仲良かったけど、そこで改めて流通を紹介されて。その頃から健ちゃんは「オレにやれることあったら言って。KOちゃんが出したいっていうなら、いつでも力になるよ」ってずっと言ってくれてて。で、俺がヴォーカルになる前、じゃあ次はピザからやろうかって感じで実際に曲作りもした時もあったんだけど。
——へぇ。もう10年以上前にそんな話が。
KO うん。でもそこでバンドが(ヴォーカル脱退などで)バーンとなっちゃって、俺がヴォーカルやることになって。それで作った最初の『SKILLED RHYTHM KILLS』はね、あまりにも俺のスキルがなさすぎて。
KIYO 『スキル~』のスキルが(笑)。
KO あまりにも俺が下手すぎた。当時は俺もヴォーカルなんて上手くなるもんじゃないとも思ってたし、個人練習するとか何か努力するっていう発想もなかったぐら いで。で、健ちゃんは会えばいつでも「力になるよ、次どう?」って話してくれるんだけど、俺はちょっと恥ずかしいっていうか、「いや、人のとこからはでき ない」って言ってて。でも今のメンバーになった時から意識が変わったのかな。俺も個人練習するようになって歌い方も変えられたし、『SKILL~』の時よりは声も出せるようになって。それで『IMMORTAL SIN』作ったんだけど……あれが08年か。その頃はなんか、健ちゃんとはそんな会ってなくて。年に一回電話するくらいで。彼も北海道ずっと来てなかったし、初めてKEN BANDが北海道来たのが2010年だったのかな。俺らが前作の『LIFE MADE~』を出すか出さないかぐらいの時。そっからまたしょっちゅう会うようになって。だから10年くらいのタイムラグがそこでなくなって、それで、ようやくタイミングが来たというか。
——具体的にはどんな話をしたんですか。
KO や、もう、去年8月と11月に被災地まわるツアー誘ってくれて、8月にも同じ事言ってくれて。んで、11月にまた会った時に「なんか曲もバラバラあって、次イケそうかも」って言ったら「…やっちゃう?」「…やっちゃいますか」(笑)。ただそれだけなんだよね。
SAKUMA あれって東北で決まったんでしたっけ。
KO 大船渡で会った瞬間に。KEN BANDの“We Are Fuckin’One”ツアーの時に「内容的に今までより面白くなんじゃねぇかなぁ」「じゃあ…やっちゃう?」っていう。もちろんウチもピザから出すつもりで曲作ってたわけじゃないんだけど、これは俺と健ちゃんの中ではずっとあった話。お互い何かあったら何かするよ、っていうただの友達の約束みたいなもんがお互いの中にずっとあったんだね。
——今までストレート・アップでやり続けてきた歴史、プライドみたいなものに足を引っ張られる感覚はなかったですか。
KO いや、それよりね、ちょっと勉強してみようかなって。俺、健ちゃんには数年間会ってなかったけど、ピザのスタッフとはよく会うの。しょっちゅうどっかで誰 かには会ってて、ピザの人間の仕事ぶりは傍で見てきたし。俺も自分で店やレーベルやって従業員も使ってるけど、そういうの好きなスタッフにはいつも「ピザ から学べ」って言ってるんですよ。ピザ・オブ・デスだけじゃなく、ハワイアンとかブラフマンとか、ああいうチームの仕事の出来っぷりを。それを学べと俺は 常々言ってるし、ウチの奴も憧れてるのね。その、スタッフとしての在り方みたいな。だけど俺らは立地的にもアレだし、北海道の中でも孤立無援だから。カウ ンターアクションっつうのは、北海道の業界とかテレビなんかとはもう絡みがないし。で、もっと俺自身も東京発信でやってる大きい世界を勉強したいっていう のが純粋にあった。自分とこが......っていう感覚なかったって言ったらウソになるけど。
——なるほど。
KO だから全部流れ、タイミングかなぁ。あと、今まで声かけてくれたレーベルでピザが唯一やってなかったとこなの。H.G.とか三枚同時(H.G.FACT/MCR COMPANY/BLOOD SUCKER RECORDS) で7インチ出した時も、ずっと前から約束してたことだったし。唯一ピザとはやってなくて、でもいつか必ずやるとはずっと言ってて。健ちゃんには、ピザから 出すまではバンド解散できないし、いつか納得できる作品ができたら必ずやるって言ってたから。で、今こういうタイミングで決まったけど……要は震災あんま関係ないんだよね。この地球上で唯一SLANGを長年に渡ってさそってくれてたのが健ちゃん(笑)。まあ「震災!震災!」ってアルバムなりこの流れなりが言われるのは最初からわかってたけど、そう映ることが逆に次のネックになって来るだろうぐらいの覚悟は最初からしてるよ。
