Hi-STANDARD

2nd Mini Album "Screaming Newborn Baby"

2025.11.26 Release! Price: 2,000yen(+tax) / Code: PZCA-119 / 6 Songs

Advanced Listening第2弾!

スマートポスターイメージ

Hi-STANDARD 11月26日発売ミニアルバム 「Screaming Newborn Baby」 のリリースを記念して、 先行試聴第2弾!
本日より全国のCD店舗にて「スマートポスター」の掲載が開始!

第2弾は9月24日におこなわれた生配信で披露された「Song About Fat Mike」が先行試聴スタート!

開催店舗ではどなたでもスマホをポスターにタッチして楽曲をお聴きいただけますので、是非この機会にご来店ください!

スマートポスターイメージ
先行試聴開催期間:
11.14(火)

11/26発売のHi-STANDARDの新作「Screaming Newborn Baby」発売に先駆け、11/10に 東京メトロ新宿駅 メトロプロムナード内の壁面に4000 枚以上のNFC スマートステッカーを大量に貼り付け「スマホにタッチして新曲が聴けるステッカー」の配布(ピールオフ広告<剥がして持って帰れる仕様>)を実施しました。

本日はそこに続く第2弾!前回CDショップ限定で先行試聴を企画した店舗、全国の115店舗でスマート・ポスターが開始!

店舗に行って右下のアイコンにスマホをタッチすると、昨日のNFC ステッカー同様に新曲の試聴が出来ます!

試聴できる楽曲スマートステッカー同様、9/24の生配信で生演奏で披露された「Song About Fat Mike」。この楽曲は昨年惜しまれながらも解散し、Hi-STANDARDを世界にフックアップしたU.S PUNKの中心的存在、NOFXのFAT MIKEに向けた楽曲。

SNSキーワードはScreaming Newborn Babyを短縮した「#SNB」。


- 注意事項 -
  • 混雑状況により、スタッフより待機列の作成や別試聴機へのご案内をさせていただく場合がございます。必ずスタッフの案内・指示に従ってご試聴をお願いいたします。
  • 整列方法は店舗ごとに異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。
  • 後方にお客様が1人でもいらっしゃる場合、再度タッチご希望の際は最後尾にお並びください。公平な運営のため、ご理解とご協力をお願いいたします。
  • 試聴音源の録音はご遠慮ください。
  • 試聴機自体や展示物などの写真撮影、SNSへの投稿は問題ございません。ただし待機列がある場合はタッチを優先いただき、お待ちのお客様へのご配慮をお願いいたします。
  • 店外や通路での立ち止まり、近隣や他のお客様のご迷惑となる行為はお控えください。
  • 待機列では割り込みや途中合流、代表者のみが並びあとから複数名で合流する行為は固く禁止いたします。発覚した場合は最後尾へのご案内、または試聴をお断りする場合がございます。
  • 待機中に発生したお客様同士のトラブルについて、店舗および主催者は責任を負いかねます。周囲のお客様へのご配慮をお願いいたします。
  • 安全かつ円滑な運営のため、スタッフの指示に従っていただけない場合、試聴をお断りすることがございます。

Advanced Listening第1弾!

Hi-STANDARD 11月26日発売ミニアルバム 「Screaming Newborn Baby」 のリリースを記念して、 10月7日(火)より全国のCD店舗にて収録曲「Our Song」の先行試聴がスタート!

開催店舗ではどなたでも店内試聴機にて楽曲をお聴きいただけますので、是非この機会にご来店ください!

先行試聴開催期間:
10.07(火)〜10.13(月)

※10月14日(火)以降も企画を継続する店舗がございます。
開催状況は各店SNSなどでご確認ください。

はじめに

この企画を楽しんで頂きつつ、極力公平な運営を行うには、企画に参加してくださる何より皆さまのご理解とご協力が不可欠です。
皆さまに楽しんで体験いただくために、以下のご協力をお願い致します。


- 注意事項 -
  • 混雑状況により、スタッフより待機列の作成や別試聴機へのご案内をさせていただく場合がございます。必ずスタッフの案内・指示に従ってご試聴をお願いいたします。
  • 試聴方法や整列方法は店舗ごとに異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。
  • 後方にお客様が1人でもいらっしゃる場合、試聴は1回のみとさせていただきます。再度ご希望の際は最後尾にお並びください。公平な運営のため、ご理解とご協力をお願いいたします。
  • 試聴音源の録音はご遠慮ください。
  • 試聴機自体や展示物などの写真撮影、SNSへの投稿は問題ございません。ただし待機列がある場合は試聴を優先いただき、お待ちのお客様へのご配慮をお願いいたします。
  • 店外や通路での立ち止まり、近隣や他のお客様のご迷惑となる行為はお控えください。
  • 待機列では割り込みや途中合流、代表者のみが並びあとから複数名で合流する行為は固く禁止いたします。発覚した場合は最後尾へのご案内、または試聴をお断りする場合がございます。
  • 待機中や試聴中に発生したお客様同士のトラブルについて、店舗および主催者は責任を負いかねます。周囲のお客様へのご配慮をお願いいたします。
  • 安全かつ円滑な運営のため、スタッフの指示に従っていただけない場合、試聴をお断りすることがございます。

Tour

Hi-STANDARD"Screaming Newborn
Baby Tour"

東京Open 18:30Start 19:00

LIVE HOUSE FEVER

新潟Open 17:00Start 18:00

朱鷺メッセ

大阪Open 18:00Start 19:00

⼤阪城ホール

福岡Open 18:00Start 19:00

DRUM LOGOS

GUEST: ENTH

愛知Open 18:00Start 19:00

名古屋ダイアモンドホール

GUEST: SHANK

宮城Open 18:00Start 19:00

SENDAI GIGS

GUEST: HONEST

東京Open 18:00Start 19:00

Spotify O-EAST

GUEST: KUZIRA

神奈川Open 16:30Start 18:00

Kアリーナ横浜

ライブハウス公演  |   アリーナ公演

MORE DETAILS

Hi-STANDARD 2nd Mini Album "Screaming Newborn Baby" Official Interview

Interview Vol.01

―― ツネちゃんが亡くなった時、ハイスタについては何を思いました?

