(土)東高円寺 二万電圧
ワンマン
レーベル直販 (PIZZA OF DEATH Mail Order Service) ・
PIZZA OF DEATH HOME・ライブ会場 限定販売
全公演共通: ADV 3,000yen / DOOR 3,500yen
ワンマン
w / RAZORS EDGE / THE CHINA WIFE MOTORS / TRASHMIND / THE DISASTER POINTS / THE SKIPPERS / The Dahlia
w/ Jolly Bobby Sex / LxGxP / The Dahlia
w/ The Dahlia / KLAXION / EiHilE
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w/ RAZORS EDGE / STOMPIN' BIRD
w/ ember / MEXICAN AGE / TRASHMIND
w/ DRADNATS
w/ DRADNATS
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ワンマン
―― 5年半ぶりの新作というところで、少し振り返った話もお伺いさせてください。2018年はフルアルバム『Just Punk, Go!!』を制作して、久しぶりに大規模なツアーも行い、ハイスタのツアーにも参加したり。2019年にはリリースのタイミングでまわりきれなかった土地へツアーに行ったり、バンドの熱が高まってる印象でした。当時のムードはどういう感じでした?
TAKA ゴキゲンな感じでしたよ。
―― 『Just Punk, Go!!』が完成して、もう1回行くぞ、的な。
TAKA あぁ、そうっすね。その熱量がずっと続いてたような。
KEMI 『Just Punk, Go!!』のツアーのときって、プレイベートでたいへんやったんですけど、凄く楽しい思い出がありますね。もともと(メンバー間は)仲良かったけど、さらに仲良くなって。いろんな時間を一緒に過ごせたんで、面白動画が携帯にいっぱい溜まりました(笑)。
―― ただ、2020年になるとコロナ禍に突入するじゃないですか。特にBURLのような現場でとにかく熱のあるライヴをやっているバンドにとっては厳しい期間だったのかなと思います。
TAKA 最初にバンドで話したのは、コロナが原因でケンカとか仲が悪くなるのはやめとけって。例えばワクチンのことだったり、ライヴに対することだったり、価値観がそれぞれあるじゃないですか。みんな、家庭や仕事があって各々の環境も違うし、動きにくい人のペースに合わせてやるようにしよう、と。
KEMI こう見えてええ大人なんで(笑)、凄く気を遣ってくれるというか。まあ、最初のころは2週間ぐらいで(コロナ禍も)終わると思ってたんですけど。
―― 最初のころは、夏には落ち着くんじゃないか、とか思ってて。実際に夏になったら、秋にはもう大丈夫でしょ、みたいな話を繰り返してましたよね。
TAKA あと、僕らはモッシュやダイブがないとダメとか、ワチャワチャになるだけがライヴハウスの醍醐味とは思ってなくて。やっぱり、楽曲で勝負じゃないですけど、生音を聴く楽しみはできるから、最低限のことはやれるのかな、っていうテンションでしたね。
―― となると、無観客配信ライヴとかにも前向きに取り組めたような。
TAKA いや、あれはちょっと違いましたね。目の前にお客さんがいないから。
KEMI 配信だけは凄く抵抗してました。ただ、そういう期間だし、(待ってくれている)みんなの暇潰しというか、そういうモノになればいいんじゃないのか、っていう話にはなったけど、ライヴじゃないような感じもあって。
TAKA テンションの持っていき方がね、どうやったらいいのかな、って凄く迷ってたんです。
KEMI (お客さんが)黙って観てたとしても、やっぱりその空気感ってあるじゃないですか。
―― たしかにそうですね。ただ、バンドとしてはできる限りのことをやっていったようにも見えました。
TAKA 結構、ライヴも実は続けてたんですよ。ガイドラインに基づいて。だから、いっぱいキャンセル料も払いましたね(笑)。
―― その時期、ライヴができないから曲を作るしかないっていう人もいれば、刺激がないから曲が作れない人もいて。そのへんはどうでした?
TAKA 僕は全然できなかったですね。
―― 作ろうとはしてみたけど、みたいな?