KIYO タイミングだよね。縁というか。
——でもこのアルバムはピザから出るべきだと思います。今この時期に、より大きな話題になるべき作品。
KO 前作や、前々作のことを健ちゃんが去年8月の時点でそう言ってくれたのは嬉しかったかな。「今こそスラング聞くべきだと思うんだよね」 みたいなことを。で、俺らも活動を広げたいっていうと語弊があるんだけど、バンドとしても会社やレーベルの経営者としても、俺自身がもっといろんな経験し て成長したいなっていうのもあって。ただ、やると決めるにあたって一応俺も「今までで最もえげつないよ?」って確認しといた(笑)。
——ははは。容赦ないですよ、と。
KO ほんっとえげつない! でも「全然大丈夫。ウチは自主制作レーベルだからそんなん関係ない」って言ってくれて。そうだよねぇって。
——次がピザだと聞けば、拒否反応があるハードコア・リスナーもいるかもしれませんね。
KO けど、古くから付き合いのある人たちは、俺がギターだった時にピザから出すって話があったことも知ってるから。忘れてっかも知れないけど(笑)。ほんと今回は震災があってこういう流れになっちゃったし、この流れについても賛否両論あるんだろうけどね。いずれにしても俺はいつもそういうこと言われる運命だから(笑)。ピ ザってよく見てみると、意外にしっかりとロックの基盤のあるバンドばっかリリースしてると思うんだけど、やっぱポップなイメージがあるのはナゼ?って俺な りに考えててね。最近結論が出たんだよね。あれはね......単純にみんなピザって呼ぶからだと思う(笑)。俺たちDEATH部門だから(笑)。あとピ ザはあくまでもレーベルであって流通じゃないから。そこら辺ごっちゃになってる人も多いと思うんだけど。
——そっか、スラングは第一回のエアジャム出てましたね。
KO そうそう。だからアンダーグラウンド・ハードコアって言っても、本当に好きな連中はだいたいわかってんの。そういえば俺、札幌の飲み屋で女が言ってたの聞いたことあるもん。「スラングのCDにピザのロゴが載るのかぁー」とか言ってて(笑)。「えぇ? お前、誰?」みたいな。
KIYO それ前も言ってたよね(笑)。
KO びっくりした。俺のこと知ってて言ってるのかわかんないけど。そのわりに「おまえさっき挨拶のひとつもなかったよね?」みたいな(笑)。
SAKUMA でもスラングだからできることですよね、これは。俺はすごいそう思う。
KO だからなんか言われても全然……まぁ言われたら腹立つけど、そういうの全然どうでもいい。そういう奴ってどうせ聴いてないし(笑)。CDとか買ってもないくせに言いたがる連中だから。でさ、こういう活動してるのにこういうことしたら台無しだ、みたいなことは昔から言われるの。昔のほうが言われたけど。「なんでメロコアとやんの?」みたいな(笑)。そんなの散々言われてきたから。「別に?」って感じ。ほんとそれぐらい。
——売れたいという気持ちとは違うところで、スラングをより広げたい、より届けたいという気持ちはありますか。
KO うん。広げたいとは常に思ってる。それはずっと思ってる。みんな言うでしょ。売れること否定する人にかぎって言うけど(笑)。好きな言葉じゃないけど売れたいって言葉でも良い。俺たち売り物作って売り出してんだから。今は曲を作ったりする時にそういう邪念が一切ないだけで。できあがったものに関しては全然、閉 じ込めておく意味がわかんない。メッセージがあればあるほど俺は外に打って出るべきだと思うけどね。自分たちの世界だけでやってないで。そこで初めて気が つくこともたくさんあるはずだし、そういうこと書いてんだから余計ね。まあ売れたいだけの人もそれは同じなんだろうけど(笑)。 今なら海外のハードコアバンドがやったりしてるように過去作も新作もフリーダウンロードにしても良いし、Youtubeに全部上げちゃったりね。広げるっ て概念で行けば手段はたくさんあるんだけど、今は選択肢がありすぎるから....。けっきょく無料だって行ってんのに振り向いてもくれない。なんかメッ セージぶつけたつもりでもスッと沈んでっちゃう。目の前で。こんな今だからこそ広げたいって意味での売り物の価値ってすごい重要になってると思うんだけど ね。これは自分とこのレーベルの話も含めてだけど。もう俺たちなんか『HEY!HEY!HEY!』に出ていいって言われたら出るよ?