横山健 僕は一瞬、どうしたらいいのかわからなくなったんですよ。ただ難ちゃんがね、お葬式の時に、「このままじゃ終われないよ」って言って。それでけっこうハッとしましたね。もしかしたらそれがスイッチだったかもしれない。

―― 難ちゃんが「終われない」と思った気持ちは?

難波章浩 お葬式のタイミングなので、頭の中はパニックだし、何の整理もできてないんですよ。そういう状態ですけど、お葬式で健くんに会った時に、何故かずっと健くんに張り付いてたんですよね。お葬式にはたくさん人がいたんだけど、とにかく健くんとは離れたくなくて。その時に、何の脈絡もないし、これからのことはどうすればいいのかもわからないし、「ここで言う?」と自分自身で思いながらも、とりあえずその言葉が素直に出てきちゃったんですよね。

横山健 でもね、僕もその難ちゃんの気持ちはわかったんですよ。上手く言葉にできないけど、本能なんだろうなと思って。三人のうちの一人が突然欠けちゃって、もうスゴい非常事態じゃないですか。僕たちはやっぱりHi-STANDARDでつながってたから、その場で今後の話をするなんて不謹慎かと思われるかもしれないけど、それってコアな話だと思ったんですよね

―― 実は「I’M A RAT」をレコーディングしている時から、ハイスタの新たな動きは始まっていて、いろいろ予定も組んでいたんですよね。だから、やり残したこと、未完の仕事みたいな感覚があったのではないですか?

難波章浩 ツアーも決まってたし、SATANIC CARNIVALも決まってたし、グリーン・デイとのツアーも決まってたから。

横山健 NOFXが翌々年にラストツアーで来るぞというのも、もう耳に入ってたから。水面下では、ツネちゃんを含めた僕たち三人でビジョンを共有してたところだったんですよ。

―― すでに決まっていたSATANIC CARNIVALへの出演は、どうしようと考えたのですか?

難波章浩 「お別れ」という言葉は使わないことにしてたんだけど、ファンのみなさんにそういう場を設けられたらいいよねとは話してて。確か健くんが、「SATANICをそういう場所にしたらいいんじゃない」って、ふわっと言ってきたのかな。「そうだな、そんな良い機会はないな」と思って。他のイベントだったらやらなかったかもしれないけど、PIZZA OF DEATHという古巣でそのタイミングを作れるのはいいことだなと思ったから。それで出演しようってなったんです。

―― SATANIC CARNIVALでは、三人のドラマーがサポートとして出演しましたが、三人の中の一人にZAXを選んだ理由は?

難波章浩 何人か呼ぼうって言ったのは健くんなんだよね。

横山健 一人に全部まかせると、ドラマーの人にとっても荷が重いし、「その先もその人でやるのか」みたいな、変な憶測が立つことも予想ができたので。何人かに頼んで、予想されるであろう何かを分散させたいなというのがありましたね。ZAXに関しては、難ちゃんがやりたかったんですよ。

難波章浩 やっぱりいいドラマーだから。でも今思うと、何でなんだろう。

横山健 ZAXは前から知ってたけど、まともに話したことがなかったんですよ。ビッとしすぎてて(笑)。

―― 健くんはZAXのことを、良いヤツすぎたから違うって、最初は思ったんですよね。

横山健 それこそAIR JAMにも2011年に出てもらったし、フェスとかでもすっかり顔見知りなんだけど、バックステージで会うと、「おはようございます!」しか言ってくれないから。裏があると思ってた(笑)。

―― ZAXはこの話が来た時はどう思いました?

ZAX 自分はすぐに予定を調べたら空いてたので、二つ返事で「わかりました!」って言いました。

横山健 ほら、何かビッとしてるでしょ(笑)。

―― ZAXの中でハイスタはどういう存在でした?

ZAX いやいや、もう雲の上のバンドというか。自分の中では絶対に関わることのないバンドだなと思ってたので。

難波章浩 でも、ZAXはそんなにハイスタでは育ってなくて。AIR JAM 2011にPTP(Pay money To my Pain)で出た時に、ハイスタにものスゴい衝撃を受けたんだよね。

ZAX ひっくり返りましたね。あそこだけ地球上に横浜アリーナの形の穴が空いてたんですよ。ボワーっとしてて、宇宙船みたいで。何これ?!って。前まで行ってダイブしましたよ。

―― SATANICのライヴにはどのように臨んだんですか?

ZAX 原曲をできるだけ完コピした上で、ツネさんのライヴ映像を観て、ハイスタの横浜アリーナのライヴ音源を聴いて、こういう風にしてんねんなっていうのを研究しながら、自分なりにやりました。ライヴ本番の時は真っ白でしたね。でもあの日、泣きたいのは二人じゃないですか。俺の役目は二人を支えることなので。自分ができることでしっかり支えようと思って、集中しました。

―― あの日のライヴを観ていて思ったのは、三人のドラマーは三人三様でその面白さはあったんですけど、ツネちゃんの不在も思いきり感じてしまったんですね。二人はあのライヴで特に感じたことはありますか?