TAKA そうだったんですけど、バンドだけじゃなく、仕事も飲食店なんで、もうまったく見たことない光景になってたから。やられてましたね、完全に。
KEMI 制作に関してだと、コロナ禍に入る前に結構曲はできてて。レコーディングしなあかんけど、あと2、3曲欲しいな、みたいな感じの段階でコロナ禍になって。ライヴでも結構新曲をやったりしてたんですよ。
―― 『Just Punk, Go!!』の後、そんなに開けずに作品をリリースしようとしてたんですね。
TAKA そうっすね。
―― じゃあ、ダブルの意味で歯痒い時間だったような。
TAKA やっぱり、リリースしたとてツアーを組めないというのがあって、僕らは遅らせたんです。
―― 少しコロナ禍が落ち着いてきたタイミングから、大阪と東京で積極的に自主企画を開催したり、ペースを上げているようにも見えました。
TAKA 基本的に僕ら、呼ばれないんで(笑)。
―― そんなこともないとは思いますけど(笑)。
TAKA 新曲 まあ、お呼ばれするライヴも楽しいんですけど、自分ら主導の方がスケジューリングもしやすいし。言っても、まだコロナもちょっと残ってたんで、なんて言うのか、友達のバンドだったら最悪転んだときに理解してもらえるところがあるし、身内のバンドばっかりでやってましたね。
―― マインドを共有できるバンドであれば、何か不測の事態が起こっても分かち合えるだろう、みたいな。ただ、そういった動きが出てくると、バンドとしてもスピード感が増したりするのかなと思います。
TAKA まあ、そんなには変わってなかったんですけど、リリースが決まりだしてからはそういうところもありましたね。
―― 実際、新作『COUNTER ATTACK』が完成したということでお話は伺ってますが、コロナ禍前の段階でどのくらい新曲は揃ってたんですか?
TAKA え〜とね、フルアルバムを作れるような、13曲とか14曲ぐらいはあったと思います。ただ、コロナで1回リセットになって、自分の中でまた見直してみようみたいなところがあり、曲作りはずっと続けてはいて。コロナが終わったというわけでもないんでしょうけど、去年ぐらいからまたボコボコっと新曲ができて。
KEMI 「TURN IT UP」、「GO!!」、「BURL」あたりはコロナ以降ですね。
―― やっぱり、違うタイプの曲も入れたいっていうイメージが湧いてきたような?
TAKA 僕、曲を作るときはアルバムを前提にしたりするんですよ。1曲目と2曲目がない、とか、どうしてもLP世代なんで6曲目がない、とか(笑)。
―― A面、B面的な(笑)。
TAKA 折り返しの1曲目が欲しい、で割と作ったりするんで、それ用に何とかしなきゃ、みたいな感じでしたね。
―― しかし、語彙力がなくて申し訳ないんですけど、この新作はめちゃめちゃカッコいいですよね。パンクバンドに求めたいモノがギュッと詰まってて。
TAKA 今回、物凄く自信があるんですよ。何か自分の中でも納得っていうか、パンクアルバムとしてはどこにも負けてないやろ、っていうのがあって。
KEMI 『Just Punk, Go!!』は録り終わって聴いてて、いいのはいいんですけど、という感じもあったして。
TAKA 『Just Punk, Go!!』は前出した曲をもう1回やったから、新鮮味的な部分で。
KEMI そうそう、わりと自分らの持ち曲を入れたし。
TAKA ベスト感を出そうとしてましたからね。
―― 結成20年というタイミングでしたし、そのときのBURLの全体像を伝える意味合いが強かったですからね。
KEMI 今回は新鮮な曲ばかりで、しかも、いい曲を入れれたし。全体的にも捨て曲がないというか、繰り返し自分でもずっと聴けちゃうところがあって。
TAKA 曲順良くないっすか?
―― いいですよね。流れで聴いてて気持ちいいですもん。目指してたモノが作れたような手応えがあったり?
