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MV: There Will Never Be Another Tonight

Not Just Talk Tour

  • 07.08(Fri) at 心斎橋 Pangea
    w/ BURL / and more
  • 07.09(Sat) at 名古屋 R.A.D
    Guest:有
  • 07.17(Sun) at 仙台 birdland
    w/ DRADNATS / and more…
  • 07.29(Fri) at 下北沢 ReG
    w/ SpecialThanks / and more...

More Schedule


Instore Event

開催日時: 2016年5月11日(水) 21:00~
場所: タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース

【参加方法】

タワーレコード新宿店にて5/11発売(5/10入荷)ember『Not Just Talk』(PZCA-77)を
お買い上げいただいた方に(予約者優先)、先着順で参加券を差し上げます。
参加券をお持ちの方はミニLIVE終了後のサイン会へご参加いただけます。
サインは、CDにいたしますのでイベント当日、忘れずにお持ちください。

【注意事項】

  • 対象商品のご予約はお電話とタワーレコードホームページ(http://tower.jp/)の店舗予約サービスでも承っております。
  • ご予約のお客様には優先的に参加券を確保し、商品購入時に参加券を差し上げます。
  • 「参加券」は、対象商品ご購入枚数分差し上げます。
  • 参加券の配布は定員に達し次第終了いたします。配布定員数終了後にご購入いただいても参加券はご用意できませんのでご注意ください。
  • 参加券を紛失/盗難/破損された場合、再発行はいたしませんのでご注意ください。
  • イベント中は、いかなる機材においても録音/録画/撮影は禁止となっております。
  • 脚立や台を使用しての観覧はご遠慮下さい。
  • 会場内にロッカーやクロークはございません。手荷物の管理は自己責任にてお願いいたします。
  • 会場周辺での徹夜等の行為は、固くお断りしております。
  • 店内での飲食は禁止となっております。
  • 都合によりイベントの内容変更や中止がある場合がございます。あらかじめご了承ください。
  • イベント中はスタッフがお客様の肩や腕などに触れて誘導する場合がございます。この事をご了承いただけるお客様のみイベントへご参加ください。
  • イベント会場内外で発生した事故・盗難等には主催者・会場・出演者は一切責任を負いません。貴重品は各自で管理をお願いいたします。
  • 当日会場では、スタッフからの指示にご理解とご協力をよろしくお願い致します。当日スタッフの指示に従って頂けない場合は、イベントの中止もしくはご退場を頂く場合がございますので、予めご了承の上ご参加下さい。

イベントに関するお問い合わせ: タワーレコード新宿店 TEL:03-5360-7811


MV: So Far So Good

Release Interview!

Vol.02

  • Interview Vol.01
  • Interview Vol.02

-- 新作に収録した曲を振り返ってみて、いちばんスッとイメージが具現化できた曲というと?

Minami わりと全部がそうなんですけど、アコースティックギターで弾き語った「Superhero」になるかな。この曲は、レコーディング期間に入っても、サビのメロディーしかできてなくて。完成したら収録しようって話になってたんです。やっぱり、アコギの曲は入れたかったし、スタジオから家に戻って、夜中にパッとやってみたら上手いことできて、収録することができたという。

-- となると、それこそ数時間で完成したような。

Minami でしたね。それが何だかよかったんですよ。『New Neighbors』でも10分ぐらいで作った曲があって、同じくアコギの「My Princess And Me」。で、なんだかんだ『New Neighbors』でいちばん好きな曲だったりもして。意外とすぐできる曲って、いいモノなのかなって思ったりもしたし。もちろん、難産な曲がよくないっていうわけじゃないけど。悩みに悩んだ結果、凄くいいモノになったりもするから。

-- すぐに曲としてまとまったということは、自然と手が進む感じだったんですか?

Minami それもあるし、その直感を自分で信じれたのかもしれないですね。「これでいいのかな?」と感じるときもあったけど、すぐに「これでいいんだ」って思えたし。

-- アコギの曲を入れたいっていう、いちばん大きな理由は何だったんですか?