一同 ははははは!
KO 浜ちゃんに突っ込まれたいもん。口パクだったら嫌だけど(笑)。
SAKUMA テレビで見てる人ヒヤヒヤするでしょうね(笑)。
KO 真剣に口パクやってんだけど微妙にズレてるとか(笑)。けどイメージとか関係ないもん。もうインタビューとか、何かあるなら俺どんなものだって応えてくよ。今までもやってきたしね。作ったり歌詞書いたりすることに関していまは一切の妥協がないから、作った商品はもうどんなところに置かれてもいい。セブンイレブンで売ってもらってもいいくらい(笑)。マジでね。
インタビュー@石井恵梨子
——歌詞の話に行きましょうか。今回、タイトルもサビも全部日本語になったのは大きいですね。
KO うん、ようやくできたかなぁ。今回ちょっとワケあってタイトルだけ英語だけど、前作まではなぜかできなくて...。直接的にわかりやすいこと書くなら、今までは英語に訳してもらおうって思ってたんだけど。でも俺自身英語が喋れるわけじゃないから違和感あるし、あと訳してもらうの待つのも面倒くさい(笑)。確認のための時間もかかるし。しかも俺のバッドな歌詞、こいつら訳すの嫌なんだろうなぁとか思って。
一同 ……(苦笑)。
KO だったら全部日本語にして考えたほうがいいなぁみたいな。それがきっかけだった気がすんな、今回。
——もともと全部日本語でやりたい気持ちはあったんですか。
KO できれば、うん。だけど方法がわかんなかったし……わかんないっていうか、やっぱ書き方が変わってくる。シンガロングみたいな部分は好きなんだけど、今回もね、サビのとこでワーッと叫ぶコーラスとかなくなっちゃったし。まぁ今回はたまたまそういう言葉が思いつかなかっただけだと思うけど。
KIYO 俺、できあがったの聴いて思ったんだけどさ、今回のは歌っちゅうより詩の朗読だよね。そういう感じがする。これ、全然アリかなって。
——個人の言葉、個人の詩ですよね。KOさんが本当に見てきたことしか書いてないから、誰かと簡単には共有できない景色というか。
KO そうねぇ。そこで(一緒に拳を上げて)「ワーッ!」とかやられても……いやいやいや、ってなっちゃうよね。
——伝わってくるものは膨大なんだけど、言葉自体はメッセージの形ですらない。それはあえて意識したんですか。
KO 俺、もともと「ああしろ、こうしろ」みたいな、高圧的な言い方じゃなくしたくて。普段はそうかもしれないけど(笑)スラングでは俺がヴォーカルになってからはほとんど書いてないし。まぁ悪口みたいな曲っつうか、俺が一方的にボロクソ文句言ってる曲はあるんだけど。でもやっぱり「闘っていけ! 立ち上がれ!」みたいな、そういう歌詞ってなんか自分で言うの苦手だなと思ってて.....。酔っぱらった時とトレーニング中はそういうことばっか言ってると思うけど(笑)
——へぇ。言われてみればそうかも。
KO で、今回ようやくやりたいことがやれたな、っていうのはある。結果コーラスパートがなくなったりしたけど、ようやく書けた、っていうのが自分の中であっ て。これからっていうか、ようやくスタートラインに立てたみたいな。勘違いしちゃうんであれば「やった、ついに完成した!」って言えるみたいな感覚もあっ たんだけど、俺、これは完成じゃねぇなと思って。これでようやくスタートなんだって、なんとなく思えたかな。
——いわゆるハードコア・マナーに一切縛られていない歌詞ですよね。リズムに乗せる歌詞というより、自分を見つめて書いた詩という感じがする。
KO うん。俺、毎日っていうわけじゃないけど、家のテープルに詩集をドーンと積んで、なんかしら見てるんですよ。たいがいベタだけど宮沢賢治か中原中也に行き着くんだけど。宮沢賢治は特に詩集が好きで、書き方的にはすごい影響あると思う。ほんとうに元をたどると、最初のそういう切っ掛けっていうのは多分イースタンユースの流れ見てたからなんだけど。おれイースタンの前のバンド(スキャナーズ)の時から吉野くんの歌詞好きだからね。
SAKUMA イースタンユースもそうっすよね、詩、みたいな感じ。
KO ただ、たぶん吉野くんが好きな詩と俺が好きな詩って同じ作者でもタイプが違うから。俺はもっとバッドな詩が好きで……だいたい好きなやつはバッドなんだよね。
KOHEY 落ちるやつですね(笑)。
