『横山健の別に危なくないコラム』
Vol.103
「お詫び」
ずいぶん久しぶりの文章になるので、まずここから始めなければいけない。
昨年9月、オレは体調を崩した。翌10月に O-EAST でのライブ「PUNKROCKERS BOWL」を控えていたがキャンセルしてしまった。このライブのチケットを購入して楽しみになさって下さっていた方々、皆さんの楽しみを実現させられず、申し訳ありませんでした。
このライブのために動いてくれていた方々、一緒にライブをやるはずだった COUNTRY YARD と ENTH のメンバー及びスタッフの方々、会場の方々、ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ありませんでした。
もう体調はすっかり戻りました。皆様にはご心配をおかけいたしました。大変申し訳ありませんでした。
「体調」
体調を崩したというのも、また「抑うつ状態」になってしまったようだ。わからない、こうした症状は医師によって診断が違うし、「傷ができてしまいました」というようなものではないから、一体何なのかはっきりと呼ぶことが難しい。自分の経験則で言うと、たぶん今回も抑うつ状態だったのだと思う。
しかし今回はとても軽度だったようだ。オレはこれの酷いのを30の時にやっている。それ以来ずっと危険を察知するたびに、自分に「処理能力を超えてはいないか?」と問うようにしてきた。ここ20年の間にも危ない時を何度か切り抜けてきたが、今回はそれらのものとは程度が違うヤバさを感じた。ちょっとマズかった。
原因はわからない。飛び抜けてストレスや負担になるようなトピックが自分の生活の中に見当たらないのだが……ストレスはあったっちゃーあったのだが、そりゃ生きてりゃみんなそれくらいはあるでしょというレベルのものだ。
他の人はどうだかわからないが、オレの場合はこうなると、原因を探して除去することが症状の飛躍的改善につながるわけではない。以前は鬱や抑うつのことを「心の風邪」なんて言い方をした。オレは風邪ではなく「骨折」だと思う。一度なってしまったもんは原因を除去しても数ヶ月治らず、時期や季節などにより時々痛んだりもする。
30の時のものが「大骨折」だとしたら、今回のは「ちょっと厄介な場所にひびが入ってしまった」程度のものだったのかもしれない。痛むは痛むし安静も必要なのだが、まあまあ普通に生活できる。しかし当たり前だが、やっぱり「痛いものは痛い」のだ。
先述の10月のライブを早い段階でキャンセルさせてもらったのも、オレが30の時にやった抑うつを身近で経験して、今でも一番近くにいてくれるピザオブデスの判断によるもので、長く身近にいてくれる人がいることを改めてかけがえなく感じた。
お陰でリカバリーはとても上手く進んだ。11月いっぱいくらいまでは調子は日によって違う状態だったが、12月になった頃には「あれ?もう治まったんじゃね?」って思えるくらいに戻った。
とにかく周りにいてくれる人、環境が良かった。Ken Band の3人も理解してくれて、オレのペースに合わせてくれた。繰り返すが、身近な人達に改めて救われたと感じている。
重ねて、ご心配おかけして申し訳ありませんでした。
もうすっかり大丈夫です。
「Ken Band の年末年始」
10月のライブが終わったら、 Ken Band は昨年12月からレコーディングに入るスケジュールを立てていたが、キャンセルしてしまった。
おもしろいもので、こういった時の自分を俯瞰で見ると、ノックアウトされてもう立ってもいられないボクサーが、試合をストップしたレフェリーに「まだやれる」と主張している姿と重なる。絶対にできない、やるべきではないのに、結果的に「止めてくれてありがとう」なのに、気持ちは前のめりになるのだ。自分の体調のせいで全ての活動がストップしたのに、なにかやりたい気持ちはなくならず、それが焦りとなる。とてもおかしい。
ボクサーの話は喩え話だとしても、オレはきっとやることがゼロになってしまうのが苦手なのだろう。まぁそりゃそうかもしれない、バンドを始めて32年間、誰も指示してくれないからいつだって自分で自分にやることを課してきた。それが骨身に染み付いているので、こんな状態でもなにか自分にお題を出そうという気持ちが働くのだ。独立してやっている人が持つ独特の感じなのかもしれない。