難波章浩 ライヴでもそうなんですけど、ライヴ前に最後のゲネプロがあったんですよ。そのスタジオには鏡があるんですけど、健くんと俺が立った時に、真ん中がツネちゃんじゃないハイスタというのが、初めて客観的に見えちゃったんですよね。それを見た時、「ああっ」ってなって。健くんに、「スゴいブルーになっちゃった」って言ったら、健くんも「俺もなんだよ」って。

横山健 めちゃ心細くなったのをスゴい覚えてる。ドラマーがどうこうの話じゃなくて、単純にツネがいなくなったってことを、そこで初めて客観的に姿として見えちゃったんですよ。難ちゃんと話したもんね。「俺も心細いわ」って。

難波章浩 でも、ZAXとEKKUNには来てもらってるから、空元気でやるしかないじゃないですか。「どうしよう? これライヴ、行けるのかな」って話をして。そしたら健くんが、「ボロボロでもいいんじゃないの?」って言ったんだよね。

横山健 人前に出てしまったら、取り繕えないわけだし。その時の自分たちを素直に出すしかないんですよ。それが結果、例えばね、観に来てくれたお客さんに、「これはダメだ」と思われたとしても、まあそれはそれでいいんじゃないかなと思って。

―― リアルな姿を見てもらおうと思ったんですね。

難波章浩 俺はメインヴォーカルだし、SATANICはいろんな猛者がいる中でハイスタがトリですよ。ツネちゃんのことがあるとは言え、みんなを盛り上げたいと思ったから、ちょっとプレッシャーを感じてたんです。でも、「ボロボロでもいいじゃん」って言われたことで、やってる時は意外と吹っ切ってやれましたね。

―― そこから今度は、NOFXの日本でのラストツアーの話も出てきますよね。

横山健 本当はそれまでに正式メンバーを入れて、NOFXのツアーでお披露目できればと思ってたから、イメージができなかったんですよね。NOFXのラストツアーだから気持ちはいっぱいあるけど、そんなに不完全なのにいいの?っていう気がしてたんです。なんだけど、それってしょうがないじゃないですか。その場にいれて演奏ができることを優先に考えようっていう風に、僕と難ちゃんの方で途中で考えを変えて。それでZAXにサポートをお願いすることにしたんですよね。僕は他のドラマーを考えたんだけど、難ちゃんがスゴくZAX推しだったんですよ。僕が何を言ってもね、「いやあ、でもね、ZAX、いいと思うんだよね」って。

―― ZAXを推した理由は?

難波章浩 何なんですかね。直感としか言いようがないのかな。

―― ちなみに、健くんがZAXが良いヤツすぎて違うと思っていたのは、いつスッキリしたんですか?

横山健 初日の名古屋のライヴで。

難波章浩 やっぱりライヴなんですね。

横山健 その時のドラムがスゴかったんですよ。リハとも違うじゃんと思って。さっき、リハスタでツネちゃんじゃないハイスタを見て心細くなったという話をしたじゃないですか。でもその日、ギターを弾きながら、人前に出てる自分たちを見て、難ちゃんがいて、ZAXがドラムを叩いてて、これでHi-STANDARDって名乗る現実がね、イケてるじゃんと思ったんですよ。

難波章浩 へえーー。

横山健 それで、それまでの疑いというか……(笑)。いや、いいヤツすぎて、僕が知ってるタイプじゃなかったんですよ。ミュージシャンって、ちょっと計算が見えたり、自分の欲が見えたりするんだけど、そういうのが何もないんですよ。もちろんあるとは思いますけど、真っ直ぐすぎて怖かったんです。

ZAX 尊敬してるお二人、尊敬してるバンドだし、尊敬してるツネさんの代わりをやるからには、本気でやらないと務まらないのはわかってるんですよ。そもそも、そんな大舞台に俺が立てることもなかったし、でも立ちたいと思ってたし、こんなチャンスはないとも思ったんです。だから俺は二人を支えるということに本気で徹しましたね。

―― 難ちゃんからすると、ドラマーはリズム隊の相方だから、「どれだけ自分についてこれるのか」というところで、求めるものも違ってくると思うんですよ。でも、難ちゃんが途中で、「ZAXは食らいついてくる」って話していたのがスゴく印象的で。ZAXはZAXで、ハイスタというとんでもないバンドにとことんついていこうという気持ちも強かったと思うんですよね。

横山健 それはね、スタジオ内でも実はビシビシと感じてて。言語化すると、「おしゃべりはいいからとりあえず音でください」っていうのをね、ZAXから言われてる気がしたんですよ。「とりあえずギター弾いてください。僕、ドラム鳴らすんで」って。それを言葉じゃなくて、雰囲気とかドラムで僕に伝えてくるんですよ。

難波章浩 それに、NOFXが解散するというのも、またとてつもない事件だったので。それがなければ、そのライヴもやらなかったと思うんですよ。

―― そこには特別な意味がありましたからね。NOFXの最後だし、そこにハイスタはファミリーとして出るわけで。それはみんなもわかっているストーリーだから。

横山健 僕らにとってNOFXが特別なのはもちろんだけど、NOFXにとっても、特にマイクにとっては、僕らって特別な存在なんですよね。「俺はおまえらのベスト・アルバムを一緒に作ったんだ」って、ツアー中に何回も言われたんですよ。『GROWING UP』のことなんですけど、「俺がプロデューサーだ」って、酔っ払って言うんです。だからスゴく誇りにしてくれてたと思うんですよね。そういう意味では、NOFXとHi-STANDARDが一緒にNOFXのラストをやるっていうのは、ものスゴく特別なことだったんです。そこにね、ZAXはスゴく寄り添ってくれたんですよ。それにも俺は感銘を受けちゃって。だって、普通にHi-STANDARDのドラマーになりたいヤツだったら、ツアーに友達を連れてきて、NOFXと僕たちがわちゃわちゃしてる時は、友達の方に逃げ込めばいい話じゃないですか。だって、入り込めないんだから。ZAXはやろうと思えばできたと思うんですけど、そういうことを一切せずに、僕と難ちゃん、NOFXがいるところで、静かに寄り添ってて、ちゃんとチームの一員になってくれたんです。それはうれしかったな。