Minami 自分が聴いてきたロックのアルバムだと、絶対に入ってるんですよね。それこそ、LAのハードロックバンドでもバラードがヒットしてたりするじゃないですか。

-- たしかに、ExtremeやDef Leppard等、挙げればキリがないほど、そういった側面を持つバンドは多いと思います。

Minami Aerosmithなんかもそうだし、ああいうカッコよさを出す自信があるわけじゃないけど、「何かやりたいな」って。まあ、憧れですよね。いいアクセントにもなるし。

-- 曲を作るときに「あのバンドのああいう雰囲気が好きなんだよな」みたく考えることもあるんですか?

Minami ありますね。むしろ、そういう場合が多いです。「こういうニュアンスの曲が作りたいな」って想像して、自分なりにメロディーをつけたりとか。改めて考えてみれば、そういうスタートラインがパンクバンドじゃないところが多かったから、今回はこういう作品になったのかもしれないです。

-- ご自身がもっとシンプルに歌いたいからアコギという選択肢が出てきたということもあったり?

Minami いや、まったくないです(笑)。だって、やっと自分が歌ってることに慣れてきたぐらいですから。『New Neighbors』とか、自分の声に慣れなかったですからね。

-- となると、歌うこと自体はそんなに好きでもなかったという。

Minami そうでしたね。ただ、どうしてもアメリカっぽさにこだわりたくて。そうなると、発音の問題がある。で、発音でも、ちゃんとロックを聴いてる人の歌い方っていうのがあるんです。そう考えたとき、しっかり歌える人を探すっていう方法もあっただろうけど、細かいニュアンスまで求めたら、その人が歌う意味が薄れたりもするだろうし。だったら、自分が歌うのがいちばんいいんだろうなって。

-- ご自身が軸になって動かないといけないバンドって、面白さが違ったりしますか?

Minami たしかに面白いんですけど、やっぱりたいへんですね。僕がだらしないんで、切羽詰まらないと動かない人だし。結果、何とかなるって思ってて……まあ、何とかなってるんですけど(笑)。

-- ハハハハ(笑)。メンバーは3人ですけど、中心人物の責任もありますよね。

Minami プレッシャーはないですけど、他の2人には楽しくやってもらいたいなとは思いますよね。言うべきことは言うけど、なるべくストレスなく。やっぱり、大前提としては、3人で楽しくやりたいだけですからね。

-- emberとしてはそこを踏まえたいという。もちろん、遊びでいい加減にやってるバンドとは決して思わないんです。ただ、emberって絶妙なラフさがあるじゃないですか。例えば、新しいアー写でGenkiさんを紹介するときも「火の付いてないタバコを持ってるのがGenkiです」って書いてて。なんで、「火の付いてない」っていう、面白い要素を入れるのかなと(笑)。

Minami ハハハハ(笑)。なんか、カッコつけたくないんですよ。そういうキャラでもないから。この歳だからできること、許されることっていうか。例えば、これが20代のバンドだったら「この人たちはやる気がないんだな」で終わっちゃうだろうし。

-- そう捉えられてもおかしくないでしょうね。

Minami 決して、コミックバンドにもしたくないし……ギャップっていうか、演奏し始めたら「おぉ!」って思って欲しいっていうか。僕ら、イベントとかだと若いバンドから誘ってもらうことが多いんで、そういう場で負けたくないっていう言い方はおかしいかもしれないけど、やってきた年数の説得力はある程度出さないと。そういう責任やプレッシャーみたいなモノはあったりもして。

-- 培ってきた重みをステージで出すと。

Minami そのニュアンスをステージ上で「お前ら行くぞ!」的なスタンスで表現したくないっていうか。楽曲のシンプルさの中にある説得力だったり、ギターソロひとつだったり、古臭い考えなのかもしれないですけど、自分の歳だからできることを出していかないとこのバンドの存在の意味がないとは考えてますね。