そんなこんなで10月は練習もキャンセルしてバンドはお休みとなってしまったが、11月にはすぐまた練習を再開した。
Ken Band としては、12月に予定されていたレコーディングでフルアルバムを録る目論見だった。そしたら4月頃にはリリースできて、季節が良い頃にアルバムを引っ下げたツアーをする予定でいた。これはとりあえず白紙に戻ってしまった。
しかし録れる状態の新曲が10数曲はあるということだ。練習スタジオでそれらの曲をもっと煮詰めるも良し、さらに新曲を書き足すも良し。
12月には2日間だけ使って「Out Alone」という新曲をレコーディングし、この曲でピザオブデスのオムニバスアルバム「The Very Best Of PIZZA OF DEATHⅢ」に参加した。
「2019年12月『Out Alone』レコーディング時の Ken Band」
昨年中はこうした作業をしていたが、公の活動はしてはいけないことになっていた。少なくとも4月末日まではしてはいけない事情があった。
実は全てをキャンセルさせてもらった2019年9月時点で、2020年4月末までのライブがブッキングされていた。それをキャンセルしてしまったということは、一緒にやるはずだった他のバンドとその関係者に迷惑をかけたということ。調子が戻ったからといって、例えば「2月に単発でいいからライブしたい」といっても、それでは迷惑をかけた人達に筋が通らない。Twitter で「調子が戻りました」などと報告するのもダサい。次に公に出れるのは早くても2020年5月になってから。それならば次のライブなりリリースなりバンドとしての活動が報告できる時になったらそれをしっかりと報告するのが良いと考えた。それまで極力公に出ないことに決めた。
年が明けて2020年、改めて4月にレコーディングスタジオをブッキングした。この頃になると、新曲の数も「アルバム1枚に全部入れるにはちょっと多いな」と思うほど増えていた。昔はアルバムに19曲だの20曲だの入れてたが、近年は12~14曲くらいが適宜なのではないか、と思っている。つまり新曲が16~18曲はあったことになる。
バンドのメンバーとピザオブデスのみんなとも話し合いを重ね、「よし、シングルを録ろう!」ということになり、4月のレコーディングはそれに充てることにした。
ちなみに Ken Band は「オリジナルのフルアルバム」を2015年以来出していない。6枚目のアルバム「Sentimental Trash」が最後だ。それ以降も大事な音源をリリースしてきたが、とにかく「オリジナルのフルアルバム」ではない。
2018年に「Ken Yokoyama VS NAMBA69」、「Songs Of The Living Dead」の2枚をリリースした。前者は新曲だが3曲、後者は20曲も入っているが、今まで録ってきた未発表曲やオムニバスアルバム参加曲をまとめ新録5曲を足したもの(6.5枚目のアルバムと位置づけた)。どちらもライブで求められる曲を生み出すことができたし、気持ちの上でもとても大事な音源だが、とにかく「オリジナル曲が詰まったフルアルバム」ではない。
リスナーが求めているのは7枚目のアルバムだとはわかっている。
オレ達はそれに向けて突き進んできた。しかし新曲が増えてしまったので「まずはシングルから、それから間髪入れずにアルバムを!」と考えた。
それに向けて1月、2月と気持ちを入れ換えてやっていた。
ところが。そこで。コロナ禍だ。
「自宅警備」
Ken Band は3月の中頃にはスタジオでの練習も中止した。
ということは、もちろん4月のレコーディングも中止することを意味した。
残念だが、怒ってもしょうがない、抗っても何の役にも立たない。4月に録って6月に復活ツアーを予定していたが、ライブだってできる世の中の情勢ではない。
レコーディングの予定は2度目のご破産ではあるが、この一大事を前に、それに対して特別ネガティブな感情は湧かなかった。
オレは「自宅警備員」になった。元々自宅警備は得意な方なので、最初は全く苦じゃなかった。しかし段々日が重なり、コロナの状況が深刻化の一途を辿る報道など見ていると、さすがに気が滅入ってくる。滅入ってもしょうがないのだが、滅入るもんはしょうがない。