―― 初日は本当に素晴らしかったし、あ、これはハイスタがまた始まるんだなと思いましたよ。

難波章浩 まだあの時はサポートなので。その先の話はしないでおこうねって、健くんとは話してたんですよ。

横山健 ツアー中に何となくムードで決まってしまうのを、僕は嫌ったんですよ。一回ちゃんとツアーが終わって、改めてHi-STANDARDをどうしようってところに向かった時に、ZAXにお願いしたいという気持ちが出てきたら、それはたぶん自分の中で本物なんだろうなと思って。

難波章浩 しかも、ZAXがいいかどうかを判断するためのサポート期間でもないんですよ。完全にNOFXのためのものだったんですよね。結果、あのツアーはZAXにとって、ハイスタのスタートにもなってるんですよ。NOFXは終わって、俺らはスタートしたんです。

横山健 話をつなぐね!(笑)

―― あと、これはZAXから聞いた話ですけど、横浜公演が終わった日の夜、ZAXは難ちゃんから連絡があって、「慣れちゃダメだよ。もっと来い」って言われたんですよね。

ZAX 3公演目が終わって、難波さんが連絡をくれたのは夜ですよね。「パンクなんだから、もっと来い」みたいな。翌日のPUNKSPRINGが4本目やったんで、「もっと行ってみます。頑張ります!」っていう話はしましたね。

横山健 難ちゃんはね、入れるんですよ(笑)。

ZAX 「こなれてきたな」って。

難波章浩 マジで?! そこまで言った? でもそういう時、あまり覚えてないんですよ。

ZAX 実際、3本目って、自分も上手く叩こうとしてる感じがあったんです。「もっとていねいに」というのをやりすぎてて。

横山健 これは最近思うことなんだけど、難ちゃんとZAXってスゴく共鳴してるんですよ。難ちゃんが本気になるのはわかるんだけど、ZAXも一緒になって本気になれちゃうんです。ZAXはものスゴいピュアで、難ちゃんはぶっ飛んだピュアで、他者に理解されずらいピュア(笑)。でもものスゴいピュアじゃないですか。そこがスゴい共鳴してるんじゃないかな。

―― ZAXはどうですか?

ZAX いやあもう、自分は一生懸命やるしかないので。

横山健 お相撲さんみたいじゃん(笑)。「自分、一生懸命取るしかないです」みたいな。

ZAX ぶっちゃけて言うと、俺と難波さんと健さんでここまで来たバンドじゃないので。俺は途中からこのスゴいものの中に、ポンと入って、正式メンバーにさせていただいたから、「よろしくお願いします」って言ったことの重さはわかってるんです。だから、これはもうやるしかないって、自分に言い聞かせてやってます。

interview by 大野俊也
Vol.02へ続く...

Interview Vol.02

―― NOFXとのツアーが終わって、ZAXで行こうって決まったのはすぐですか?

横山健 直後じゃないですけど、NOFXとのツアーが終わって、しばらく経って。俺はツアーを通じてZAXが大好きになっちゃったんで、「ZAX、いいじゃん!」って言って。もう早く難ちゃんとその話をしたいんですよ(笑)。

―― そこから都内某所で三人だけの食事会をやるんですよね。

横山健 ZAXには言わないで、NOFXのツアーのお疲れ会ということで集まって。でも、僕と難ちゃんはそこでZAXに正式にお願いしようよって言って。

―― ZAXは正式メンバーの話が来た時、どうリアクションしました?

ZAX びっくりしましたね。すぐにトイレに行きました。

難波章浩 健くんがギターの話をして、バンドを固める話から逸らしてくれたんです。それで場が和んだんだよね。

横山健 あの時、僕は紫のテレキャスを買って、その食事会に行ったんですよ。あとね、僕の前歯2本、仮歯がポロッポロ取れる状態で、食べるたびに落ちるんですよ。それで朗らかな時間になって(笑)。

―― ZAXはトイレに行って、戻ってから返事をしたんですか?

ZAX 「自分、The BONEZもやってますし。それでもいいでしょうか」みたいな話をして。それも理解してもらった上で、「The BONEZの方に持ち帰って、メンバーみんながいいって言うなら、僕としては是非、喜んでお話を受けます」という話をしました。

難波章浩 そうか。今つながったな。ZAXは誠実じゃん。NOFXとのツアーの時に、健くんがね、テーマが「誠実さ」だっていう話をしたんだよね。それはZAXから出てきた誠実さもあったのかもね。

横山健 そうかもね。

難波章浩 ツネちゃん以外の人とやるなんて、ハイスタ・ファンからしたら、やっぱりとんでもないことで。誠実でなかったらチャラくなってたかもしれないですよ。

横山健 受け入れられないライヴになってたかもしれない。ツネがいないハイスタに対して拒否反応を示す人もいるだろうし、出てこなくていいよと思ってる人もいるだろうし。やっぱりステージ上って取り繕えないじゃないですか。僕たちはNOFXに対する感謝を見せたかったし、彼らをちゃんと送り出して、彼らの今後の人生を祝福したかったし、本当に誠実にその場にいたいと思ったんですよね。それを難ちゃんと話したんです。