KO どバッド。落ちる。落ちるんだけど、でも中原中也とか完全にそれで好きになって。「梅雨と弟」って知ってます? 去年お母さんの手伝いで梅酒を漬けてたん だけど、その手伝いをしてる時に弟が邪魔をするので、睨んでやりました、と。でもその年の秋に弟が病気かなにかで死んで、その翌年になってまたお母さんが 「今年もまた梅酒を漬けましょうね」って言ったんだけど、返事をしませんでした。なぜならその時に弟のこと思い出して、あの時あんなことしなければ良かっ たと悔やんでおります……みたいな。
一同 あー。
KO 自分で説明してて泣けてくる(笑)。あと「死別の翌日」ってのとかも。自分でもそういう感情あるからなんだろうけど、そういうの読んで好きになって。中原中也は強烈なのは強烈なんだけど全部好きってわけじゃないけど。宮沢賢治の詩はだいたい好き。
——詩の影響で言葉を書き始めると、リズムに乗せて気持ちがいい、歌ってて気持ちがいい、という問題はまた別になってきますよね。
KO 俺ね、歌ってて気持ちいい、みたいなのは一切考えてない気がするんだよな。このリフ、このひとフレーズの中にどんだけ入れられるか、っていう。
KIYO 俺パッと聴いたとき思ったもん。これはもう詩の朗読だなって。
KOHEY 「十二月ノ業」とか凄い。
KO あぁ、「十二月ノ業」と「G.O.D.」は確かに朗読っぽいかも。
——一般論として、クソッタレと思うことを書き殴るとスッキリするじゃないですか。書くことで昇華される。今回のKOさんは、歌詞を書くことでスッキリしたんでしょうか。
KO ………うー ん、しない? でもしたっつうか、今までの曲よりかは「あぁ、これで決まったな」みたいな感覚は何回かあった。曲聴きながら言葉をバーッと書いて、スパッ と最後の一言が出てきた時に「あぁ、この曲はこれだったんだ」みたいな、そういう感覚はあったかもしれない。ただ、それでスッキリしたっつうと……わかんねぇなぁ(笑)。
——悔しさや怒りなら、出してスッキリ、カタルシスっていう流れがあるんだけど。今回はそういう感情じゃないですよね。ただただ涙が出てくる内容だけど、答えも結論もない。
KO うんうん。メッセージとかそんなんじゃないですよ。もともと昔から言ってるけど、人にそこまでして歌で伝えたいと思うこと、俺そんなになくて。期待してないって言うか、バーッと思ったらすぐ行動しちゃうから。ただなんか、今回自分でも一番納得いってるし、なんか上手くできたって感覚もあって。だから、今後もこれが基本になってくのかな。たぶんね、『IMMORTAL SIN』以降どんどん書きやすくなってるの。すごい絶望的な感じがするってよく言われるけど、俺はもう良いと思ったらそこで切るようにしてて。バーッと嫌なこと書いたとして、最後に「でも負けないぞ!」みたいな、最後だけグッと前向きな言葉を入れるっていうのが、俺はもう苦痛になってきて。
——なぜでしょう。
KO なんか、聞き手を意識してあえてその最後の言葉を作るのが、逆にぜんぶ台無しになるような気がして.....。それが良かったらそうするし……なんでそんな気持ちじゃないのに変に前向きな言葉入れなきゃいけないのかなって。そうしないと、ほんとにバッドすぎてみんな嫌だろうなとは思うんだけど。ヘタしたら俺も嫌なんだけど、けど、別にそこで嘘つく必要ねぇなと。俺がすごいネガティヴっていうか、俺はネガティブとは思ってないんだけど、真剣に向き合ったことに対して、そのまま落ちちゃうような表現のこと書いて、最後に「けど行くぜ」みたいなことを書く……そういうの必要ないかと思って。けど、逆なら今後も有り得ると思う。前向きな言葉入れたばかりに雰囲気がガラッと逆に変わったりするなら。たぶんね、詩、歌詞じゃなくて詩というものを意識したのはその思いがより強くなってきたからだと思う。いくらネガティヴでもロックだからサビだけは「行くぜ!立ち上がれ!」みたいな、そういうことを言うの、俺はもうスラングでは必要ないと思った。だからもう徹底的にバッドっていうか、ネガティヴと言われてもそんな詩でいいと思って。まぁ「なんでこんなバッドなこと書くの?」って言われるけど。先輩からわざわざ届いたからって電話かかってきて「すいません」って俺も謝ったり(笑)。
——ネガティヴを超えるポジティヴな一歩が必要だ、という意識はもうないですか。絶望は絶望のままでいいと?