TAKA そうっすね。自分が好きで聴いてきたパンクって呼ばれるモノ、いろいろあるわけですけど、それをドンってひとつのアルバムにできたっていう感じですね。
―― 1曲目の「Kick Up」から痛快すぎる幕開けです。さあ、始まるぞ、っていう意気込みがビシビシと伝わってくるし、ホントに作品全体のテーマソングというか、ライヴにおけるSEみたいな高ぶりがあります。
TAKA もともと、Ramonesのインストの曲とかも好きだったし。Operation Ivyとかでもありますけど、ああいうのを昔からやりたいなと思ってたんですよ。それが1曲目にハマって。
―― BURLなりの「電撃バップ」というか。しかも、<Enjoy your life! We go!!(お前は楽しんで!俺たちはいくぜ!)っていうノリの歌詞もいいな、と。
TAKA 勝手な感じっすよね(笑)。
―― 手を差し伸べるのではなく、オレたちは行くけど、どうする?って投げかけるというか、煽るというか。このカッコよさがグッときます。
TAKA もう歳なんでね、手を差し伸べても誰も握ってくれないんですよ(笑)。
一同 ハハハハ(笑)。
KEMI 好きにやってくれ、っていうのはバンドのコンセプト的な感じだし。ライヴに来たら好きにやってもらえればいいから。
―― 続く「GO!!」もいい爆発力がありますよね。
TAKA これはギリギリにできました。もともと、1曲目をどうしようとなってたとき、すでにあった「Kick Up」をそこに置いたら面白いかもとなって、あの後に続く曲を考えたときに見えてきた感じですね。
―― エネルギッシュなパンクロックでガツンときます。
TAKA あ〜、良かった。
KEMI アルバムを作るときに曲順を何パターンか考えたんですけど、この「Kick Up」と「GO!!」の1曲目、2曲目は不動のラインナップで。
TAKA そうやったな。
―― 作品のイメージって、序盤の流れによってできるところもあるじゃないですか。こういう勢いのある曲が並ぶと前のめりで聴きたくなりますよ。歌詞も達観してスカしたことを言う人が多い中、本気で行動してる人が少なかったりもしますし、そこで今がチャンスだと言える強さも刺さりました。
TAKA でも、歌詞はあんまり深く考えないっす(笑)。英語だからできる、思いつきで書く、みたいな。
―― でも、積み上げてきたバンドだからこそ言えるし、そういうバンドが鳴らしてるから受け止められると思いましたよ。
TAKA あぁ、なるほど。
―― そして、「BURL」です。セルフタイトル曲ですね。
TAKA これは絶対に気になりますよね。それを3番バッターに置く、っていうズルさ(笑)。
KEMI ハハハハ(笑)。
TAKA とりあえず、1曲目と2曲目は聴くやろ、みたいな(笑)。でも、今はそうか、CDじゃないからそうならへんのかな。
―― サブスクだと曲をピックアップして聴く人も多いでしょうけど、作品の流れで聴く人もいますよ。
TAKA ちょっとそういうのをやってみたいと思ったんですよね。好きなバンドって、わりとRamonesもそうですけど、THE BLUE HEARTSとかも(バンド名がタイトルに入ったり)してるから、真似ろ、っていうね(笑)。
―― ハハハハ(笑)。メッセージとしても潔いですよね。オレたちはただのパンクバンドだと言い切る感じとか。
TAKA まあ、それ以上でもそれ以下でもなく、長いことやってるから。
―― 先ほど、歌詞は深く考えてないと仰ってましたけど、<You want to be led?(導かれたいのか?)>というフレーズは新作の中でもいちばんグッときました。
TAKA 意外なところに反応しはったんですね(笑)
―― いや、これは食らわされるな、と。何かに寄りかかってしまいがちだけど、そうじゃないよな、っていう。
TAKA 何か、しようもないというか、見ててカッコ悪いなと思って。今回、割とね、文句ばっかりでしょ?(笑)
―― そうじゃない曲もありますよ(笑)。
TAKA 基本はSNSをやってないんで、フラストレーションを全部ここに持っていける、みたいな。歌詞で言える場があるから、ここで言っていこう、って。
―― でも、バンドマンとして正しい姿な気がしますけどね。
TAKA まあ、文章が上手じゃないからやってないだけなんですけど(笑)。
interview by ヤコウリュウジ
Vol.02へ続く...
―― ド頭からショートチューンの3連打。結成26年目ですよね、BURLって。
TAKA 何年目になるんかな?
KEMI でも、たぶん、それぐらいです。
―― 26年目のバンドとは思えないぶっこみ方というか。これだけキャリアを重ねてもずっとイケるんだな、って。
TAKA そこがパンクのいいところではありますよね。
―― シンプルじゃなく凝ったというか、もっと違うことをやりたくなる欲求が湧いてきたりは?
