-- 今作はメロディを補強するコーラス・ワークが特に素晴しいですね。
YAMAKEN そうですね。気付いちゃいました(笑)?
-- もともとコーラスにこだわっていたバンドですけど、今作はそこに賭ける熱量が半端じゃないなと。
YAMAKEN 俺がいっぱいいますからね(笑)。健さんプロデュースで一番教わった部分がコーラス・ワークなんですよ。Hi-STANDARD、KEN BANDも聴いてる側が思わず歌ってしまうコーラスが多いじゃないですか。今回そこは一番こだわったかもしれない。コーラス入れ過ぎでしょ!と思うくらい入れて、ミックスのときに若干引きました。
-- YAMAKENもここまで歌ったのは初めて?
YAMAKEN いままでの作品の中で一番多いと思います。逆にめっちゃ少ない曲もあるんですけど、まあ、歌ってますね。だから、ライヴでどうやろうかなって、俺がいっぱいいるから。ライヴは俺一人しかいないから、今はどうしようかなって考えてます(笑)。
-- 言い過ぎかもしれないませんが、もはやツイン・ヴォーカルぐらいの勢いですよね?
YAMAKEN ブリンク-182みたいな? 外国のバンドは自分で作った曲は自分で歌いますもんね。
-- ちなみにコーラス/ハーモニーで参考にしたアーティストはいます?
YAMAKEN 似てる界隈だと、バッド・レリジョンですね。昔から好きですし、基本的に車で流していると、みんなでコーラスを歌いますからね。「Supersonic」のサビとか歌うんで。
-- ああ~! 最高ですね。
YAMAKEN あと、基本メロディがキレイなものが多いから。これは企業秘密なんですけど・・・リベラという参考にしている人たちがいて、そのコーラス・ワークが半端じゃないんですよ。もともと合唱は好きですからね。クラシック音楽のコーラス・ワークの良さから引っ張ってます。
-- 「Over And Over」のコーラスもミサ感がありますよね?
YAMAKEN そうなんですよ! 親がキリスト教だったから、教会にも行ってたし、小さい頃から賛美歌を歌ってましたからね。それは大きいかもしれない。賛美歌の独特なメロディ・ラインは好きですね。
-- パンク系バンドがあまりやらないコーラスの入れ方だなと。
YAMAKEN そうですね。ちょっと感動的になりますからね。あのコーラスがあるのと、ないのとでは違うのかなと。自分たちがいいなと思うものを突き詰めた結果ですかね。
-- あと、オープニングの「Intro」がドラム始まりというのも新体制感を打ち出したかったのかなと。
YAMAKEN そこは狙いましたね。ドラムが替わったから、ドラムから始めたかったんですよ。確か最後に作ったのかな。イントロからドキッとしますよね。それは2曲目の「Time To Go」とセットで作ったんですよ。あえてイントロで来た感を出さずに、「Time To Go」でKIKUOの声が入ったときに来た!と思ってもらいたくて。
-- 「Time To Go」はまさにザ・メロディック・パンクって感じですね。
YAMAKEN そうですね。歌始まりの曲を作りたくて、最初はもう少し曲も長くて、イントロもアルペジオにしていたんですけど。もう少しどストレートの方がいいかなと思って、ケツも切ってギュットまとめたら意外と良くなりました。メロディック最高!と言いたくなる仕上がりになったなと。
-- 「Your Imagination」はブライアン・ウィルソンのカヴァーですけど、オリジナルと言ってもいいようなハマリ具合で、このカヴァーも凄くいいですね。
YAMAKEN ハマッたっすよね! やっぱり凄いんだなと思いました。あの人はコーラス・モンスターだし、この曲はめちゃくちゃコーラスを入れましたからね。
KIKUO アルバムの中でもドキッとする曲ですもんね。いい位置に入れてますからね。
-- アルバムの5曲目という、わりと重要なポジションに収録してますよね。
YAMAKEN ほんとは後半に入れようと思っていたけど、あまりにも仕上がりが良かったんで。Hi-STANDARDで言うところの「The Kids Are Alright」(*ザ・フーのカヴァー)張りだったから、ここに入れちゃおうと。レコーディングする前はこんな感じかなと思ったけど、録ってみたら大化けしましたね。
-- この曲はブライアン・ウィルソンのソロ作『IMAGINATION』収録されてまさすけど、もとから知っていたんですか?
YAMAKEN レーベルの人に教えてもらったんですよ。みんなでいろんな候補を出していたんですけど、KIKUOの声に一番合いそうだなって。Hi-STANDARDの「LONELY」みたいな雰囲気にしたくて、一瞬でできましたね(笑)。
KIKUO 最初は歌ってて、大丈夫かなと思いました。曲の明るさと俺の歌がどう混じるのかなって。いざ歌入れするときは不安だったけど、コーラス・ワークとかプラスアルファの要素で曲がひとつにまとまったなと。
YAMAKEN キーが低いんだよね。KIKUOは基本ハイトーンなので、俺のコーラスはその下でやっているんですよ。でも「Your Imagination」は上でコーラスしてるんですよ、サビの部分だけ。それが意外と良くて、上でやってもいいんだなと。その分、俺は高いパートをやらなきゃいけないんですけどね(笑)。
-- SASAMORIさんはどうでした?
SASAMORI ドラムの話で言うと、初めて叩くようなビート感だったし、曲の作りも面白くて、サビで半音上がるんですよね。それも楽しかったですね。ヘンだけど、それを成立させて、超名曲にしているのは凄いなと。
YAMAKEN うん、あれは俺には作れないわ。
-- 曲を聴くのと、実際にプレイするのは全然違うと思いますが、カヴァーして何か発見はありました?
YAMAKEN 言ってもめちゃくちゃシンプルな曲なんですけどね。メロディなんて2個ぐらいしかないし、サビなんて連呼してるだけですからね。ただ、日本人だから歌謡曲で育っているんで、それとは全く違う要素が入ってるんですよ。だから、直接話してみたいですね。
-- ブライアン・ウィルソンと(笑)?