KO っちゅうか俺的にこれ、けっこう前向きなつもりなんだけど。前向きに受け取ってもらえたらなぁと思うけど……前向きじゃないですかね。
——うーん、こういう音でボロボロ泣いたのは初めての経験です(笑)。
KO そっか。なんつーんだろうなぁ。でも……絶望的なままでいいんですか?って言われたら………いいと思います!
一同 ははははは。
KO でも俺、そーんな絶望的だとは思ってなくて。もちろん読めばバッドになるだろうなとは思うけど、絶望を与えよう、みたいなつもりで書いてはない。俺的には描くことそのものが凄くポジティブな行為だし。
——絶望というか、救われない悲劇ですよね。惨劇というか。
KO ああー。そうかもしれない。
——たとえばアジカンのゴッチ経由でKOさんを知った人は、すごくポジティヴで頼れる活動をしている人だと認識してるはずなんですよね。こういう歌を作るKOさんとは距離があるというか。
KO ……そうだよねぇ。
KIYO そうだよねぇって(笑)。
KO まぁでも、俺だっていつも歌の世界みたいなこと考えてるわけじゃないし。普段友達の店とかでバーッと飲んでて「イェーイ、飲め飲めぇ」ってKOHEYの 頭とか叩いてる、そういうイメージしか知らない人がスラングの歌詞を見たら、「誰が書いてんのこれ?」って思うだろうし。でも実際、家で一人でいる時の俺 が書いたり思ったりすることって多分こういうことで。それか、ブログとかツイッターでふざけてるアレか。どっちかだから。極端だけど、そういうのが二重人 格だとは俺は思わないし。
KIYO そんなの絶対みんな持ってるよね。矛盾なんて抱えてない人間いないよ。それをKOちゃんなりに素直に書いてんでしょ?
KO うん。素直だよ。けっこう削ったけど今回。書きすぎちゃって。
——今回書きたかったことって、KOさんの感情、今これを書きたいという主張ありきなんですか。それとも、被災地の現状をもっと知って欲しいという気持ちもあっていたのか。
KO あー……どっ ちもあるな。俺、ブログとかツイッターで誰よりも露骨に言ってきたと思うの。物資だって足りてません、まだこういう方法がありますよって。それをずっと やってるから、あえて歌にする必要はないというか、歌にしてる暇もないと思ってる。ただ、それだけじゃ言い尽くせないことって実際現地に行くとすごくあっ て。ツイッターとかで書けないこと。そういう想いは書いてるかな。なんか……もっと感じて欲しいっつうか、もっと自分のことのように思ってくんねぇかな、くんねぇのかなぁ、みたいな。そこで書き方も少し悩んだし。
——というのは?
KO キーワードいっぱい入ってるでしょ、歌詞に。そのキーワードもだいぶ削ったんだけど。最初は街の名前も書いてたりしたけど、そういうのは削った。だけどなんか……被災地の人が見ても許してくれるっていうか「あぁKOさんだったらここまで言っても」って思えるぐらいの書き方は気にしたとこはあるかな。
——イメージ浮かびますよね。信号灯のない駅、とか。
KO 本当に直截的なこと、実際に見たことでいえば、時計の針。ほんとにあの時間で止まったままの時計があちこちにあるんですよ。現地の人も、これを忘れて欲し くないって想いで時計をそのまま置いてあったりするし。で、「午後二時四十六分から止まったままの壁時計」とか、詩的にはアリだけど、俺これ自分で歌える かなぁと思ったし。でも、そういうのもキーワードとしてアリなんだなって。ただその、被災地の現状を伝えたい!みたいな想いはそんなになかったな。俺がた またまそういう状況に置かれてたから、そういう言葉ばっかり今回は出てきたというか。そうじゃなかったら多分「ろうそくのまち」とか「ちいさな棺」みたい な、前作と同じ路線の曲が多かったと思う。この2曲はね、中東のドキュメンタリー映画を見て書いたもので。『リトルバーズ』ってDVDなんだけど、それがあまりにも衝撃的だった。ほんと酷い。酷すぎて見てらんないって感じで。それは友達、ディスチャージの影響下にあるハードコアやってる奴らに何度か見せたりもしたんだけど。あと、「黄色い星の子どもたち」ってナチス占領下の頃の映画も。これ、どっちも共通点は子供かな。
——犠牲になる弱者、見捨てられていく人たちのことを歌うって意味では一貫してる。でも震災に思いきりフォーカスしてるって意味で今回特別な一枚で。KOさんの意識としてはどちらに近いですか。今までの延長なのか、震災あったからこうなったのか。
KO 延長だと思うなぁ。普通に俺の日常、生活、見てきたものだから。そこを書くっていう意味では全然変わってないと思う。