TAKA 無理っすね。何かやりたいなと思ったりもするんですけど。
KEMI いろんなリフがあっても削りたくなったりするし。無駄なヤツは曲の中にいらない、って。そもそものリフやメロディー自体が長いとかじゃないと曲も絶対に長くならないんですよ。例えば、Aメロ、Bメロ、サビ、Aメロ、Bメロ、サビってあったら、その2回目はいらん、とか。長々させない方向にはなるんで。
―― 削ぎ落として、ホントに強い芯の部分だけ残す、みたいな。
TAKA いい言い方をすれば、ですけど(笑)。もう、あんまりややこしいと難しいし。そういうのも凄いなと思うけど、カッコいいなとはあんまり思えなくて。
―― 自分たちがやるとしたら、もっとシンプルに。
TAKA やっぱり、そうなりますね。
―― 「REACH FOR THE MOON」はコロナ禍前からあった曲なんですよね。
TAKA 『Just Punk, Go!!』を出して、少ししたらできた曲で。
―― ミドルテンポでメロディーを響かせながら、疾走するパンクロックチューンと同じような熱さがあって。
TAKA もともと、ああいうミドルな曲は好きなんで。ハードロックじゃないけど、そういうビートをやりたいというのはあったし、The Clashかなんか聴いてたんかな、ジョーストラマーの名言”Reach for the moon 月に手を伸ばせ!例え届かなくても”このフレーズいいな、使いたいなっていうのがあって、サビができたときにバチッとハマったんで、そこから広げていった、みたいな。
KEMI いちばんBURLらしい曲なんじゃないですかね。BURLのストライクゾーンというか、わりとイメージに近い感じの。
―― 最初にGO!って叫んでるのはKOSUKEさんですか?
TAKA いや、あれは僕っすね。
―― あの叫び声やサビのコーラスだったり、そういう細かいアレンジでより熱を感じるなとも思って。
TAKA わりと曲ができたらライヴで試したくなるんですよ。で、ライヴでやってまた編曲して作り上げてくのが多いから、「REACH FOR THE MOON」とかはちょっと展開やメロディーが変わったりとか。ドラムもちょっと変えましたね。
―― 「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」はボブ・マーリーとの出会いを歌ったスカチューンですよね。
TAKA これ、KOSUKEが持ってきた曲で、たぶんそうなんだと思います。
―― BURLって力強いメッセージを突きつけたりとか、時には煽るような言葉を並べることも多いけど、そんな中ですべて上手くいくさ、と歌うのは新鮮だったりもしました。
KEMI 急に優しくなった、みたいな(笑)。
―― KOSUKEさんがバンドへ曲を持ち込んだときのことって憶えてます?
TAKA たしか、2曲ぐらい同時に持ち込んだのかな。で、両方進めてたんですけど、こっちが生き残ったって感じです。でも、結構なんやかんや変えたような……いや、そんなこともないか。ギターソロとCメロを僕が足したぐらいで。
KEMI 前作『Just Punk, Go!!』やと「OVER THE BORDER」って曲があって、それもKOSUKEの曲なんですけど、やっぱ伝わり心地がちゃうというか、肌感が違いますよね。柔らかい感じがあるというか。もう1曲、(持ち込んだ)ロックンロールっぽい曲もあったんですけど、それもわりとそういう優しい感じがあって。
TAKA KOSUKEはやっぱそんな感じっすね。
―― そういった色味が入ってくると、作品もより豊かになるような。
TAKA あぁ、そうですね。
―― スカもレベルミュージックですし、パンクと通ずるところもありますよね。
TAKA いろいろ感じますもんね、バンドからパンクな感じって。赤犬ってご存知ですか?
―― 大阪のいろんなジャンルをクロスオーバーしてるビッグバンドですよね。
TAKA 赤犬もパンクバンドやなって、僕、思いますもんね。スタイルは全然違うけど、パンクを感じるし。
―― ギリギリを攻めたり、踏み越える感じがそう感じさせるんですかね。
TAKA その定義はわかんないけど、自分が好きなバンドはそういうバンドが多いですね、やっぱり。全然畑違いのバンドを観ても「パンクバンドやな」って思ったりするし。
―― 中盤には「BREAK IT DOWN」、「TURN IT UP」というロックンロールなナンバーが並びました。
TAKA もともと、ストレートなロックンロールビートはやりたかったんですけど、これでも結構アレンジは変わっていって、ここに着地した感じで。
―― 横に揺らしたり、縦に揺らしたり、この2曲はまたタイプが違いますよね。
TAKA そうですね。「TURN IT UP」はモッズとかモータウンとかまではいかないんですけど、ちょっとそっち寄りな踊れるというか。
―― また、この2曲とも間奏がそそるなと思って。
TAKA ギターソロのところっすか?