YAMAKEN はい。なんでこうした?って。歌謡曲はあんな転調の仕方はしないですからね。
SASAMORI しかもド頭のサビで転調してますからね。
YAMAKEN そう。サビの後半でも転調するなんて普通はやらないですから。一度、本人と話したいです。なぜそうしたんですか?って、理由を聞きたくて。
-- この曲に限らず、KIKUO君の歌も表現力が豊かになりましたね。
KIKUO そうなったのはYAMAKENのディレクションじゃないですかね。
YAMAKEN 違った?
KIKUO 1曲に対するアプローチの仕方を・・・毎回そこは試すんですけど、より挑戦して、いろいろやった気がしますね。自分の中のイメージも広がったのかなと。歌入れはわりと大変な作業で、技術的な部分は置いて、歌の表情はかなりトライしましたね。若干、声が掠れてもいいのかなって。キレイな声で艶のある感じが俺のヴォーカルだと思っていたけど、それは残しつつ、ハミ出してもいいのかなって。
-- ああ、なるほど。それと「Mistake」もド直球メロディック・パンクですね。
YAMAKEN パンク・ロックの色を強くしようと思って、すぐに作った曲ですね。
SASAMORI 多分、俺が入って最初に作った曲ですね。
-- そうなんですね。ベース始まりのイントロからニヤニヤしました。
KIKUO この曲もSASAMORIのビート感だからできたのかなと。
YAMAKEN 直球な曲って、プレイヤーとしては面白くないんですよ。だけど、ドラムに合わせて、楽器を弾いて、メロディを歌う。メロディック・パンクの根底の良さが出てる曲なので、そういう意味では楽しかったですね。いろいろやってきたからこそ、こういう曲もできるのかなと。確か俺が目立ちたいと言って、ベース始まりにしたんですよ(笑)。シンプルをテーマに作った曲ですね。
-- 今の耳で聴くと新鮮だし、すごく良かったです。
YAMAKEN そうですか? 俺はアルバムに入れる候補になかったんですけどね。おまえは入れてた?
SASAMORI 入れてました(笑)。
YAMAKEN ストレートなんですけど、アルバムの中で聴くと、それがいいフックになってますからね。
-- あと、今作のラスト2曲「Peace For Granted」~「Tomorrow Wont Be Another Today」の流れも好きなんですよ。ジャーニー感が漂う締め括りで作品のトータル性をグッと高めているなと。
YAMAKEN 最後の2曲に関しては・・・「Peace For Granted」は完全に遅い曲じゃないですか。アルバム用に聴かせる曲を作ろうと思って、アコギにするか、ゆったりした曲にしようと。最後の曲(「Tomorrow Wont Be Another Today」)は前半に持ってこようかなと思ったけど、レーベルの人から最後で良くない?と言われて。あっ、ハマるなあと思ったんですよ。最初はそんなにエンディング曲じゃないと思ってたんで、イントロもパンチがあるし・・・。
-- イントロはメロディック・パンクっぽいけど、ストーリー性のある曲調ですもんね。
YAMAKEN 確かにサビメロは壮大ですからね。
-- 「Peace For Granted」はアコギを入れたスロー・ナンバーですけど、歌メロがまた最高ですね。
YAMAKEN どちらかと言えば、ポップスというか、こういう曲を書く方が得意ですね。
KIKUO コード少なめでゆっくり聴ける曲が欲しいね、という話になって。スッと入ってくるメロディですよね。歌っても気持ちいいですからね。
YAMAKEN こういう曲はKIKUOの声に合うんですよね。
-- こういう曲を作れるのもDRADNATSの強味だなと。
YAMAKEN それは俺も思いますね。激しいだけじゃない部分も出せますからね。
KIKUO この曲は一番難しかったですね、特にAメロの雰囲気は。
YAMAKEN メロディに関しては絶対的な自信を持っているので、そのメロを良く聴かせるために、どういうイントロを付けて、どういうアレンジにするかに時間をかけますからね。あと、今回こだわったのはサビはいままでのDRADNATSでいいと思ってて。でもAメロはわざと洋楽っぽくしたんですよ。向こうの人はリズムの録り方が表じゃなく、裏で取るじゃないですか。NOFXを聴いても音符の配置が日本人と違うんですよね。平歌(*メロディの最初からサビまでのこと)は洋楽っぽくして、サビはザ・DRADNATSにしようと。それはどの曲に入れてますね。
-- それを意識したのはなぜですか?
YAMAKEN いままでありそうでなかったし、洋楽っぽさや日本人がやるメロディック・パンクっぽさも出るから、その融合ができたと思います。Jポップ感も・・・英語なのであまり出ないけど、Jポップとして打ち出してもおかしくないメロディとロックな感じをちゃんと入れられたなと。いままではそこまで狙ってやってなかったけど、今回はガチガチでやりました。改めて洋楽の良さにもたくさん気付いたし、なぜ洋楽はかっこいいんだろう?ってツッコんで考えたから。それが曲作りにも活かされましたね。
-- 今回の歌詞に関してはやはり4年を経たからなのか、また変わりましたね?
KIKUO そうですね。自分のひねくれた部分も書きたいと思ったけど、今回は伝わりやすい英語を優先したくて。「Standing」、「Tonight」とか聴いてパッと連想できる英語を盛り込んだ方がいいかなと。「Time To Go」もそうですけど、曲名だけですぐ解釈できるものにした方が一緒に歌いやすいと思うから。以前は日本語の歌詞を優先して、難しい英語や譜割にしてましたからね。わかりやすい歌詞が増えたと思いますね。
-- 歌詞の内容はどうですか?