難波章浩 めちゃマジでしたよ。でも、その流れの中で、ツネちゃんが亡くなった瞬間から、僕と健くんとの感覚がその前とはガラリと変わった感じがしたんですよね。例えば、ZAXのことをまだ120%いいとは思ってないのに待ってる感じとか、でも言うべきことはパシッと言ってくる。大まかに言うとプロデュース能力ですかね。それにこの期間、僕はけっこうヤラレたんですよ。「あれ?! 健くんスゴい」と思ったんですよね。

―― 健くんと難ちゃんがお互いを尊重しているところが、以前とは全然違うレベルになったと思うし、健くんが難ちゃんのピュアな部分を一旦受け止めて、さらにそこにスゴいものを乗せてくる感じがスゴくて。二人が一緒になった時のパワーアップぶりがスゴいことになっているのを感じるんですよね。それは二人の普段のやり取りだけじゃなくて、今回の制作においてもめちゃくちゃ発揮されていると思うんですよ。実際、こういう関係性を築けるようになったのは何故だと思いますか?

横山健 何でですかね。

難波章浩 研ぎ澄まされてるよね。やっぱり何かを乗り越えようとしてたのかな。そこでストレートになったのかな。

―― やっぱり二人は運命として出会っているから、その運命は避けられないし、この二人でやるしかないということがわかったからじゃないですか?

横山健 それはありますね。だからね、難ちゃんとの関係で嘘をつきたくないと思うようになったんですよ。今まで嘘をついたつもりもないけど、難ちゃんに正直になるってことは、自分にも正直になるということだから。でも、『THE GIFT』の頃からそうだったかもな。こういう人たちと巡り会えて、今この歳になって、この場所があるっていうのはスゴく幸せなことで、これって自分で努力しないとその場所はなくなっちゃうよなって、ある時点からスゴく思ったんだろうな。

―― あと、やっぱり難ちゃんの一番の理解者は健くんなんですよ。「難ちゃんのこのピュアな面白さをみんなにもわかってほしい」って話していましたよね。そこまで言うのもスゴいことだなと思って。

横山健 難ちゃんのことはもっとウケていいんですよ。ぶっ飛んでるんだから(笑)。

難波章浩 今、僕が健くんとスゴくいい感じになれてるのは、ツネちゃんからもらったものかなとも思うんですよ。ツネちゃんが亡くなって、安置所に横たわってた時のことですけど、ツネちゃんの胸に健くんと手を置いて、二人でウェンウェン泣いたんですよ。その時に、「健くん、いい人だな」って心から思って。「俺はこの人とずっと音楽をやっていたいな」と思ったんですよね。

横山健 大泣きしましたね。僕はね、難ちゃんの前でそんなに泣いたことはないんですよ。

―― ZAXが正式メンバーになって、新しいHi-STANDARDがスタートするわけですが、やるからには新曲を出そうということになったわけですよね。

難波章浩 そうなんですよ。それでいろいろな思いをiPhoneに録るわけですよ。それが出し場がないまま、どんどん溜まっていって。健くんにLINEで何十個も送るんですよ(笑)。それを実際に合わせてみたいんですけど、健くんはその時忙しくて。そういうタイミングでZAXが連絡をくれるんですよ。「いつでも付き合いますんで。俺がいますよ」みたいな感じで、LINEがボソッと来るんですよ。「じゃあ、スタジオに入っていい?」って言って。ちょこちょこ入っていくうちに、曲の断片が出来ていったんです。

―― その時の二人で入ったスタジオは、まさに新しいビートの追求でしたよね。ZAXが後で話していましたが、ZAXの改造が始まったわけですよね。

難波章浩 でも、ZAXのことを変えていいのかわからないじゃないですか。今までの人生もあるし、大人だし。でも、俺が厳しいんじゃなくて、ハイスタはもっと厳しいし、健くんのハードルも絶対に高いし、ハイスタ・ファンも厳しいんですよ。100%じゃなくても、ある程度みんなを納得させるには、ZAXの今までにプラス何かでバッコリ行かないと、そこには行けないよという話はしたんです。

―― しかも新曲作りとなると、音源のツネちゃんのドラムを研究するのではなく、自分でビートを作っていかないといけないですからね。

難波章浩 そこにもスゴいストーリーがあって。ZAXが新曲のアレンジを考えてる時に、俺も一緒にやってたわけですよ。そしたら結局、ツネちゃんの今までの音源にすべてのヒントが詰まってて。ツネちゃんのドラムが教科書になったんですよ。俺らが追求してる部分は、ツネちゃんのを聴いたら普通に全部やってたんだよね。それで、「ZAX、全部聴こう」ってなって。「この曲のここはこういうことじゃないかな? ツネちゃん、実はここでやってない?」、「本当っすね」ってなって。それがヤバかったんですよ。で、プラス、ZAXならではの味も当然あるので。

―― 最初に出来た曲は「Moon」ですよね。難ちゃんの中では、歌詞を書く前から曲のテーマは決まっていたと思います。まず難ちゃんに聞きたいのですが、どういうことをこの曲に込めたかったのですか?