―― 「BREAK IT DOWN」だとギターソロからベースソロになって畳み掛けていく感じとか、「TURN IT UP」の終盤だと、スタンダードなロックンロールなギターリフとソロが合わさって、歌でグッとアゲつつ、ラスサビへ突入みたいな。
TAKA あぁ〜、The Specialsがよくやってるヤツですね(笑)。
―― そうかもしれないですけど(笑)、聴いててアガりましたよ。ああいう絡みやアレンジはスタジオで決めていったり?
TAKA いや、大体のアレンジは僕が決めちゃってますね。バンドで鳴らしてみて、アレンジしていくことってあんまりないかな。
KEMI スタジオでやってみて、(TAKAが)もう1回考え直すことはあるけど、その場で誰かのアイデアで進めていこうみたいなのは、時間の制約もあって結構難しいんですよね。それに、バンドとしてあんまりその場その場で模索するタイプじゃないかもしれない。
―― 形にしたモノを試してみて、感触的に違ったらまた持ち帰って。
TAKA そうですね。だから、お持ち帰りは多いですね。
KEMI 違ったな、っていう空気感だけ残す(笑)。
―― ハハハハ(笑)。ちなみに、新作でいちばんお持ち帰りした曲ってどれですか?
TAKA 「BREAK IT DOWN」ちゃうかな。
―― 何かしっくりこない、みたいな。
TAKA それもあったり、歌詞の英訳を(Ken bandの)南さんにやってもらってるんですけど、「う〜ん、イマイチ」って言われたんですよ(笑)。「このままなら、単純にこのビートをやってるだけ」みたいな。で、たしかにそうやな、って思ったし。
―― 南さんは歌詞だけじゃなく、サウンド的なところでもアドバイスをくれるんですね。
TAKA そうなんですよ。そんなことまで気にしてくれる優しい先輩なんで、それを受けてもう1回練り直して、みたいな感じでしたね。
―― そんなやり取りがあった、という。
TAKA ただ、そっから南さんに結果は聞いてないから、答え合わせはしてないんですけど(笑)。
KEMI 良かったかどうかはわからない(笑)。
―― 大丈夫だと思いますけどね(笑)。また、「PRAY FOR PEACE」や「AGAINST WAR」といった戦争反対の祈りや願いを込めた曲もあります。やっぱり、パンクバンドとして言わなきゃいけない、伝えなきゃいけないことがある、といった意志を感じました。
TAKA 伝えたいのかな……何か、自然な流れっすよね。やっぱり、普通にテレビを観てたら深夜に戦争のドキュメンタリーをやってたり。そういうのを観ちゃうと「怖いな」って思うし。これは自分の中で吐き出しとかないと不安なっちゃう、というか。そういう部分が大きいと思いますね。
―― 「PRAY FOR PEACE」は『Just Punk, Go!!』のリリース前に発表したデモCD『fuck』に収録されてましたけど、『Just Punk, Go!!』に入れなかったのは?
TAKA 何かね、ハマらなかったんですよ。で、今回わりとBURLでよく使うこのへんの速さの8ビートの曲が実はなくて。それだったら、デモで出してるこの曲がいちばんいいのかな、っていうのがあって。
KEMI 「PRAY FOR PEACE」はライヴでよくやってるんで、アルバムに入っとった方がいいな、っていうのもありましたね。
―― この曲のTAKAさんの歌い方、いいっすよね。
KEMI 僕もハマってるなと思います。
―― 強く言葉を飛ばすような歌い方も多いけど、歌い上げる感じやハイトーンが凄くグッとくるんです。
TAKA じゃあ、今度から全部それにしときます(笑)。
―― いやいや、激しいのも好きなんで両方やってください(笑)。
TAKA わかりました(笑)。
―― 「AGAINST WAR」だと終盤に声を荒げるように激しく歌い上げてて。そこが前半とのコントラストもあり、より響くと感じましたし。歌詞としては全体的にいい軽さがあるんですけど。
TAKA 曲調がわりとポップですもんね。そういう曲に歌詞もキャッチーなモノとしてつけられたら、っていうのもあり、あえてこの歌詞をつけたみたいなところもあります。
―― 声を荒げるようなアプローチって、自然と出てきたんですか?