-- 無理をしないし、取り繕わない。カッコいい服を着るんじゃなくて、自分をそのままさらけ出して勝負してるみたいな。

Minami うん、そんな感じっすね。

-- ちょっとしたリフを弾いてる姿だったり、本質的な部分で光るモノがあるように。そういうところを伝えたいし、勝負したいみたいな。

Minami 勝負って言い方がどうかな……でも、そうですね。あと、勝手になんですけど、使命感みたいなモノがあるっていうか。若い子がやってる音楽に、自分が思うロックっていう要素がだんだん少なくなってきてるんです。自分の中のロック像が今の若い音楽にはないというか。別に「ロックはこういうモノだ!」とか「これを聴け!」っていうわけじゃなくて、こういうことをやってるバンドが今いないことに対して、物凄くつまらないようなところもあって。

-- 寂しさみたいなことですかね?

Minami あっ、そうですね。もちろん、音楽の形が時代と共に変わっていくのは当然だし、それを否定してるわけでもないんですけど、何となくでも「こういうロックっていいよね」って思ってくれる人が少しでもいたら嬉しいなって。「こういうのが聴きたかったんだ!」って。

-- たしかに、時代で音楽は変わっていくんでしょうけど、自分が寄り添ってきた音楽がなくなるのは寂しいですしね。

Minami 今って、洋楽離れしてるっていうか。必ずしも洋楽が偉いっていうわけじゃないし、全然そんなことじゃないけど、自分が音楽を始めたころの夢っていうか、観てきたバンドもそうだし、触れてきた音楽シーンはどうしても海外のモノが強かったんです。だから、そういう洋楽離れしてるこのシーンが寂しいなって。

-- ちなみに、好きなロック感を具体的に表すとどういうモノになりますか?

Minami その時期によって変わったりもするんですけど、ずっと普遍的に好きなのはハードロックとポップスの間ぐらいのバンド。凄くロックだと感じるんですよね。で、メタルは自分の中だと別モノだったりして。Megadethみたいなバンドも大好きですけど、その影響をemberで受けるかっていうと、また違うし。

-- Minamiさんのバックグラウンドとしては、メタルも強いですよね。

Minami そうなんですけど、emberではメタルの要素は排除したかったりもして。こんなことを言ったら誤解されるかもしれないですけど、メタリックな色付けって簡単だったりもするじゃないですか。ザクザクしたリフを入れちゃえば、それっぽく聴こえちゃうだろうし。そこはあえてやりたくなかったんですよね。だから、emberとしては細かいジャンルを知る前に感じてた洋楽っていうか、ビルボードのTOP40的な感じがやれればっていう。

-- だからこそ、emberにはメロディーを軸とした、シンプルな聴きやすさがあるんでしょうね。

Minami あの時代の音楽って、アメリカのロックになるのかもしれないですけど、ルーツになってるのがロックンロールだったり、カントリーだったりして。いわゆるダンスミュージックが入ってくる前の音楽ですよね。だから、凄くメロディーがよかったりする。ビートやグルーヴ重視じゃなくて、バラードがヒットしちゃうみたいな時代。そこで育ってきたからなのかもしれないけど、いい時代だったなと思うんですよね。

-- そう考えると、そういうロックにフォーカスしたバンドってあんまりいないですよね。もうちょっと細分化された音楽だといたりしますけど。あのあたりで育ってきたミュージシャンって少ないんですかね。

Minami いや、そんなこともないと思うんですよ。例えば、健さんなんか絶対にそうだろうし。マドンナとかマイケル・ジャクソンとか、今回ブライアン・アダムスもカバーもやりましたけど、なんか強かったんですよ、あのへん。

-- 周りを見渡してみて、同じような趣向を持ったバンドがいない寂しさみたいなモノはありますか?