KIKUO 日本語詞の曲は好きなんですけど、自分でそれを歌ったら吹いて死んじゃうと思うんですよ(笑)。でも鳥肌が立つようなロマンス的な歌詞も好きだから、今回は背伸びして書いてみようかなと。「Get Me Back」は男女の話というか・・・。
-- ラブソングっぽい内容なのかなと思いました。
KIKUO そうですね。
YAMAKEN ウチらいままでラヴソングはないもんね。
KIKUO 前作のアコギ曲(「My Very First Love」)もラヴソングだけど、ひねくれて書いてますからね。結局、うまくいかなかったというオチが付いてるから。だけど、今回はそこに一度挑戦しようと。
-- 「どんなに君が悲しい顔してても、何も言わずにずっと側にいるから」(「Get Me Back」)の歌詞とか優しさに溢れてますよね。
YAMAKEN キモいっすけどね。
KIKUO 30歳過ぎたおっさんが歌ってもと思うけど(笑)、そういう歌詞も聴いて育ってますからね。自分の性格とは真逆の歌詞に挑戦してみました。
-- 全体的には友達に贈る手紙みたいな内容が多くて、「No More Tears」とかそうですよね。
KIKUO 根本がヒネクレているんで、付いて来いよ!とは言えないけど。応援歌までいかないけど、背中を押せる内容にしようと。誰かに対する手紙みたいな感じはあるかもしれないですね。
YAMAKEN 前作は対・自分という内容が多かった気がする。今回をそれを経た上で・・・みたいな印象が強いかな。歳取ったんだよ?
KIKUO そうっすねえ。かもしれないです(笑)。今回は伝えたいという気持ちの方が強くなったのかもしれないですね。「Dance With Me」も書いてて、一番楽しかったですね。男の子が女の子に俺のロック・ナンバーを聴いてよってアプローチするけど、女の子は別に興味なくて、いい反応をしてくれない。でも君に対するベストな曲なんだよ!って、その光景を書くのが楽しくて。
-- 「What Is True Freedom?」の「向かった先に何もなくても。僕は歩き続けるって決めたんだ。」の歌詞には覚悟が漲っているなと。
KIKUO そこはドラムも替わって、一致団結して進んでいくという意思表示が出ているのかもしれないですね。
YAMAKEN 今は自分たちがかっこいいと思ったことを突き詰めた先に、たくさんの人がいてくれたら、それがベストだなと。いい意味でヘンに夢を追わなくなりましたね。夢なんて無責任な言葉だし、寝てるときに見ればいいものだと思ってるから。夢というより、自分の理想や目標をどんどん叶えていきたいですね。
Interview By 荒金良介
-- そんな時期を経て、新体制で動き初めてからも、曲作りはずっと続けていたんですよね?
YAMAKEN 時系列で言うと、前作のファイナルが終わった後に曲作りを始めて、12、13曲できたときに健さんに聴かせたら、全曲ナシにしようと言われたんですよ。「もっとパンクのマインドを入れた作品にしない?」と提案されて。それは面白いなと思って、その頃はトノがいたけど、その後すぐに抜けることが決まったので、それからまたすぐ曲を作り始めました。
-- 新たに曲作りを始めたときはどこにポイントを置きました?
YAMAKEN いままではコード感を大事にしてたんですよ。だから、パワーコードとかあまり使ってなくて、特殊なコードでいかに曲を色付けられるかを考えていたんですけど。それを一度置いて、グリーン・デイみたいにシンプルなパワーコードでガンガン押す方向に変えました。そしたら、すごく楽しかったんですよね。これこれ!って。
-- 健さんからもらった「パンク」というキーワードを踏まえて?
YAMAKEN そうですね。NOFX、ノー・ユーズ・フォー・ア・ネームとかシンプルだけど、奥深さもあるじゃないですか。メロディックの根底にあるものを突き詰めていくと、ロックンロール、カントリー、オールディーズに行き着いたんですよ。俺が好きだったメロディックの人たちは何を聴いていたのかなって、そこはめちゃくちゃ掘り下げました。グリーン・デイ、Hi-STANDARDを聴いてて、どうやったらこういう曲が作れるのかなって考えてましたからね。近くに健さんがいたので、いろいろ音楽を教えてもらったりして。
-- どの辺の音楽を聴いたんですか?
YAMAKEN クラッシュ、ローリング・ストーンズとかは全部聴きましたね。特にクラッシュは面白かったですね。あと、改めてストレイ・キャッツを聴いたり、カントリーでいいと思ったのはウィリー・ネルソンですね。ジョニー・キャッシュか、ウィリー・ネルソンか、どちらか聴いてみ?と健さんに言われて。ジョニー・キャッシュはいわゆるカントリーだけど、ウィリー・ネルソンはスウィートな感じのメロディが多くて、これはいいなと。
-- 改めて昔の音楽を掘り返して、どんな発見がありました?
YAMAKEN やっぱりみんなメロディがいい! 名曲ってかっこいいのは当たり前で、その上でとてつもなくキャッチーなんですよ。練って練っていい曲にしてるというより、ギターをジャーンと鳴らして、それ最高!みたいなノリなのかなって。オールディーズの人たちって、初期衝動最高!の集合体みたいな曲ばかりなんですよ。それと同時にシンプルかつキャッチーなメロディって、もう出尽くしているのかなと思って。60年代ぐらいにすべて完成されてて、後はそれをどうアレンジするみたいな。だから、どうしようと悩みました。
-- そこはどうやって乗り越えたんですか?
YAMAKEN KIKUOがヴォーカルだから、何をやってもDRADNATSになるんですよ。それは作り手として楽でしたね。この声だから、DRADNATSだよねと言われることが多いから。
-- なるほど。
YAMAKEN それからはシンプルというか、引き算が多かったですね。昔は足し算が多かったんですよ。足すことでオリジナリティを求めていたけど、今は引くことでオリジナリティを探ってます。
KIKUO 僕が歌うとDRADNATSになると言ってくれてるけど、今回の「Dance With Me」とか、これまでとは違う雰囲気のロック・ナンバーだから、歌い方も変わりましたね。いままで通りに歌うと、曲に付いていけないと思ったから。キレイな声を出すヴォーカルを求められていると思ったけど、今回は少しドライブした声を使ってみたり・・・・新しい引き出しというほどじゃないけど、新しいニュアンスを自分の中に取り入れました。曲の幅が広がった分、自分も対応しなきゃいけないなと。
-- そこは曲調に刺激された部分も大きい?