TAKA そうですね。ピッチが高いんで、そうなっちゃっただけなんですけど(笑)。
―― でも、それがあるからこそ、曲のポップさも引き立ちますし、素敵なマッチングだなと思いました。
TAKA あぁ、良かった。
―― やっぱり、この曲に限らず、他にもスカチューンはありますけど、みなさんスカも好きなんですか?
TAKA 好きですね。メンバーもみんな好きやな?
KEMI 僕は前にやってたのがスカのパンクバンドKNUCKLESなんで、大のスカ好きです。しかも、こういう曲が好きっすね。大人っぽい曲よりはちょっとガキっぽいというか。だから、「AGAINST WAR」も好きな曲なんですよ。
―― そして、1stフルアルバム『GOT TO GET PUNK INTO MY LIFE』に収録した「LIFE」をこのタイミングで新録しようと思ったのはどうしてだったんですか?
TAKA これはこのビートをやりたかったんですよ。で、そういうタイプの曲をいくつか作ったんですけど、全然良くなくて。ふと「LIFE」をハメてみたら「コレはいいやん!」ってなっちゃったんです。
―― やりたいニュアンスがあるけど、ハマる曲がなくて、「LIFE」を引っ張り出してきたらバッチリだった、みたいな。
TAKA だから、ズルいヤツですね(笑)。
―― とは言いつつも、この新録ではKOSUKEさんの歌声にフォーカスを当てて、また違った印象になってますよね。
TAKA あぁ、そうですね。やっぱり、こういうメロディックはたぶん絶対にKOSUKEの方が響くんで。
―― TAKAさんって、そこをいつも謙虚に言われますよね。
TAKA いや、全然自分が歌いたいとは思ってないんですよ。基本的にオレ最高って思えない人物なんで(笑)。
interview by ヤコウリュウジ
Vol.03へ続く...
―― 「THE WAY TO WALK」はちょっと異色なナンバーな気もして。
TAKA なんで、できたんでしょうね(笑)。たまにありますよね、BURLで。
KEMI ただ、個人的にはこういうメロディックな曲もたまにあるといいかなって。だから、アルバムを作るってなったら1曲は欲しいな、って(TAKAに)いつもおねだりしてます(笑)。
―― KEMIさんとしては欲しいパーツだったというか。
KEMI そうっすね。BURLに必要な要素やと思います。
―― 歌詞としてはラブレターっぽいですよね。
TAKA 何かね、何にでも変えられるなと思って。それがメンバーであったり、ライヴに来てくれるお客さんであったり、家族だったり、いろんなモノとして捉えられるような。結局、近しい人に思うことって一緒じゃないですか。
―― 言われてみれば、って感じですけど、たしかにそうですね。
TAKA そういうのがあって、単純に言葉をハメていったらこうなった、みたいな。ただ、この曲はどこに入れるか難しくて。序盤とか中盤に置いちゃうと、アルバムの印象が凄い変わっちゃったんですよ。考えた結果、(最後から2曲目の)ここが個性も残しつつ、やりたいアルバムのイメージもそのままになる、っていう。
KEMI レコーディングが終わってから、結構組み替えたもんね。マスタリング直前まで、わりと悩んでて。
―― 歌詞に「GET ME BACK」って曲名が出てきます。DRADNATSなのか、TEENGENERATEなのか、って考えたんですけど。
TAKA DRADNATSっすね。何かね、いろんな思い出もあって。ドラドナはもともと知り合いやったんですけど、「GET ME BACK」にライヴで(ゲストギタリストとして)参加したことがあって。
―― その模様はBURLのYouTubeチャンネルにアップされてますね。
TAKA それをやったあたり、凄い自分がダメな時期やったりもして。いろんな想いもあったし、あの曲に対するバンドとは、っていう考え方もあり、僕の中で名曲になってますね。あと、「GET ME BACK」っていう(タイトルの)響きもいいじゃないですか。で、曲をちょうだいって言ったんですけど、それはダメでした(笑)。
―― DRADNATSの「GET ME BACK」って、ヴォーカルのKIKUOさんが想像で描いたラブソングですよね。そういうのもあって、愛情みたいなモノがテーマになったのかなと想像もしてて。
TAKA あ〜、引っ張られてるんかな。でも、全然僕は歌詞を知らんかったんですよ。
―― あっ、そうだったんですね。両バンドは仲もいいし、アンサーソングって言ったらあれですけど、そういう繋がりもあったりするんじゃないかと思ったり。
TAKA アンサーソングではないんですけど、もともとその曲自体は知ってるけど、何かのタイミングでハッと胸に響くときってあるじゃないですか。(「GET ME BACK」に対して)そう気づいたころにできた曲なんで、結果的にはアンサーソングになっちゃってるかもしれないですね。意図したわけじゃないんですけど、そうやったら感謝せなアカンな(笑)。
―― 新作の最後に収録されたのが「I WANNA KEEP MY HEAD UP」です。THUMBのカバーになりますが、なんでまたこの曲だったんだろう、と思って。THUMBはもともと好きだったんですか?