Minami それは物凄くあります(笑)。

-- ハハハハ(笑)。ただ、普段から幅広いバンドと対バンしてますし、あまり他にない立ち位置で面白いなとは思いますけど。

Minami 知り合いがどうしてもメロディック系になっちゃうんで、意外と広いようで広くないところもあったりして。独自の世界観みたいなところで、ワンマンもいいのかなと考えたりするし。

-- emberは聴き手を選ばない良さがあると感じますし、どこでもハマりそうですけどね。それこそ、新作の仕上がりはそこが堪能できる仕上がりですから。

Minami ロックアルバムですね、ホントに。たぶん……ホントにたぶん(笑)。

-- いやいや、先ほどのお話にもありましたけど、「こういうのを待ってたんだよ!」っていう人も多いと思いますよ。

Minami たしかに、僕も思ったんです、他にいないなって。ただ……需要がないからいないんじゃないかなとも感じて(笑)。

-- あっ、そう考えますか(笑)。

Minami 3年間やってきて、最近ちょっとそう感じるというか(笑)。もちろん、好きでいてくれる人はいるし、バンドマンで「いいよね」って言ってくれるのも多いんです。でも、そう言われるバンドに限って人気がないじゃないですか(笑)。

-- でも、そういうバンドって、得てして内側に向いてるというか。ミュージシャンだからこそわかるこだわりが強すぎる場合な気がして。emberはそれが一切ないし、シンプルにいい曲を鳴らして、自然に楽しむ姿勢が伝わってくるんです。だから、そういう心配はしなくていいと思ったりはしますよ。

Minami そう言ってもらえると安心します(笑)。

-- あえてお聞きしますけど、emberから漂ってくる、自由に楽しんでいる根幹はどこにあるんでしょうか?

Minami ライヴのスタイルや楽しみ方って、いろいろあっていいと思うんですよね。それが意外とみんな似通ってる気がしてて。例えば、自分がYouTubeとかで好きな海外のバンドの映像を観てると、ちょっとしたライヴハウスでみんな酒を飲みながら、別にダイブやモッシュをすることもなく、自由な感じで楽しんでる光景があったりして。僕が知らないだけで、日本にもあるのかもしれないけど、そういうのがあっていいと感じるし。

-- 「ひとつのバンドの在り方として、楽しみ方としてこういうのもあるんだよ」っていう。

Minami そうですね。もちろん、ダイブやモッシュみたいな盛り上がり方を否定してるわけじゃなくて。emberのライヴでも、そういった楽しみ方をしてもらっても構わないし。そこは自由にやってもらいたい。根本にあるのは、ライヴへ足を運んでくれた人と空間を共にして、一緒に遊びたいっていうことですからね。

Interview by ヤコウ リュウジ

  • Interview Vol.01
  • Interview Vol.02

Vol.01

  • Interview Vol.01
  • Interview Vol.02

-- 1stフルアルバム『New Neighbors』が2013年11月のリリースでしたから、約2年半ぶりという、久しぶりの新作となりました。

Minami(Vo./G.) 早く新作を出したい気持ちはあったんですよ。ただ、なんだかんだメンバーが替わったりとか、PIZZAのタイミングもあったりして、3年ぐらい経っちゃいましたけど。

-- emberはガツガツやっていくというよりも、肩の力を抜いて、いいペースでいい音楽をやっていくバンドというイメージもあったんですけど、意欲的に考えていたんですね。

Minami そうですね。ただ、のんびりと肩の力を抜いてるというのはあったりもして……何なら、もうちょっと頑張りたいぐらいです(笑)。

-- ハハハハ(笑)。とは言え、スケジュール自体は相当前から考えていたんですね。

Minami いつぐらいだったかな~。Ken Bandの兼ね合いもありつつ、昨年中にはレコーディングをしようって決めてはいて。だから、1年ぐらい前には新作について考え始めていたと思います。それに、曲自体は『New Neighbors』をリリースしてすぐ後に何曲かは作ってるんですよ。実際、今回収録した「So Far So Good」は『New Neighbors』ツアーで披露する為に作った曲だったりもして。レコ発ツアーなんだけど、それ以外の新曲があったら面白いじゃないですか。バンドが進んでる姿も見せることができるし。まあ、そこから3年近く経ったから、もはや僕たちにとっては新曲って感じもしないんですけど(笑)。

-- その他にも、その時期に作った曲があったり?