KIKUO そうっすね。
YAMAKEN ドラムだよね! SASAMORIのビートを活かせる曲って、こういう感じだよねって。その作業がとにかく楽しかったんですよ。いままでになかったものだから。ビートに引っ張られて、ギターのリフやメロディが変わることはいままでなかったから。
-- ビートに引っ張られるとは具体的に言うと?
YAMAKEN 超前のめりで、イケイケなんですよ。特に「Dance With Me」はSASAMORIじゃなければできなかった曲ですね。俺もKIKUOも、ああいう3コードのシンプルな曲をやりたくて、何度かチャレンジしたこともあるんですけどね。あの曲で新しい扉が開いたし、それを引っ張ってくれたのはSASAMORIのビートでしたからね。
SASAMORI YAMAKENさんが考えて、ドラムのビート感が活きる曲を作ってくれたので。オケだけで合わせたときに、最初は大丈夫かな?と思ったんですよ。メロディック・パンクから離れた曲になるんじゃないかと思ったけど、KIKUOさんの歌が乗った瞬間にDRADNATSになるのは凄いなと思いました。自分もいままでのドラム・スタイルとは違ったけど、すんなりとやれましたね。
YAMAKEN ストレイ・キャッツを聴いて、ブライアン・セッツァーもめっちゃコピーしたんで、グレッチを1本買いましたからね。結構、練習しました。
SASAMORI それでタッピングをやったんですよね?
YAMAKEN そうだね(笑)。「Dance With Me」の速弾きはめっちゃ練習した。
-- 確かに「Dance With Me」はDRADNATSの新境地ナンバーであり、体が自然と動く曲調ですもんね。その後の曲作りもトントン拍子に?
YAMAKEN もともと曲はひらすら作りまくるタイプなので、あまり曲作りで頭を悩ませることはないよね?
KIKUO むしろスピードは早くなったんじゃないですかね。
YAMAKEN そうだね。難しくする作業が減ったから、これでいいんじゃない!って。めちゃくちゃ曲は作りましたから。SASAMORIが入ってからも、24曲ぐらい作ったかな。トノがいた頃も40曲ぐらい作りましたからね。
-- 今作は前作とまた作風が変わりましたね。DRADNATSのルーツにある90'Sメロディック・パンク愛を感じると同時に、オールディーズやロックンロールの古き良きエバーグリーンなメロディ・ラインの良さも前面に出てて、メロディ感は過去最高の仕上がりだと思う。
YAMAKEN 前作と今作の一番の違いは・・・これ言っていいのかわからないけど、今回は自信がある。前作は健さんプロデューサーだったので、健さんがゴーだったら、ゴーにしたんですよ。仮に100%納得してないところがあっても、プロデューサーがゴーだったら、そうしないと意味がないと思ってましたからね。でも今回は100%俺なので、自信があるというか、文句を言われても全部答えられる作品なんですよ。曲に関して、ちゃんと説明できますからね。それで嫌と言われたら、すいません!と謝るしかないなと。
-- 1stEP『LEAVE NOTHING UNSAED』は元スーサイド・マシーンズのダンによるプロデュース、前作『MY MIND IS MADE UP』は健さんプロデュースで、今作はセルフ・プロデュースとはいえ、これまで関わった人の思いを含めたセルフですもんね。
YAMAKEN そうですねえ。前作が健さんプロデュースだったからこそ、今作の気合いの入り方は半端じゃなかったですね。前作は前作で健さんにプロデュースしてもらうから、生半可なことはできないし。いままでこんなに頑張ったことがあるかな、と思うくらい頑張りましたけど。今回は今回でやっぱり横山健がいないとダメなんだって言われた日には、ふざけんなよ!ってなるじゃないですか。そういう意味で気合いは入ってましたね。俺らが今作をセルフで出すことで、健さんの株を上げることだけは嫌だったから。
KIKUO はははは。
YAMAKEN 俺らの株を上げなきゃいけないんで。俺らが凄いと思われて、健さんが凄いと思われたらいいけど、俺らがダメで健さんが凄いと思われるのは嫌だったんですよ。まあ、健さんは凄いんですけどね(笑)。
Vol.03へ続く
Interview By 荒金良介
-- 今作は前作から4年間空きましたけど、待った甲斐のある、めちゃくちゃいいアルバムができましたね。まず作り終えた感想から教えてもらえますか?
YAMAKEN この4年間いろいろあって、集大成という形で全部出したというよりも、やっとできたなと。メンバー・チェンジもあり、またスタート・ラインに立ったという思いが強いですね。
-- そうなんですね。
YAMAKEN メンバーが替わったのが1年前で、それからライヴはやっていましたけど、どこかまだ始まった感覚がなかったから、やっと始められるなと。
-- KIKUO君はどうですか?
KIKUO 同じような印象で、今回レコーディングに入ったときも久しぶり感が強くて、しかも叩いている奴が違う。今回は新たなバンド、新しいものを生み出すという気持ちだったから、それは1stアルバム(『New Unseen Tomorrow』)の感覚に近くて。彼(SASAMORI)はまたドラムの雰囲気が違うし、だからこそ出てきた曲もありますからね。実際この作品が3月に世に出て、レコ発ツアー初日を迎えたときにほんとのスタートが切れるかなと。
-- SASAMORIさんはいかがですか?