絵を描いてみたり、ピアノを弾いてみたり、オンライン麻雀してみたり、ついでに新曲も作ったりした。
そうしながら出口の見えない日々は滅入りそうになりながらも案外穏やかに、ただただ流れて行った。
「どうせしばらく自宅警備員なのだから」と、オレは念願の犬を飼った。男の子のマルチーズとミニプードルのミックス。「ちち丸」と名付けた。「横山 ちち丸」だ。
オレは8才から22才まで犬と一緒に育った。兄弟同然に育った。以前当コラムにも書いたことがある「ラッキー」だ。なので犬がいる空間、犬がいる暮らしがどんなものかはわかってはいたが、自分が飼い主になるのは初めてのことだ。どんなもんだろうと想像はしていたが、これがまた素晴らしいのだ。ちち丸に構っていると、やるべき事、例えば自宅での仕事などどうでもよくなる。今も必死で文章を書いているが、実は5分に1回はちち丸とじゃれている。そりゃ仕事などどうでもよくなると言っても、やらなきゃいけないことは動かずに目の前にあるのだから仕方なくやるのだが、過ぎていく時間の充実度というかなんというか、そんなものが今までと違うのだ。大袈裟に考えると、日々の中での大切なこと、優先すべきことの順番も変わったりしているのかもしれない。
子犬の躾は最初が肝心らしい。正当にこれだけ長く家にいられる時期などそうないのだから、この時期にちち丸を迎えられて良かったと思う。
「ちち丸です!隣はイ・ビョンホンさんコスしてる男じゃありません。」
「新作」
5月下旬に東京の緊急事態宣言は解除され、Ken Band は6月から練習に戻った。
2ヶ月半振りに出す爆音は気持ちよかった。案外腕は鈍ってなく、新曲達を忘れてもなさそうなので、すぐにレコーディングの日程を立て始めた。コロナの危険がなくなったわけじゃないのはわかっている。それどころか宣言解除後に感染者は増加した。しかし、たとえレコーディングが三たびキャンセルになろうが、予定だけは立ててバンドを前に進めたかった。
ちなみに自宅警備しながらちち丸と遊び呆けている間にもちゃっかりと新曲を書いたので、もうシングルではなくミニアルバムを録ることにした。
幸か不幸か、時間はたっぷりある。以前なら普通にレコーディングしていたけど、こんなに時間があったのだから、何度も練習の録音を聴いているうちにイマイチに感じ始める、そんな曲も出てきた。一度そう思ってしまった曲を録るわけにはいかない。容赦なくボツだ。アルバムに取っておくつもりの曲と入れ換えたりしながら、ミニアルバム用に6曲をセレクトした。
6月はそれらの曲をしっかり煮詰める作業をして、晴れて7月、レコーディングにこぎ着けた。6曲のレコーディングだから日数はかからないが、なぜかのんびりと日にちを空けて、3週間かけて完成させた。
やっとだ。やっと出来上がった。
久々の作品完成だ。6曲入りのミニアルバム。
この2年間いろいろあった。ドラマーの交代、オレの体調不良、コロナ禍……そうなのだ、えっくんの Ken Band 加入が決定してから、この夏でもう2年も経つのだ。
えっくんとの初の単独作品が2年越しでやっと完成したのだ。
オレはそれに「Bored? Yeah, Me Too」と名付けた。訳すと「退屈なのか?ああ、オレもだよ」という感じになる。この時期を捉えたような内容、例えばコロナにまつわる歌詞の曲が収録してあるわけじゃない。ならばせめて作品のタイトルだけでもこの時期ならではのものをつけたい、と思った。
そういう気持ちを込めてタイトルをつけたら、アルバムのアートワークの全体像も見えてきた。見えてきたものを誰かに伝えるのもまどろっこしいので、全部自分で描くことにした。ジャケも中身も、全部自分で描いた。CD には必ず「規定文」なるものを入れなければいけない。それ以外の絵と文字は全て自分で手書きした。素人のタッチでしか味わえない、得も言われぬ雰囲気が出ていると思う。画力にはそりゃ自信はないが、アートワークのコンセプト自体はとても気に入っている。
6曲しか入っていないがバラエティーに富んだ曲調が揃い、めちゃめちゃ良いものができたと思っている。えっくんの実力は昨年末の「Out Alone」で確認済みだが、聴く皆さんにはあの1曲じゃ伝わっていないだろう。今作はえっくんの力強くタイトなドラミングを目一杯楽しんでもらえる。