インタビュー@石井恵梨子
vol.3に続く
——ニューアルバム、まずは皆さんの手応え、感想をそれぞれお願いします。
KIYO 今までとちょっと雰囲気変わったっちゅうかね、面白い感じ。いろんな要素が入ってるよね。
KO うん。変わったって言うなら俺は毎回変わったと思ってる。でも今回は確かに変わったとこ多いよね。チューニング違う曲が増えたり、SAKUMAの曲が増えたり、あと歌詞がサビも含め全部日本語になったとか。
KIYO そう。でも基本的なコアな部分は変わってなくて。
KOHEY 根は何も変わらないまま、楽曲がちょっと面白くなった。前とその前のアルバムは全部一発でやってたのが、今回はギターを重ねたりして。だからライヴ感もありつつ、作品っぽい感じにもなったアルバムだと思います。
SAKUMA うん。すごくいい作品になったと思います。曲も凝るところは凝ったりして、今までとはまたちょっと違う一面も見せたというか。いいアルバムになったと思いますね。
——はい。じゃあKOさん。
KO ……アルバムの感想でしょ? 俺、わっかんねぇんだよなぁ。
一同 (笑)。
KO や、俺だけギリギリまで作業やってて。プリプロから本チャンまで一ヶ月しかなかったんですけど、最後の最後までアレンジ練り直してて。ちょっと気に入らない曲が2曲くらいあって、後半は時間的に余裕なかったからカットすればよかったのに、なんか欲が出たんだよね。だから最後の最後、録りの前の日のスタジオまでずーっとアレンジやってて。そこで歌詞が微妙に変わったりするから、さらに個人練習ガーッとやって、すぐ録り、ミックス、マスタリング……って行っちゃった感じだから。
SAKUMA すーごいギリギリでしたよね。
KO うん。だから感想って言われるとよくわかんなくて(笑)。手応えって意味では、去年末にカタチが見えてきた時の「あ、これイケるかな、じゃあアルバムやろっか」っていう段階のほうが強く感じられたというか。次はけっこう違ったものができる、っていう予感があったかな。
——ではまず、次のアルバムを作ろうと思ったモチベーション、新たな制作に向かった流れを教えてもらえますか。
KO 俺らいつも、新譜出す出さない関係なく曲は作ってるんですよ。だいたい年明けから3月くらいはライヴやらないで、曲作り期間っていうのを設けてて。ギター 家で弾いたり、基本的には個人で曲作って、それを合わせに入るんだけど。そういう期間が去年もあって、1月2月とかチョコチョコやってたんですよ。だから 楽曲というかネタみたいなのはけっこうあって。まぁ俺的には今年じゃなくて来年だなと思ってたんだけど……なんだろうなぁ、震災あって忙しかったはずなのに、10月だっけ? ちょっと時間できてバラバラッとスタジオ入る時間があったり、その後また2週間くらい空いたから歌詞も詰めたりして。なんとなーく、イケるな、っていう形が見えたんですよね。
——ただ、この時期にまたニューアルバムって意外でしたね。去年2月にはライヴ盤も出てるし、3月以降はみんな知ってるとおり、KOさんめちゃくちゃ忙しかったわけですよね。
KO そうそうそう、俺もなんでできたのかわからん……。
SAKUMA 不思議なところですねぇ(笑)。
KO 絶対もっと長くなると思ってた。変に震災あったからバンドとして作品出さなきゃ、みたいな、そういうのは全然思ってない。なんなら震災があったから出した、みたいには一切思って欲しくないし。なんだけど……なぜかまとまったんだよなぁ。あ! インフルエンザになったのがデカいな。
一同 (笑)。
KO 1週間ぐらい家から出れなくて、もう朝から夜まで曲作るしかやることなくなって。
KIYO あん時不思議なメールがいっぱい飛んできたんだよね。「KIYOさん、あのバンド何年ぐらいからやってたんだっけ?」とか。ロックの歴史について(笑)。
KO 息抜きにイギリスのロックの歴史を勉強しながら作ってた。「ディープパープルは何年結成で~」とか書き留めながら。あまりにヒマで(笑)。
KOHEY アマゾンでCD買い漁ったんですよね、そん時。
KO 一週間で40枚くらい買った。半分ぐらいデスメタルだけど(爆)。
SAKUMA その前から俺とKOさん、メールで曲のやり取りしてたんですけど。あの時は10何曲ぐらいまとめて送られてきた。
KO 一週間で12~13曲、バーッと作って。「はい、今日の新曲です」みたいな。
KOHEY だからインフルエンザがけっこうキィですね、今回のアルバム。
KO うん、デカかったねぇ(笑)。
——ひとつの作品に向かう気持ちっていうのは、今までと違うんですか。それともいつも通り?