Minami 収録した中だと「Do It For You」はそうですね。時期としては、『New Neighbors』ツアーを終えた後ですけど、持ち曲が少ないから、ライヴのセットリストが似通ってきちゃって。やっぱり、同じ曲をずっとやってるのもつまらないし、ライヴ用に新曲として作ったっていう。他にも作ってはいたんですけど、今回は収録しなかったのも多いですね。やっぱり、レコーディング間際にできた曲を採用したりもしたから。

-- では、具体的に新作を考えたとき、何かイメージしたモノはありましたか?

Minami 特にこれと言ったのはなかったですね。やっぱり、『New Neighbors』の延長っていうか、そこはブレずにやりたいなって。あの世界観を変えずに作りたかったんです。

-- 今回もアメリカの80'sロックと言いますか、あの時代の匂いがする曲が並んでますよね。

Minami もともと、emberはそういうバンドがやりたかったというか。もちろん、パンクやハードコアは大好きですけど、それ以外の音楽も大好きだし、そういう音楽を求めてる時間もあるわけで。で、「自分がそのモードでバンドをやったらどうなるんだろう?」っていうのが根本としてあるんですよね。それに、流行ってる若いバンドとは感性がやっぱり違うじゃないですか。聴いて育ってきた音楽自体が違うから。それをそのまま、ちゃんと等身大として出した結果、こういったモノになったっていう。

-- 自分の血や肉となっているロックをしっかり投影したモノだと。そのイメージって、『New Neighbors』で具現化できた感触はありましたか?

Minami 『New Neighbors』は1枚目の作品だったし、出来上がったモノが正解っていうところはありましたね。ただ、何となく想像したイメージはもちろんあって、比較的それに近いモノはできたと思いました。

-- となると、それをさらにブラッシュアップした作品を新作としてはイメージして。

Minami そうですね。加えて、『New Neighbors』はあんまりライヴを想定せずに作った曲があったりして。実際に3人でライヴをやったとき、「もう1本、ギターが欲しいね」とか出てきたりしたんです。

-- 3ピースバンドならではの悩みですよね。レコーディングではギターを何本か重ねることができるけど、ライヴではどういったアレンジで表現するのかっていう。

Minami 新作ではそういう迷いがなるべくないよう、ライヴで再現できるようにとは考えましたね。

-- では、制作の流れについてお訊きしますが、新作へ動き出した1年ぐらい前の時点でどれぐらい曲は揃ってました?

Minami いや、しっかりと形になってた曲はそんなになかったですね。先ほど話した「So Far So Good」や「Do It For You」、「There Goes My Heart」も作ってたかな……あっ、あと「No More "I Miss You"s」もだ。この曲、実は凄い前に作ったヤツで。それこそ、KEMURIをやってたころかも。「そういや、こんな曲もあったな」ってベースのTSUYOSHI(Ba.)に聴かせてみたら「いいじゃないですか!」って言うし、emberでやってみようかなって仕上げたんですよ。

-- ずっとストックとして温めてた曲だったんですか?

Minami その当時、他の人たちとバンドをやろうっていう話があって、そこに持ち込もうと作った曲なんですよね。ただ、そのバンドが全然動かなくて、話だけで終わったようなところもあり、そのまま眠ってた曲だったりして。で、ふと思い出して、引っ張り出してきたみたいな。

-- そのバンドもemberとコンセプトが近かったような?

Minami わりとそうでしたね。ただ、emberはなんだかんだ僕の好きなようにやらせてもらってるんですけど、そのバンドはみんなの意見を取り入れるような流れもあって。そこはちょっと違いましたけど。

-- その後の曲作りは順調に進みました?