難波章浩 ツネちゃんに向けた曲を作りたいなというのはあったんですけど、何故か最初から「月明かり」というのを考えてたんですよ。それが月になったのは、直感だったんですよね。

―― 偶然にも、ツネちゃんが昔書いた歌詞も、月がテーマだったんですよね。

横山健 若い時に三人でこたつに入って、ムチャ振りで「それぞれ、とりあえず歌詞を書くんだ」みたいな夜があって。その時にツネが書けないながらも書いたのが、「月が恋人なら毎晩会えて寂しくないのに」みたいな歌詞で。その次の行が「もし君が子供を産まなんだら」なんですよ(笑)。

難波章浩 それを汚い字で書いたんですよ。「何言ってんの?」ってなって、俺らずっとゲラゲラ笑ってて。

横山健 爆笑でしたよ。そのことをいきなり思い出して。「難ちゃん、これツネだよ!」って。鳥肌がブワーッと立ちましたね。

―― 「Moon」はツネちゃんに捧げる意味合いもあると思いますが、昔のエピソードをユーモアを交えて描いているのがいいんですよね。あと、「Our Song」では、難ちゃんが困難を乗り越えて立ち上がるというところから始まり、同じように困難を抱えている人たちに対しても寄り添っていて。どちらも今、大人になったから歌える曲だなと思いましたね。

難波章浩 ハイスタで育ったような子たちが今は大人になって、子供もいて、家族もいるような世代になって。仕事をずっとやってきて、ここから先はどうするの?みたいな、ひと段落してる時期の人が多いんですよ。でも、俺の同級生や後輩を見てると、何か元気がなくなっちゃってて。そういう人たちが今の日本には多いかなと思ったんですよ。元気になってもらえるようなメッセージになってるのは、いろいろ乗り越えたハイスタだから行けるんじゃないのかなと思ったんですよね。

―― 難ちゃんの場合、それこそ「ラーメン店をやってるけど、音楽活動をしていない」というような、ネット上の誹謗中傷もあったじゃないですか。制作期間中はハイスタのことを言えなかったのも辛かったですよね。

難波章浩 僕個人のことを言うと、やっぱりハイスタをやってるというモチベーションが、乗り越える糧になりましたね。曲作りにギアが入ってる時は、それがモチベーションでした。

横山健 たぶん難ちゃんは、それで世の中と指一本でつながったんじゃないかなという気がするんですよ。「俺、ハイスタやってっから」、「そのうち言うから」っていうのでね。僕もSNSを眺めてて、ハラハラしてたし、中傷は本当に嫌だなと思ったんですよ。難ちゃんだって一人の人間だから、そのテンションをパチンと切っちゃうかもしれないぜって。

難波章浩 だから、「俺は絶対に返り咲くぞ」と思って。あの配信の日を目標にしてましたね。あれを観て、大変な人たちのモチベーションにもなってくれたらなと思って。そこはハイスタで20代の時に歌ってた感覚とまた変わってきたのかもしれないです。

―― 「Song About Fat Mike」はタイトル通り、ファット・マイクのことを歌った曲ですが、曲調をNOFXに寄せてはいるものの、曲構成、メロディ、ギターも凝っていて、また新しい感覚があるんですよね。この曲が生まれた背景は?

横山健 あれはスタジオでの会話から生まれたんですよ。「NOFXに捧げる曲を作ろうか」って言って。それでいちから「こんな感じ」って言ってコード進行を考えてね、「ノーエフっぽい、ノーエフっぽい、うわあ」みたいな屈託のない作り方をしました。

難波章浩 頭は「Linoleum」みたいな感じで行こうって言って。で、「Fuck yeah yeah」でしょって。

横山健 ハイスタって、昔から歌詞は分業なんですよ。あの曲は僕が書くことになって。NOFXのことというよりもマイクのことにした方がいいなと思って、マイクの歌詞にしてみました。

―― 今回、クリックなし、トリガーなしでのレコーディングですが、この曲はそれで生演奏をやるカッコ良さ、面白さが十二分に出ていますよね。クリックなし、トリガーなしにした理由も聞きたいのですが。

横山健 難ちゃんがそうしたいって言うからですよ(笑)。

難波章浩 あの曲は歌詞がめちゃめちゃ切ないんですよ。気持ちはこもってるんだけど、「ありがとう」とは言ってないんです。「結局、君は世界を変えれなかったね」とか。「えーっ、言っていいの? 大丈夫かな?!」って思ったんですよ(笑)。

―― でも、パンクって、世界を変えてやろうと思って始める人が多いじゃないですか。この曲は、「パンクで世界は変わらなかったけど、今も俺はやってるぜ」って。そういう感じがしたんですよね。

横山健 まさにそうなんですよ。僕も音楽を始めた時は、音楽で世界が変わるって思ってたけど、現実はそんなことじゃないんですよ。でも、何人かの人生は変えたりできるわけで。その人の人生の中に音楽は残っていくんです。そういうことを言葉にしたかったんですよね。

難波章浩 だけど、「あなたは世界を変えれなかったけど、俺を変えたよ」とも言ってないんですよ。言ってないんだけど、言ってるんですよ。「言わないんだ?!」と思って(笑)。

―― 結論を言い切らないのが、リリシスト健くんらしい感じもしますけれどね。あの曲は、ZAXのドラムも凄まじいですね。

難波章浩 ZAXのツービートも変わったんですよ。そこもツネちゃんを研究したんだよね。ツネちゃんのビートって回転してるし、何か丸っこいんですよ。グルーヴと言えばグルーヴなんだけど、ずっと転がってるんです。そこで、ZAXのビートをいかに丸く転がせるかを研究したんですよね。だから、ツネちゃんと一緒に作ってるような感覚もありましたね。健くんが「4人のメンバー」って言いましたけど、「言うんだ?!」と思いましたよ。

横山健 いや、僕はただみんなが思ってることを言語化しただけですよ(笑)。お客さんからそれを教わったんですよね。

難波章浩 言ってた人がいるからね。

横山健 俺も「いや、今はこの三人だよ」っていう気持ちもありますよ。ただ、Hi-STANDARDっていうのは、現実だけじゃ良くないというか、スゴく希望とか思いとかをたくさん含んでるバンドなので。目に見えてるのは三人だけど、4人ってことでいいんじゃないかなと思って。

難波章浩 だって、実際にそうだもの。

interview by 大野俊也
Vol.03へ続く...