ちなみに1曲目には既にライブで披露済みであり、えっくんと初めて作った曲「Runaway With Me」を配してある。
残念ながら、このミニアルバムをフォローするためのツアーはできない。もちろんそれはしょうがない。しょうがないので、オレ達はすぐにフルアルバムの準備に取り掛かる。年内にはレコーディングする予定だ。
「昨年の『乱シリーズ』の楽屋。バンドもこういった風景を早く取り戻したいですよ。Photo by Maki Ishii」
何度も言うが、しょうがない。今はしょうがない。オレ達みたいなライブバンドも、作品の在り方を変えざるを得ない。少なくとも今はそうせざるを得ない。
簡単に言うと、今までは作品をリリースするたびにツアーができた。Ken Bandくらい軽々しくなると「新曲ができた!ツアーしちゃおう!」というくらい、気軽にツアーに出ていた。つまりライブは作った曲達の着地点だった。観に来てくれた人達と会場で共有することが曲の着地点だった。いまバンドは着地点を失った。作品を作ってツアーしてという、去年まで当たり前だったはずのサイクルでの活動が叶わない。そのサイクルに戻るための道すら見えてこない。多くのバンドと同じように、Ken Band もその点には「じゃあどうすりゃいいんだよ?」という思いもあるし、実際大きな喪失感がある。
しかしオレ達の場合、足掛け2~3年に亘って新曲作りをしてきたので、ものすごい数の曲がある。実際ボツにした曲も入れると、正確な数はわからないが25曲ほどはあるのではないか?それらの曲を抱えながらバンドとしてのモチベーションを保つためには「吐き出す」しかないのだ。着地点を求めずに、とにかく吐き出すことが必要だった。
オレは結局いつも音楽のことを考え、バンドのことを考え、新曲のことを考え、ギターを抱え、スタジオに向かってしまう習性の持ち主だ。メンバー達に対しての責任もある。バンドのモチベーションの保ち方を考えることは、オレが深く、真剣に向かい合うべき根本的且つ重要な役割なのだ。
今の CD が売れない世の中、どのくらいまで手応えを得られるのかわからない。ライブに行きたいから新作を聴く、ライブがあるから新作を買うという人には、この状況下ではオレ達の音と気持ちは届かない恐れもある。しかしそんなことも言ってはいられない。「やってみなきゃわからんよ」という気持ちと「どうなろうと知るか」という気持ちをグチャグチャに混ぜた末に、「吐き出す」ことをオレ達は選んだ。
着地点は求めない。
少なくとも今は。
先述したように、次はフルアルバムだ。もし予定通りに年内に録れて、尚且つそれを棚に置きっぱなしにしなければ、2021年の少し暖かくなった頃のリリースが見えてくる。その頃にライブやツアーができるようになっている可能性はゼロではないが、今のところネガティブに思える。まぁそれもしょうがない。ロスなくやろうという考えは、現状 Ken Band にはあまりない。
もちろん願わくば、ライブをしたい。ツアーで皆さんに披露したい。
その時は、オレよりも大きな声で新曲達を歌って欲しい。
「レーベル直販」
この夏に作り上げた「Bored? Yeah, Me Too」、あとは盤が自分の手元に届くのを待つだけになった。
さて皆さんにどう届けよう?オレはピザオブデスのみんなと頭も体もひねって考えた。
今回はイレギュラーな販売経路を使うことにした。
ピザオブデスの「レーベル直販」という形態だ。通販のみだ。CD ショップに行っても Amazon を覗いても、このアルバムは扱ってない。
この選択にもこの時期ならではの様々な思いが詰まっている。
みんなで考え始めた時、まず「普通なことをしてもなぁ」という気持ちがあった。フルアルバムならしっかりと広がりを求めて、真っ当な販売経路を使うだろう。しかし、オレの記憶が正しければこの話を始めたのは今年の1月、まだシングルを出すつもりの頃だった。それこそスプリットや6.5枚目のアルバムをリリースし「次こそフルアルバム!?」という期待の中でシングルを出すことに、ピザオブデスは特別な意味ややり方を求めた。