SASAMORI 2人が言った通り、始まった感はありますね。やっと自分が携わった作品が世に出せるので。あと、ライヴで新曲を初めて人前でやったときに、始まったなと感じました。
YAMAKEN 今、ライヴで「Time To Go」、「Get Me Back」をやってるんですけど。
SASAMORI お客さんはどう取るかわからないけど、自分的にはすごく刺激的でしたね(笑)。まだみんな曲を知らない状態だけど、あの感覚はたまらなかったですね。
-- 今作の「Get Me Back」はちょっと1stアルバムっぽい印象を受けました。
YAMAKEN あっ、そうですか? 基本的にメロディック・パンクは速いビート感のものが多いけど、そうじゃないところで、代表曲になるものを作りたくて。1stアルバムの頃は知識もなかったし、良くも悪くもシンプルに作っていたから。意外と1stアルバムっぽく感じたのかなと。よりキャッチーに寄せたし、わかりやすいですからね。
-- これは個人的な感想ですが、当時1stアルバムを聴いたときにKIKUO君の歌声を含めた透明度の高いメロディから、雲一つない青空を連想したんですよ。「Get Me Back」も青空が見える曲なんですよね。
YAMAKEN 見た目は青空ないっすからね。
KIKUO ははははは。
-- ここからは振り返って話を聞きたいんですが、前作(『MY MIND IS MADE UP』)を出して、レコ発ファイナルを渋谷TSUTAYA O-WEST(14年10月18日)でやりました。あの日もとてもいいライヴでしたけど、当時の心境はどうでした?
YAMAKEN やっぱり「PIZZA OF DEATH RECORDS」、横山健プロデュースでやってそれ以前よりもセールスは倍以上になりましたが、ライブの動員などでみんなが思い描いていた最高と言える結果を残せなかったという罪悪感が半端なくて。ツアー・ファイナルのTSUTAYA O-WESTのライヴもみんな良かったと言ってくれたし、結果がすべてじゃない部分もあるけど・・・食らいましたね。これからどうするかなって。
-- ファイナルを終えて、気持ちがドーンと落ちた?
YAMAKEN 落ちたというか、どう落とし前をつけようかなと。
KIKUO 前作のツアーを振り返ると、毎回のライヴに一生懸命でしたね。ただ、目に見える動員がまだ足りてない現実もあったから、不甲斐ないとは思ってました。ファイナルを終えた後はやった!という実感はありましたけどね。僕は性格的に楽観的というか、次どうしようという考えもすぐに浮かばなかったし、ファイナルは達成感もありましたからね。やっぱり、やりたいことをやって結果を残したいし、そこは貫かなきゃと再確認しました。(YAMAKENが)1年ぐらい落ちていたと言ってたけど、僕は一緒にいて、そこまで感じなくて。
-- あっ、そうなんですか。
YAMAKEN うん、メンバーに当たるタイプではないから。全く関係ないサラリーマンの友達にめっちゃ当たってました。
-- 友達はいい迷惑ですが(笑)。
YAMAKEN はい。何もわかってない奴にキレるみたいな(笑)。
SASAMORI ははははは。
KIKUO それこそ「日本語で歌ったりしないの?」と言われた時期もありましたね。
YAMAKEN そう!それはほんとに多かった。
KIKUO お客さんには言われないけど、友達や家族に言われましたね。
YAMAKEN 姉ちゃんにも言われました。「何を歌っているかわからない!」って(笑)。前作のファイナルが終わって、俺が落ちている頃、スタジオでメンバーと話したんですよ。「このままの楽曲で日本語でやったらメシ食えるとなったら、どうする?」と聞いたんですよ。トノ(前任ドラマー)はそんなのできん!と言うと思ったけど、KIKUOは何て言うかなと。聞いたときは「いや、悩むっすねえ」という答えだったけど、スタジオでリハを終えた後、「俺、やっぱり自分がかっこいいと思うことしかできません!」って。その言葉を聞いたときに、このバンドを続けようと思ったんですよ。まだかっこ良くなれるなと。俺がかっこいいと思うものと、ヴォーカルがかっこいいと思うものが一緒だったから。よし頑張ろう!と。
-- YAMAKENはその言葉を聞いて嬉しかった?
YAMAKEN いや、KIKUOさん意外とパンクスだなって(笑)。あまり口に出すタイプじゃないけど、自分がかっこいいと思うものはちゃんと持っているんだなと。それでメロディック・パンクをやっていこうと思いました。
-- で、前作のファイナルを終えて、すぐに曲作りを始めたんですよね?
YAMAKEN すぐに始めましたね。これまででもアルバムを出すまで期間の空くタイプなので、レーベルとも話しつつ、準備だけはしておこうと。いつに出すとかは全く決まってなかったけど、いつでも出せる状況だけは作ってました。
-- 作り始めた当初はどんな曲調を目指してました?
YAMAKEN やっぱり前作の流れを汲んだものが多かったですね。メロディックのパンク部分よりも、メロディ部分重視みたいな曲が多かった気がしますね。
-- 今作の作風とはまた違うわけですよね?
YAMAKEN ちょっと違いますね。一応、今回もトノがいた時代に作った曲もありますからね。アレンジし直して入れました。でもファイナル終わってすぐにできた曲は入れてないですね。
-- なるほど。話は変わりますが、DRADNATSドキュメンタリー「MAKING OF"ONE HIT TO THE BODY"Pt.1」でYAMAKENとKIKUO君が前任ドラマー・トノ君のことを評して「友達になれない」と言っていたくだりはちょっと笑いました。
YAMAKEN KIKUOの話、めっちゃ面白かったですね。あれはマジで笑った。俺もその話は知らなくて、DRADNATSやる前でしょ?