Interview Vol.03

―― 話は戻りますが、クリックなし、トリガーなしにした理由は?

難波章浩 一番のポイントは、初期衝動に戻りたいという気持ちが強くなったということですね。昔の音源はクリックを聴いてないんですよ。ツネちゃんは聴かないで録ってたんです。その後の『ANOTHER STARTING LINE』から『THE GIFT』はクリックを聴いて録ってるんですよ。だから今聴くと、ちょっとかしこまってて、何かに乗っけてる感じがするんです。でも、その前のツネちゃんのビートは何かうねってるんですよね。「あれって何だろうね?」って思った時に、「クリックを聴いてないんだ」っていうのに気がついて。元々クリックを聴いてやるつもりだったけど、レコーディングの前に外そうってなったんです。トリガーまで外して、生で行こうって。さらに、なるべくエディットもなしにしたんです。

横山健 結果、スゴいヒューマンな揺れが音源になりましたね。これはドラムだけじゃなくて、全部がそうで。ギターにもあるし、ヴォーカルにもある。人がやってる揺れがちゃんとパッケージされたと思うんですよ。今の音楽はデジタルで録るから、クリックを使って録るのがデフォルトになってるんですよね。そこを敢えて変えたくて。「じゃあ’90年代の自分たちの音源のスゴい良かったところはどこなんだろう?」、「たぶんヒューマンな揺れでしょ」っていうところに着目したんですよ。それがスゴく良かったんですよ。

難波章浩 めちゃくちゃ勇気は要りましたよ。実際、無理なポイントもあったしね。「これは歌えないよ、ZAX」みたいな。

横山健 でも、昔はそれでも乗り切ってたんですよ。だって俺、ツネに怒ったことがあるもん。ブレイク明けにスゴい突っ込んでくるから。「合わないよ!」って(笑)。

―― ZAXとしては、新しい試みだったんですか?

ZAX 初めてです。いやあもう、ドキドキっていうか。必死でしたね。

横山健 でも、やる前に不安とかを見せないんですよ。「あ、面白そうっすね」って、一言ですませちゃうんです。ビッとしすぎだよ(笑)。

難波章浩 ずっとツービートをやってるのもスゴいですよ。俺はあの長さは無理じゃないかって思ってたんだけど、健くんは「絶対このままの方がいいでしょ」って言って。

―― 「A Ha Ha」のユーモアも、ハイスタらしさがあってたまらないですね。デモの段階での仮タイトルが「ドリフ」でしたが、最初から「ドリフ」感は意識していたんですか?(笑)

難波章浩 やっぱりドリフターズってスゴいと思ってたから。志村けんさんが亡くなって、日本がつまらなくなっちゃったところはあるんですよ。やっぱりハイスタってドリフだったんじゃないかな?と思って。ドリフってスゴい綿密に作ってるユーモアで、ひょうきん族とは違うんですよ。そこはハイスタと似てるなと思ったし、ハイスタなら志村さんやカトちゃんみたいなヴァイブスを届けられるんじゃないかと思ったんですよね。

―― イントロのZAXの叫びも最高でしたね。

難波章浩 あれは最後にスゴいのが出たんですよ。レコーディングの一番最後だったんですよ。

―― ZAXはどういう気持ちであんなにスゴいものが出てきたんですか?

ZAX 「やれ」って言われたら、やるしかないので(笑)。3回目に出ました。

一同 爆笑

横山健 あれを録って、やっとメンバーになれた実感が出たんだよね(笑)。

難波章浩 成人した時にバンジージャンプで飛び降りる儀式みたいな(笑)。

―― 確かに、あれは儀式でしたね(笑)。それでまたスゴいのを出してきたから、「こいつは認める」みたいになりましたからね。

横山健 あの曲って、テンポチェンジが出てくるじゃないですか。どう戻ろうかというのが、スタジオで会話もなく出来上がったんですよ。あれはスゴくうれしかったな。今後のHi-STANDARDのポテンシャルを感じましたね。

難波章浩 実はあれも綿密に作ってるんですよ。展開とか何回もやったし、リードパートのこだわりもスゴいんですよ。

―― だから、聴いていて飽きないんですね。あと、ラスト曲の「Stand By Me」は、タイトルからして、最初からクラシックとなるのが決まっていたような曲ですね。

難波章浩 あれは健くんが持ってきてくれて。「ハイスタはこういうのが必要なんだよ」って。

―― ツネちゃんのことを歌っているんだろうけれど、歌いかけている相手についてはいろいろな意味に取れるんですよね。

横山健 あれは僕なりのツネに対してのものを書こうと思ったけど、いろんな人が自分の歌だと思ってもらえる内容は書けたと思いますね。

難波章浩 みんなに入り込んでいくんですよね。じわじわ来るんですよ。

―― 「Book Of Revelation」をカバーしたのは意外だし、面白いなと思って。The Mr. T Experienceは好きだったんですか?