TAKA そうですね。最初、THUMBを聴いたときはOiバンドだと思ったんですよ。日本か海外かわからんけど、「このOiバンド、めっちゃええやん」って。そうしたら、「ちょっと待てよ。この声、聴いたことがあるぞ」ってなって、SHERBETの岡田さんの声か、と。そっからまた好きになっていって。THUMB自体もシンガロングの曲が多いじゃないですか。今回、自分でもシンガロングの曲をいっぱい作ってみたんですけど、これには敵いませんでした、っていうのがあって(笑)。
KEMI ハハハハ(笑)。
TAKA じゃあ、これにします、って岡田さんにも連絡してみたんですけど(笑)。
―― そんなことがあったとは(笑)。カバーを入れようと思ってセレクトしたわけじゃなかったんですね。
TAKA もともとはそうっすね。だから、言ったら「えっ!?」って感じですもんね、リアクションは。
―― KEMIさんはどう思ったんですか?
KEMI 僕、大学のときのSHERBETのカバーをしてたぐらい好きだったんで、この曲も好きなんです。でも、自分らがホンマにこれをやって作品に入れるのが良いのか悪いのかよくわからなかったんで、とりあえずライヴで1回やってみたんですよ。そうしたら、反響も良かったし、僕ら世代の人が聴いて「いいじゃん!」って言ってもらえるようなレパートリーになるんであればやりたいな、とはなりました。
―― 絶妙なセレクトですね、これ。
TAKA オシャレに海外のバンドをリアレンジするわけでもなく、ズルいっすよね、日本の名曲をそのままコピーするっていう(笑)。
KEMI でも、シンガロングする曲って、THUMBもそうですけど、やっぱBURLでカバーしたくなって、何曲もやってて。ああいう力強さは素敵だなと思うし。で、これが最後の曲になるっていうね。
―― カバー曲で締めくくるっていうのはどうだったんですか?
TAKA 何かこれが良かったんです。僕、結構リピートでCDを聴くんですけど、ケツから1曲目への流れって結構大事だったりするんですよ。だから、この曲の終わり方から1曲目の「KICK UP」がカウントで始まる感じが好きだったりして。
KEMI 他のバンドの曲や、ってことをほっといて(笑)、メンバーみんな、最高の流れでもう1回リピートして聴いちゃうよな、ってなりましたね。
TAKA まあ、最初はありましたよ、人の曲が最後ってどうなん?みたいな(笑)。
KEMI そんなんもありましたけど、やっぱりこの並びが凄くいいな、って。
―― 4月からはリリースツアーも始まりますね。よく考えてみたら、コロナ禍でのライヴにおけるガイドラインが撤廃されて1年も経ってないんですけど、パンクシーンはすぐに勢いを取り戻した印象があります。
TAKA 待ってました感がありましたよね。
―― 結構、違う界隈だとすぐには雰囲気が変わらないライヴも多くて。ただ、パンクやハードコアのシーンは探る素振りなんか一切なくて。
TAKA アホですからね(笑)。
―― 新作の曲たちはライヴハウスの熱気と直結したモノばかりですし、ホントに楽しみです。
TAKA やっぱり、イメージはそこで作っちゃいますからね。
―― ツアー初日は4月20日、東京のホームグラウンドでもある東高円寺二万電圧でワンマンです。とんでもない曲数をやりそうな予感がします。
TAKA 何曲やるんやったっけ?