KIKUO いや、DRADNATSですよ。俺はトノの家に行くのは嫌で・・・酒癖悪いのも知ってたんで。何かの流れでウチ来いや!となって、自分を奮い立たせて行った1回で、僕だけに全力でミスチルの曲を歌い始めたんですよ。しかもハーモニカとか吹き始めちゃって・・・。
YAMAKEN はははは、それカオスだな。
KIKUO やっぱり来なきゃ良かったなと。
SASAMORI ははははは。
-- とはいえ、トノ君は凄まじくキャラクターが立っていたし、ファンにも愛されてたじゃないですか。
YAMAKEN うん、今考えても、あのキャラは貴重でしたね。
-- トノ君ラストの新宿ANTIKNOCK(16年10月14日)も盛り上がりましたね。
YAMAKEN 脱退ライヴですからね。正直、バンドとしては未来を見ていたので、あまり乗る気じゃなかったんですけど。レーベルの人に相談したときに、トノのキャラもあるし、文面だけで終わるのも失礼なんじゃないって。
KIKUO トノは家業を継がなきゃいけなくて・・・。
-- ビスマン(お菓子屋)ですね。
KIKUO そうですね。トノを慕うお客さんも多かったから、そういう意味ではやって良かったなと。あいつもそう思ってるだろうし。ただ、辞めると言ったときに可能であればYAMAKEN、KIKUOも九州に来ない?と誘われて。
YAMAKEN 言ってたわ(笑)。トノはバンドをやりたかったんでしょうね。
KIKUO 今となっては笑い話ですけどね。トノ脱退後、バンドはほぼ止まってないですからね。
-- ですよね。KIKUO君がSASAMORIさんを連れてきたんですよね?
KIKUO そうですね。出会いはライヴハウスで、彼はBULLというバンドのドラムだったんですよ。
SASAMORI 新宿ANTIKNOCKの昼オーディションに申し込んだときに、「DRADNATSのKIKUOさんですよね?」と挨拶したのが初めてですね。
KIKUO それから何度かBULLのライヴを観たりして、知ってましたからね。荒削りだけど、音がでかくて、2ビートが聴いてて気持ちいいドラマーだなと思って。で、(YAMAKENに)そういう奴がいるんですけど、会ってみます?と聞いて。
YAMAKEN 高円寺のデニーズで会ったんですよ。で、「この世で一番好きなバンドは誰?」と聴いたら、「ペニーワイズです!」と言ったから、採用って流れです。
全員 ははははは。
YAMAKEN じゃあ、今度一度スタジオに入ってみよう、という流れになりました。最初からSASAMORIはやる気でしたからね。
-- その頃、BULLは活動してたんですか?
SASAMORI 僕がやっていたバンドはほとんど動いてなくて、年に1、2回ぐらいしかライヴもやってなかったんですよ。もうひとつバンドのサポートをやっていたけど・・・声をかけてもらったから、やるしかないでしょ!と思いました。個人的に昔からメロディックも好きでしたからね。誘われたときはめっちゃ悩んだけど・・・「やりたいことは何なの?」と聞かれて。
YAMAKEN それは言った気がする。おまえ、なにをやりたいんだよ!って。バンドっす!と言うから、当時婚約してたんですけど、ウチはそういうのないから、破棄しろ!って。
-- ええっ!(笑)。
SASAMORI はははは。破棄しました。まあ、いろんなタイミングが重なったんですけどね。婚約してから5、6年経ってたんですよ。さあ、バンドをがっつりやろうと思ったときに、ライヴハウスで働いていたけど、その給料じゃ結婚させられないよって、向こうの親にもプレッシャーをかけられてて。でも俺はバンドをやりたいし、音楽に携わりたいから。これ以上、待たせても悪いから終わりだ!って。
YAMAKEN イケてるっすよねえ(笑)
SASAMORI 向こうの親には謝りましたけどね。
-- YAMAKENはSASAMORIさんのバンドに対する姿勢を見たかった?
YAMAKEN いや、俺に彼女がいなかっただけです。俺が曲を作ってる間にイチャイチャされたら、たまんないじゃないですか(笑)。
-- では、スタジオで合わせたときの感触は?
YAMAKEN 良かったですよ! 比べる対象がトノになるけど、トノはポップス向きのドラマーだったんだなと。SASAMORIはビートがどパンクなので、これは面白くなりそうだなと。
KIKUO 同じですね。タイプが全く違ったから。
-- SASAMORIさんはどうですか?
SASAMORI 本物だ!って(笑)。
YAMAKEN は?
SASAMORI ただのお客さんというか、聴いてる側だったんで。バンドで初めて合わせたときは、初めてコピバンをやったときの感覚に近かったです。ブチ上がりました(笑)。
-- SASAMORIさんから見たDRADNATSの印象というと?
SASAMORI 由緒正しきメロディック・パンクをずっとやってる印象ですね。ヴォーカルの声にもクセがあるし、コンピに入っても一発でわかりますからね。やばいバンドだなって。
YAMAKEN SASAMORIとスタジオに入ったのが一昨年の6月で、その頃トノはまだ抜けていなかったんですよ。俺らはトノとSASAMORIの2人と別々でスタジオに入っていたから、キツかったよね?