ピザとしてやってみたかったことは「買ってくれる方々と最短距離でつながること」。インディーレーベルとしては当たり前のことだが、ピザオブデスは Hi-Standard のリリースからスタートした。つまり最初から通販では捌ききれなかったという事情がある。幸い今のピザには強固な通販機能があるので、一度 BBQ CHICKENS のライブDVD をそこで通販のみで販売した。サッパリ売れなかった。BBQ CHICKENS だったからだと信じたい。やはり「通販で買うのはグッズ」という認識なのだろうか?少なくとも通販のみで扱う作品は、一部の強烈なファンにだけ届けば良いという、所謂「コアアイテム」と思われたはずだ。しかしその頃に比べ CD ショップはグッと少なくなって、通販主流のライフスタイルが定着してきたように思う。今こそ再挑戦すべきじゃないか?という雰囲気になった。
ピザオブデスとして再挑戦を決めたが……BBQ CHICKENS なら笑って済ませられるが、他のアーティストの音源となると失敗するわけにはいかない。そこで再試験の意味を兼ねて「まずは社長から……」となった。
今こうしたコロナ禍に於いて、皆さんなおさら外に出る足も鈍っているであろう。そういった意味でも便利なことだと思う。
この販売方法に伴うリスクや弊害もしっかりと認識している。まず「リリースしました!」ということ自体が広がっていかない点。リリースをすると CD ショップのリリース情報に載るが、そこで新作をチェックしていた人の視界からは漏れることになる。それから各種チャートに載らないこと。順位の話ではなく、チャートに名前を連ねていることで「あ、あの人達、新しいの出したんだ」と認識する方だっている。つまり風景として弱く、リリースに伴った「バーンとやってまーす!」感は全く出ない。それが通販のみで販売する音源はコアアイテムと見られる原因でもある。別視点ではあるが、ずっと考えていた「CD ショップのサポート」にならないのも心苦しい点だ。
しかしピザ独自の販売経路を築くことで、買ってくれる方との距離を縮められるという情緒に関わる良い面がある。さらにこれが成功すれば様々なアーティストの様々な作品のリリースの際に、販売方法を選択できる、これはバンド達にとって大きなメリットであり、可能性だろう。ピザが手掛けていくバンドの幅も広がるかもしれない。
リスクと同時にメリットも存在する。Ken Band が成功させればリスクは大した問題ではなくなっていく。
それを目指して、自分達の動きと口で、広く周知してもらう努力をするしかない。
購入できる場所は「PIZZA OF DEATH のオフィシャルサイト」だ。ENTER から入ってもらうと汚い字で「news」だの「shits」だの書いてある(このコラムを読んでいる方々なら当然ご存知だろうが……)。そこの「goods」をクリックすると「PIZZA OF DEATH Mail Order Service」というのが出てくる。そこがお店だ。(http://pizzaofdeath.shop13.makeshop.jp/)
肝心の発売日は9月25日。この場合「発売日」ではなく「発送開始日」という方が正しいだろう。予約受付はすでに開始されている。
「Bored? Yeah, Me Too」
大体こういった新しい試みをする時は、試験的にバンドにとっての変化球的な作品を扱い、様子を見る……先述した「コアアイテム」だ。今作もパッと見はミニアルバムなので、そう思う方もいるだろう。
しかしオレ達 Ken Band は、ミニアルバムだからといって、通販のみの販売だからといって、作品の手を抜くようなことは一切ない。なんならめちゃめちゃ良いものができあがったので「これが Ken Band の代表作にならないかな」くらいに考えている。ライブを観た方が、観終わった後「あー、やっぱりあのミニアルバムも聴いてくれば良かった!」って思うような、ライブで定番化するであろう曲も入っている。
つまり Ken Band にとっては「販売経路など知ったこっちゃない」のだ。全力投球のミニアルバムを作ったからリリースする、ただそれだけなのだ。
少し手間をかけてピザのサイトで今回の作品を購入してくれれば、2020年の Ken Band の音と気分が詰まった音源があなたの玄関に届く。
この通販のみでの音源の扱い、今回の「Bored? Yeah, Me Too」以外にも、既に次なる刺客が用意されているようだ。
今後のピザオブデスの動きを占うこの試み、ぜひ奮ってご利用いただきたい。
2020.08.30