難波章浩 Mr. T自体よりも、あの曲が異様に好きで。ツネちゃんと三人でよく遊びでやってたんですよ。

横山健 何なら’90年代にあの曲に似たオリジナルも作ったぐらいですよ(笑)。でも、「似ちゃってるね」って言ってやめたんですよ。

―― 歌は激ムズですよね。

難波章浩 ライヴで再現できるのかしら?っていうぐらい。あんなにムズいとは思わなかったですよ。歌い切ったけど、泣いてましたね(笑)。

横山健 あれは僕がスタジオで何気なく弾いて、何気なくみんなで合わせるようになって。一回、iPhoneで自分らで録ったのを持ち帰って、家で聴いて、とりあえず「うん、一回音を出せたからいいかな」って満足したんですよね。そしたら難ちゃんとZAXは火がついちゃって。「いや、録るっしょ」ってなって。「ヤベエことになっちゃったな」と思って(笑)。

難波章浩 ギターもスゴいもんね。激ムズですよ。スゴく健くんぽいし。チャレンジですけど、ライヴでやりますよ。

―― 今回、曲作りには時間がかかったものの、レコーディングは早かったですね。ドラムは予定よりも早く録り終えましたよね。

ZAX 一日巻きましたね。

―― 今までで一番和んでやれたレコーディングだったんじゃないですか。健くんは麻雀をやる余裕もありましたからね(笑)。

横山健 僕が麻雀をやらなかったら、もっと早く終わってましたよ(笑)。

一同 爆笑

横山健 でも、それもいいなと思って。若い時って、レコーディングは怒ったかのように集中しちゃうじゃないですか。それって歳を重ねるとしんどくなるし。今回は日常の中でレコーディングをしてるような感じがスゴくしたんですよね。

―― しかも、サウンドの方もとんでもなく良いものになりましたね。

難波章浩 まず、レコーディングが松金さん(P.O.D. STUDIOのエンジニア、松金昭治)でめちゃくちゃ良かったんですよ。だからクリックなしで行けたのかもしれない。

横山健 確かに。意思の疎通ができてるから。

難波章浩 松金さんとの関係は長い間をかけて構築されてきてるから。Ken Yokoyamaもやってるし、NAMBA69もやってるし。信頼関係もハンパないから。だからできたのかもしれないですね。

―― 録り音も良かった上に、ミックス、マスタリングもめちゃくちゃ良かったですね。

横山健 さすがビル・スティーヴンソンだなと思いましたね。「何かリクエストある?」って聞かれて、「ない!」って感じだったもんね。

難波章浩 一発でOKだった。

―― 先ほど、僕はハイスタの新しいチャプターが始まったと言いましたが、三人はこの作品が出来た時、どのようなことを思いましたか?

横山健 僕はスゴい面白い作品ができたと思うし、今のHi-STANDARDってものスゴく面白いと思うんですよ。ハイスタを聴いて育った人は40代、50代のみなさんが多いと思うんですけど、みんな悩みを抱えて生きてたりするじゃないですか。それを全部体現してるのって難ちゃんだと思うんですよね。困難があって、迷いがあって、決断があって、人との別れもあって。痛い目に遭って、楽しいこともあって。だから面白いと思ったんですよね。

難波章浩 やらなくていいこともやって(笑)。

横山健 でも、ちゃんと自分の居場所を作って、活躍して。そういうのって、ロールモデル的じゃないですか。でも、ロールモデルではないんですよね。普通に一緒に生きてるんですよ。彼らと全く同じというか。

難波章浩 その気持ちはあるんですよ。ジョン・レノンの曲で「Working Class Hero」ってあるんですけど、あれがずっと人生の根底にあるんですよね。ハイスタはこれだけみんなに聴かれて幸せなんですけど、影響を与えちゃってるし、あれだけ盛り上げちゃったんだから、「あのままじゃ終われない」っていうのは、そこにあるのかもしれないですね。その人たちのために何かしらのものを届けてからじゃないと、終われないって。

横山健 僕も当然そういったことを自分の人生に反映させて、みんなに見てもらってると思うんですよ。でもそれは難ちゃんの方が顕著だと思うんですよね。だから面白い存在なんですよ。

―― その健くんが面白がっているところも、最高なんですよね。健くんは、「みんながもっと難ちゃんを面白がった方がいい」って話していましたからね。

横山健 そうですよ。

難波章浩 健くんも面白いですよ。

横山健 でもね、自分で言うとバカみたいだけど、僕が面白いとしたら、わかりやすい面白さだと思うのよ。難ちゃんはむき出しで、みんなが怖くて見れないくらいの、スリリングすぎるむき出し。難ちゃんは同世代の彼らの人生、困難も含めて、全部体現してる気がするな。

難波章浩 そうかなあ。

横山健 Hi-STANDARDって、もちろん音楽ですよ。なんだけど、結局見られてるのって、そこなんじゃないかなって気がするんですよね。整った音とか、整った人生なんてクソくらえですよ(笑)。

―― こんなバンドに入ったZAXの気持ちも聞かせてください。

ZAX 一生懸命、頑張ります!

横山健 またお相撲さんになっちゃったよ(笑)。

―― ツアーに向けての抱負は?

ZAX いや、一生懸命やるしかないので。

一同 爆笑

ZAX 本当にそれしかないんです。経験したことのないツアーやし、アリーナなんかやったことがないし。3人対何万人って、経験したことがないんで。どうなるかわからないですけど、とにかく一生懸命やるしかないです。

難波章浩 さっきの健くんの、俺が面白いっていう話。そうかもしれないですけど、もし健くんと付き合うことがなかったら、たぶん俺はいないですよ。僕の妻もそうなんですけど、俺のことをウケてくれる人がいるっていう、その幸せ。それがハイスタだし、ハイスタがあって良かったなと思いますね。そういう風に言えるだけでも、この期間は報われたと思いますよ。

interview by 大野俊也