KIKUO そうっすね(笑)。
SASAMORI 昼夜でスタジオに入ってたと言ってましたもんね。
YAMAKEN モチベーションの保ち方も難しかったし、ビート感も全然違ったから。
KIKUO トノも気を遣っていたし・・・。
YAMAKEN 「新しいドラムの奴はどうなの?」みたいな話も全くしなかったからね。
KIKUO あいつ(トノ)のスイッチが切れて、どんどんヘタになっていくのもわかったから。
YAMAKEN ははははは。
KIKUO 本人も自覚してると思うんですけどね。だから、ディスじゃないですよ(笑)? 終わりが見えている人と、ここからスタートする人とは違いますからね。
Vol.02へ続く
Interview By 荒金良介
下記、対象店舗にて2018年3月7日発売(3月6日入荷)「ONE HiT TO THE BODY」(PZCA-82)をご購入いただいたお客様に、先着で入場予備券を配布いたします。
対象店舗での入場予備券には限りがございますので定員に達し次第配布終了とさせていただきます。
イベントは入場予備券のみでは入場できません、整理番号付イベント券への交換が必要となりますので【入場方法】をご確認の上お越しください。
タワーレコード: 高崎オーパ店、浦和店、イオンレイクタウン店、アリオ鷲宮店、アリオ川口店、アリオ上尾店
セブンパークアリオ柏店、アリオモール蘇我店、津田沼店、ららぽーとTOKYO-BAY店、アリオ亀有店
タワーミニ汐留店、秋葉原店、八王子店、ららぽーと立川立飛店、町田店、吉祥寺店、池袋店
新宿店、渋谷店、リヴィン光が丘店、アリオ橋本店、ダイバーシティ東京プラザ店
横浜ビブレ店、川崎店、グランツリー武蔵小杉店、西武東戸塚店
楽曲解説 by YAMAKEN
なぜ今回このようなインストの曲を作ったか…
やはりドラムメンバーが変わってからの初のフルアルバムってこともあり、新たなスタートって意味も込めて、ドラムの音から始まる曲を作って見たかったんです。
笹森のビートから曲が始まり、オレとキクオが同時に入ってくる。
まさに新生DRADNATSのプロローグなんです。
曲の始まりにメインテーマをもってきて、イントロはメディックパンク全開の疾走感あるギターリフをもってきた。 途中に壮大なメロディとそのメロディをさらに感動的にさせるコーラスワークはかなりこだわった。
Tr.1のIntroから是非続けて聴いていただきたい1曲。
この曲は実は昔からあった曲で、笹森が加入後イントロのギターリフを筆頭にアレンジし直して、シンプルでど直球に仕上げた。
リズム展開も少なくシンプル is ベストな1曲。
イントロのアルペジオ一つにしても、よくある感じではなくDRADNATSらしさ、そして何よりオリジナリティがありかつ、わかりやすいアルペジオをイメージして作った。
メインテーマ(サビ)もオレの真骨頂でもある追っかけのコーラスをふんだんに盛り込み、
「これどーやって3人でやるの?」
と思われるぐらいこれでもかとコーラスが入っている。
当初オレはこの曲をアルバムのエンディングソングとしても考えていた1曲。
どの曲をやろうかなと考えていた時に、数曲の候補曲の中にあった1曲。
だが、そもそもこの曲の作曲者Brian Wilsonはコーラスモンスター(これでもかというぐらい入れる)なので、果たしてうまくアレンジできるかは心配だったが、メロディはキクオの声にはベストマッチするイメージもあったし、何より曲全体のアレンジはすぐに浮かんできたからチャレンジした。
コーラス問題もレコーディング中にオレが増やしに増やして最終的にこの形までもっていった。
全体のアレンジイメージはハイスタの「Lonly」を少しだげイメージしてやったのが面白かった。
間奏の部分、いきなりとテンポダウンして、ギターはアルペジオからカッティング、ベースソロでいきなりの海感を出している。そして一気にギターソロで爆発させ後半につなげるところはかなりこだわった。そして最後にVoとChoが畳み掛けてくる。このアルバムの中でも1、2を争うチャレンジ曲。
ドラムのロールでいきなりに始まり、ギターのメインリフで一気にフルスロットル。
この曲は作っている段階でもかっこいい!ってメンバー内で話していた。
そして何よりもこの曲で注目してもらいたいところが2箇所あって、一つはメインテーマのコーラスワーク。やはりこういう曲は思わず拳を上げたくなるコーラスワークは必至。
Voに対してChoがハモリながら追っかけてくる。これまさしくメロディックパンクマナーwww
そしてもう一つは、間奏&アウトロのビート感。かなり細かいことだが、全てのパートが別々のことをやっているのだ。普段きちきちに合わせる曲を作るが、この曲のこのパートに関しては、あえて別々のことをやって奥行きを出すことにチャレンジした。
ライブで演奏していても勝手に感情的になってしまう1曲。
そう!その名の通り、ダンスナンバーです。こういった曲は実はずっと前から作ってみたくて、ってか作ってはボツにしてをひたすら繰り返していた。なぜかというと、こういう曲でDRADNATSさを出すのが非常に難しかった。どこかありきたりなものしかできなかったり、いまいちかっこいい仕上がりにならなかったりとイメージはあるもののそれをうまく形にできなかった。
しかし今回いい感じで仕上がったのは、やはり今までのDRADNATSにはなかった、笹森のビート感があったからだろう。笹森のビート感は荒く不器用ではあるが、それがまさにパンク感を生み出し、ハイトーン美声のキクオのVoと楽曲をうまくマッチングさせてくれている。
オーバーな言い方になるかもしれないがこの曲がDRADNATSの可能性をさらに一歩先へと導いてくれる気さえする。
イントロから明るさの中にどこか切なさをぶち込んだ。
この曲、実は前ドラマーの殿畑時代にできた曲で、要はボツ曲の中からアレンジし直して今回のアルバムに入った曲でもある。ドラムが変わると(ビート感)曲の印象もガラッと変わる、今まではただのいい曲だったが、ドラムが変わることによって曲の完成度がぐっと上に上がった。
特に後半の切なさに拍車がかかるサビは、まさにオレがやりたいことの一つでもある、メロディはそのままで、コード感を変えてさらに切なさを引き上げた。
パンクバンドというくくりのなかでいったら、この曲はPOP SONGになるのかもしれないが、そこがメロディックパンクのいいところ、もっと言えば強みにもなっているんではないかと思ってる。