KO そこは変わんないよね。いつもと同じやり方。楽曲は前のアルバムに入れなかった曲とかも入ってるから。曲の作り方自体はここ5~6年ずっと変わってない。ずっと継続して、もう年中曲を作ろうっていう感じで。
——それは意識的に続けているんですね。
KO 俺ら別にバンドで食ってるわけじゃないし、プロになるのが目標じゃないんだけど。ただ、なんていうのかな、たとえば野球選手は毎日ピッチングの練習する し、格闘家とかボクサーも毎日練習するのが当然で。で、考えてみるとロックやってる連中って、偉そうなこと言ってるわりに毎日自分の練習してる人ってあま りにも少ないなぁって。
——そうかもしれない。
KO 俺はスポーツ選手とか格闘家の本読んだりするの好きだし、GYMとかも行ってたから、ボクサーとか毎日こんな走ったりするのか、たった1回リングに上がるためだけに毎日あんな練習してんのかってびっくりして。で、自分のこと考えたら、飲んで若いヤツとかに「お前らもっとちゃんとやれよ!」みたいなこと今まで散々言ってきて……俺なんにもやってないのに何でこんな発言ができたんだろう?って思ったりして。だからもう毎日、365日ずっと、何かしらヴォーカルに関わる練習を必ずやろうと思って。何もしないのも練習のうちって言えるぐらい。それは意識的に本読むとか映画観るとか、音楽聴くでもいいし、一言ぐらい書き留めるのでもいいし、ジム行くとか走るっていうのもそうなんだけど、何でもいいから、毎日必ず5分でもいいからそういう意識を持って時間を作る、必ずヴォーカルのための何かをしようと思って。もちろんギター持ったら曲作るし、作るっつったらリフ一個でも生み出すまでその日は絶対やめない。1フレーズでも録音する。「なーんか作れないんだよね、なかなかできなくて」みたいな言い訳はもう絶対ナシにしようと思って。それがここ5年くらい。『THE IMMORTAL SIN』の前だから、もう6年くらい続いてる。だいたい、最初の10数年が運任せすぎだったんだけど(笑)
——じゃあ、新作を出す準備は常にある、あとはタイミング次第という。
KO ううん。ネタだけ(笑)。準備があるって言うと出来過ぎな言い方だけど、曲を作る習慣ってのを身につけたかったのかな。まぁ、またそれが期間決められて絶対になっていくとやらされてる感が出てくるし、それは嫌だからこんななってんだけど(笑)。なるべく頭の中では、せいぜい3年に一枚くらいのスパンで出していけたらいいなぁってイメージでやってるんだけど。でもなんか、最近は2年、2年で来てる。2年に一枚って大変なんだけどね、ほんとに。充実してるっちゃしてるけど、精神的にちょっと大変。
KIYO まぁでも、できる時に作っといたほうがいいんじゃない?
KO そうだね。バーッとやってるけど気持ち的にはけっこうラクみたいな。そういう感じになっていければいいなぁとは思うんだけど。
——今回の作り方で、今までと違うところってありますか。
KO ……なんもないよね、多分。
SAKUMA うん。別に、いつもどおり。
KOHEY あ! メール! パソコンのメールで「新曲こんなん作ったんだけど」って送信されてくるんですよ。それを家で聴いて、個人で練習して、そのあとスタジオでやるっていう。
KO ああ、あれでけっこう進行早くなったのはあるかもね。それぞれが家で練ってると次の練習までにまた進んでるから。それデカかったかも。
SAKUMA でもお前メール使えるようになったの最近じゃなかった?
KOHEY 覚えたべ!