KEMI たしかにとんでもない曲数やと思います。そんな曲数をやれるんかな、って感じなんで、ちょっと急いでランニングしてきます(笑)。
TAKA 一発目にワンマンって決めたら、新曲をたくさんやらないといけないじゃないですか。となると、2本目からの引き出しが増えるから、(初日を)無理やりワンマンにすれば自分たち自身のケツを叩けるかなとも思ったんですよ。
―― 最初に高いハードルを飛び越えさえすれば、と。
TAKA そうっすね。楽ではないんですけど、そういう課題があった方がいいかなと思って。
―― こういった大きなツアーも久しぶりですよね。
TAKA たぶんね、これ言っていいのかあれやけど、煽りとかでも全然ないんですけど、自力でやるツアーは今後ないかもしれないと思ってて。仕事だったり、経済的なところだったり、体力的なところだったり、今回は150%ぐらいの勢いでツアーを組んだんですけど、また次にこういうことができるかどうかっていうのは何とも言えないというか。もちろん、解散とか活動休止とかそういうのじゃないけど、これを自力で上回るのは難しくなっていくだろうな、って。
―― ツアーバンドを取り巻く状況には厳しさもあるのを感じます。ガソリン代も上がり、インバウンドの影響のあるのか、ホテル代も今、とんでもないことになってますからね。
TAKA 無理をすればするほど、バンド活動自体がもうできなくなっちゃうというか。みんなのプライベートっていうか、仕事や家庭にも傷がつくような状況でやるのはちょっとスタンス的に違うかなとも思ってて。やっぱり、やめちゃうのがいちばん淋しいし、細くなっても何でもいいから続けてく為には、みたいな。ある意味仕事しながらバンド出来てるのはラッキーで、職業としてバンドやってる人の方が大変だとも思う。ツアーはもちろん楽しみなんですけど、「これ、次イケるんかな?」っていうのもあったり。
KEMI 『Just Punk, Go!!』のとき、Ken bandのツアーで東北へ行かせてもらって。結構、いい反響もいただいたんで東北へはまた行きたいなっていう話もずっとバンドでしてたんですよ。ただ、やっぱりそういう難しさもあったし。今回、たまたま組めたんで楽しみなんですけど、大阪から東北へ行くのって、結構たいへんだったりもして。
―― ライヴバンドは当たり前のように東京や大阪を行き来してますけど、普通に考えたら車で移動する距離じゃないですからね。
TAKA 僕らの周りのバンドやってるみんなもそうだけど、仕事もあるんで、金曜日に仕事を終えて、夜走りで行って土日でライヴを2本やって帰ってきて、月曜の朝からまた仕事とかね。それがなかなかで。
KEMI そういうたいへんさもあるんで、次はやれるかどうかわからんね、みたいなことは言いつつ。ただ、そんなことは考えずに一旦このツアーは走りきって、ってところではあります。
―― コロナ禍に入ったとき、バンド内で話したことと同じですよね。それぞれの事情や状況もあるし、バンドを続けていく、音を鳴らしていく上で歪みが出るような無理をしても、っていう。
TAKA まあ、散々無理してきたんで(笑)。
―― たしかに(笑)。改めてになりますが、ツアーへの意気込みを聞かせてもらってもいいですか?
TAKA やっぱり、いいモノができたんでね、いい時間にしたい、というのがあって。あと、このツアーへ向けて3曲入りの音源を作ったんですよ。ツアー会場限定で販売するんですけど、PIZZAからじゃなくて自主で。
―― 『Just Punk, Go!!』の前にデモCDを出してましたけど、もっとしっかり作ったような?
TAKA ですね。形にもこだわって。CDなんですけど、ジャケットは7インチのサイズにしたり。非常に収納がめんどくさいパターンのヤツです(笑)。
―― いやいや、飾れるって言いましょうよ(笑)。
KEMI ポジティブに考えるとね(笑)。
―― となると、また新たな曲を収録してるんですか?
KEMI 完全に新曲です。
TAKA PIZZAのインタビューで自分らが作ったCDを宣伝してます(笑)。
―― PIZZA OF DEATHは懐が深いんで大丈夫だと思いますけど(笑)、ツアーがさらに楽しみになりました。
KEMI 新作はお気に入りの曲が多いんで、ふんだんにやってツアーをまわりたいですね。場所にもよるんですけど、持ち時間も少し長めにできると思うんで、新曲をたくさん聴いて楽しんでもらいたいなと思ってます。
interview by ヤコウリュウジ