そんな1曲。
前作の「My Mind Is Made Up」に収録されている、
「#SUMMER DAYS」の続編。
前回の「サマーデイズ」というパートは健さんがかましてくれているが、今回は笹森がかましている。
そしてこの曲の1番のこだわりは、全てを人力でやっているといこと。
波の音、カモメの鳴き声、それら全て人力でやっている。
始まった瞬間にワクワクする感じを意識した。ドラムから始まりギターが入りそしてベースが入って、一気に曲が始まる。疾走感をビートで出したかったし、何よりシンプルかつストレートにしたかった。メロディも2パターンしかない。でもそれでいい。
って思える曲に仕上がった。
いわゆるメロディックパンクな曲だが、やはりキクオが歌うことによって完全にDRADNATSになっている。
個人的にツボなのは2回目のサビ前のブレイクでバスドラムが3発入るところがツボ。
なんといってもメロディが良すぎる、好きすぎる。
そしてキクオの声に会いすぎる。
シンプルにここまでグッドメロディができることもオレの中では稀なことで、普段はグッドメロディを突き詰めすぎて難解な曲になってしまうこともしばしば。
でもこの曲は本当にソンプルにメロディ、コード感ができた。
特にラストのAh-のシンガロングパートは壮大かつ感動的な仕上がりになった。
ライブで皆さんと一緒に大合唱できたら、多分泣く。
もしもこの世にパンンクロック曲を作るときのルールがあるとしたら。まさにこの曲はそのルールに沿った曲なんではないだろうか。言い方を少し卑屈にすると、昔流行っていた感じのメロディックパンクソングといったところw
でも聴く人が聴けば、「そうそう!これこれ!これなんだよ!」
要はそういうこと。
新しいもの、今までになかったもの、誰もやってなかったこと、もちろんそれら全て表現者、アーティストとしては大事なことだと思う。ただ自分たちが好きなこと、影響を受けてきたものだって大事。だからこそこういう曲を作った。
しかしながらDRADNATS感は確実に出ているし、いわゆるヤマケン節もふんだんにぶち込まれている。サビでの跳ねるビートはその切なき泣きのメロディをキャッチーに変えてくれる働きをしてるし、サビのベースラインはとにかく動きまくっているのでメロディをさらに重厚なものにしている。
そして、この曲の1番の特徴は間奏明けのCメロ。
ここの関しては作った当初は3人で大丈夫なんこれ?っと言ってしまうほど今までに無いものすぎていた。でもその今までにないものもやってみたかったからこその1曲でもある。
そしてコーラスワークもヤマケン節が大爆発している。
ちなみにこの曲がライブでやるのが1番難しい(ベースが難しいからw)。
こんなこと言ったら「なんで早い曲やってんだよ!」と言われてしまうかもだけど、キクオの」声はスローな曲にやたら映える。
前作ではアコースティックな1曲を作ったが、今回はバンドサウンドでスローな曲にチャレンジした。この曲に関してはかなり悩んだ。悩んだというよりメロディがなかなか定まらず、コロコロ変わっていた。それはメロディ先行で曲を作るオレとしては割と珍しい現象。
コード感にあったメロディにたどり着くまでかなりの時間がかかった。
そのおかげもあってアルバムをエンディングに誘う最高の1曲に仕上がった。
この曲はイントロがなかなか面白くて、ギターとベースがフレーズ感をユニゾンしている。
ゆっくりなビートから入って、一気に爆発。そしてAメロ突入と勢いのある出だしになっているが、サビで一気にビートが下がり、シンガロングになる。
まさにエンディングテーマ感全開。
構成もシンプルで余計なことは一切やってない。
リズムパターンとコーラスワークで後半に向けどんどん盛り上がっていくようにした。
最後は一気に2ビートになりメロディックパンクバンドDRADNATS万歳!!
っといった感じを出したかった。見事に出てるんじゃないかな。
歌詞解説 by KIKUO
誰でも大人になり、現実と立ち向かう時に忘れてしまう事。また、諦めてしまう事だと思います。でも簡単には諦められないロマンが詰まってるはず。人生が旅だと例えるなら、目標が無ければどっちに進むか分からない。いわばコンパスが目標だったり夢なんだと思います。
くだらないって思う事が明日の活力になったり、何が起きても笑ってくれる場所。
きっと何年もライブハウス行ってない方も沢山いると思います。でも昔は良く通ってた人ほどライブハウスの遊び方を知ってるはず。
そんな人達に戻ってきて欲しいし、そのきっかけにDRADNATSがなれたらと本気で思ってます。ライブハウスを遊び場にしていた先輩として、どうぞドヤ顔で戻って来て下さい。
大好きな彼が一生懸命に伝える姿勢に少しづつ彼女もロックに惹かれて行く風景が見えます。まさに歌詞の世界にいる彼女と俺は同じ心境でした。触れてみると分かる新しい世界。今作の中で1番歌詞を書いてて楽しかったです。
とくに20代前半の皆んな!!
許される内に暴れまくりましょう!
何が間違いだなんて、教科書読んだって分からないよね?体で学べば良いんです。
この曲のベースラインぐらい激しく行きましょう!
「君=自分が思う理想の自分」が正解です。
そうやって改めて歌詞を読んでみると納得してもらえるかと思います。とことん弱い自分が理想の自分を追い求めてる。何も努力せずただ状況が変わるのを待つだけ。でも状況なんて変わらないから次第に自分で自分を嫉妬する様になる。いわば究極の孤独を表現しました。
地方から東京に勝負しに来た人達から見える世界と、実家に守られて生きてる人の世界を表現した歌詞になってます。
別に実家にいる事が悪いって言ってる訳では無いです。でもこの歌詞の様に見える景色は違うはず。自分のする事に責任を持って生きていく事ってとても大事なんだと思います。
誰にも平等に時間があって、それすらも理不尽に奪われてしまう。そんな繰り返しだと、自然と考える事を諦めて身を委ねるだけになってしまった悲しい奴の歌詞になってます。
でもそんな時ありません?もう考える事すら放棄したくなる時ありません?
後半にある「君は僕の生き方をどう思う?他人の人生なんて興味無いよね?」みたいな事を思ってしまう時が誰にでもあるはず。
そして、誰もが自分の事が1番大事。どんな綺麗事を言っても自分が1番って事を書いた曲です。それこそが真実で偽りが無い事だと思います。