SAKUMA やっと(笑)。
——スタジオでバーッと作るんじゃなく、一人ひとりが自分のパートを確立する、それを持ち寄って完成させるというやり方なんですね。
KO 今はそうかな。けど、もともとスタジオで練り込んでくって作り方じゃないからな。ある程度完成形っていうか、ほぼ完成されたものを持ち寄って、いざ合わせてみて細かいアレンジを変えていくっていう。
——だからなのか、今回、4つの音がグシャーッと塊にならず、しっかり分離してるんですよね。ギターはギターとして、ベースはベースとしてちゃんと聴こえてくる。
KIYO そこは録り方の違いも大きいよね。
KO レコーディングのね。なんか昔のロックみたいな、言っちゃえば歌謡曲みたいなミックスにしたいって言ってて。一個一個は激しくて歪んでるんだけど、ちゃんと分離してる。昔のロックっていうか、そういう音のバランスにしたいっていうのは最初から考えてた。
——昔のロックというのは、たとえばどういう作品?
KO ブラック・サバスとか。初期モーターヘッドとか。初期モーターヘッドはちょっと行き過ぎかな(笑)。まぁでも、ここ何作かはずっと全部一発でやってたのを、ちゃんと今回は重ね録りして。
KIYO レコーディングも長かったよね。前はバックを4時間とかで録ってたんですよ。ほんと一発。今回は1日ぐらいかかったもんね。
KOHEY で、ギターの重ねでもう1日みたいな。
——すごい迫力ですよね、KIYOさんのギター。
KO バック全部でたった2日だけど....ちょー早い(笑)。まぁみんながやってることを俺らが今までやってなかったっていう話なんだけど(笑)。
——そういうふうに、ちゃんと作品然としたアルバムにしたいっていうのは、最初の段階からイメージしてたんですか。
KIYO KOちゃん最初から言ってたよね。今回は分離良く録りたいねって。
KO それはもうずっと言ってた。音の分離っていうか、広がりがあって、ダイナミックさもあって。それはエンジニアにも言ってて。今回、録りとミックスとマスタリングのエンジニア、3人別々でやったんですね。特にマスタリングがデカいかな。マスタリングはウエケンさん(ex.KENZI AND THE TRIPS, THE PILLOWS)とこ。あの人が札幌の実家に作ったマスタリング・スタジオを使わせてもらって。そこのエンジニアの植松さんって方が、もう15時間くらいやってた。昼から夜中まで。
KIYO ぶっ通しで。
KO 俺たちは出前食って、ストレッチとかしながら「はいオッケーです!」みたいな(笑)。昼寝したり(爆)
KO けど、ずっとエンジニアの方と音のイメージは話してたんですよ。プリプロの段階から音を送って「着地点はこれぐらいの感じ」って音色の確認をしながら RECに入ってった。で、最終的には「なるべく分離よく、かつ迫力のある音でお願いします」って。なるべく分離しててなるべく大迫力、「矛盾してると思い ますけど、そんなイメージでお願いします」って。
——つまり、ちゃんと聴かせたい意識があったわけですよね。ライヴ感があって生々しい爆音ならいい、というわけじゃなく。
KO そうそう。前まではそれでいいやって思ってたの。『IMMORTAL SIN』の頃はライヴハウスの生々しさ、もうPAのデカいやつから出てくる音の生々しさを目指してて、「Life Made Me Hardcore」の時はもっともっと生々しくって感じでやってたんだけど。でもなんか……それはそれでいいんだけど、結局自分であんま聴かなくて(笑)。特にツアーの移動中とか、高速なんか乗るとハードコアかけてもわかんないんですよ。
KIYO エンジン音とローが被るよね(笑)。
SAKUMA 特にスラング号は(笑)。
KOHEY ウチの機材車、それだけローが出てる(笑)。
KO だからね、もうちょいバランス的には聴きやすいほうがいいのかなぁって。1つ1つはひずんでるしボリュームは上げればいいわけだから。
——グシャーッとした爆音って、乱暴な言い方だけどライヴハウス行けば味わえますよね。別にそのバンドじゃなくてもいいかもしれない。
KO そうそう。
——でも今回は4人の音がまさに耳元で鳴ってる気がします。それだけ自分たちの音、スラング4人の音を届けたいって気持ちがあったのかなと。
KO あれだよね。「北風と太陽」。デカい音でバーン!とやると、鼓膜って実際に収縮するんだよね。聴く人もうわって思っちゃうし。で、もっと聴いてもらうためには、スッと入ってきてザクッ!と行くみたいなイメージ。うわーって行くのも好きだったんだけど自分のイメージってそっちのほうがいいと思って。音だけじゃなくて歌詞もそうなんだけど、そういうのは考えたかもしれない。
インタビュー@石井恵梨子
vol.2に続く