Minami わりと順調でしたね。やっぱり、できることって限られてますから。そんなにあれこれ取り入れたり、実験しようって思わないっていうか。それがこのemberのひとつのコンセプトだったりもするし。なんかこう、あんまり散乱しないようにするっていう。

-- emberでは、MInamiさんが大まかなアレンジも詰めて、メンバーと曲を固めるような形なんですよね。

Minami そうですね。最初のころは歌詞まで作って、歌も入れたモノを渡してたんです。ただ、歌詞を考えるのも時間がかかるし、どんどんメンバーに渡していった方が制作の流れとしてはいいなと考え、途中からは1番のサビまでしかできてないけど、その状態で渡して、スタジオでアレンジを詰めてくようなこともありましたね。

-- メンバーからいろんなアイデアが出てきたりも?

Minami いや、そうでもないです(笑)。

-- あっ、そういう感じですか(笑)。

Minami それはそれでやりやすいですけどね。こっちもあんまり好きじゃないアレンジを「ちょっとそれ、やってみようか?」って言いたくないじゃないですか(笑)。

-- ハハハハ(笑)。以前、TSUYOSHIさんと話をしたとき、「バンドをやってる充実感や楽しさはもちろんあるけど、基本的にはMInamiさんがやりたい音楽をサポートしてる」って仰ってましたし、emberというバンドのバランスとしてはそれがベストというか。

Minami そうですね。で、メンバーもそう思ってくれてるし。ただ、ドラムに関してはGenkiに「何かないかな?」って言うと、やってきてくれたりもして。そこは助かりました。

-- 新メンバーとしてドラムを担当するGenkiさんですが、先輩2人に挟まれて、どこか畏縮するようなところもなく?

Minami いや、結構してると思います(笑)。僕とTSUYOSHIの間にいるとそうなっちゃうのかな。ライヴだと楽しくやってるんですけどね。

-- Genkiさんですが、昨年9月にKen Bandのライヴへ飛び入りした以降、サポートとして参加されてましたよね。

Minami そうでしたね。まず、前ドラマーのKozoくんがWiennersもやるようになって、スケジュール的に厳しくなるかもっていう話をしてくれたんです。で、emberとしてはレコーディングも考えていたから、Kozoくんが動ける間に誰か叩ける人はいないかなって探して、繋がりのあったGenkiをリクルートして。だから、昨年の夏ぐらいから一緒に合わせ始めて、レコーディングにも参加してもらって、このタイミングからメンバーっていう感じですね。

-- 新体制はすぐにハマりましたか?

Minami そんなに難しいことをやってるわけじゃないし、結構スムーズにハマりましたよ。そのシンプルさが難しいってみんな言うんですけど。

-- やっぱり、音の精度やクオリティが求められるでしょうし、難しいイメージはありますね。それこそ、新作もシンプルだからこそ、メロディーやフレーズの精査に時間がかかったのかなって想像してたんですよ。

Minami どうなんですかね……でも、そうではないかな。レコーディングをしながら「こうなったんだ!」みたいな曲もあるし、その場のアイデアで「ここにハモりを入れてみようか?」とかもしたり。

-- 突き詰めて削ぎ落としたというよりも、ナチュラルに出てきたモノを優先してるような。

Minami ですね。それこそ、いろいろ曲を作っていくと「こういうニュアンス、前にも使ったことあるよな」みたいなことがあるんです。でも、それを言い出したらキリがないし、それは作り手側ならではの聴き方で気になったりすることもある。だから、そういう部分でもわりと開き直ってる部分もあったりとか。

-- そういった取捨選択は難しいですよね。言ってしまえば、自分たちの色や王道を否定してることにも繋がったりするし。

Minami そうなんですよね。気になってメンバーに意見を求めると「大丈夫ですよ」って言うし。まあ、だいたいのことは「大丈夫ですよ」って答えるヤツらなんですけど(笑)。

-- ハハハハ(笑)。新作では、ポップパンク的だったり、しっかり歌い上げたり、心地よいリズムを刻めたり、いろんなアプローチな曲がありますけど、今のムードが反映された結果ですか? それとも、全体のバランスを整えながらの作業だったのか。

Minami やっぱり、作品としてのバランスは考えましたね。全部を8ビートのパンクっぽい曲で揃えてもつまらないし、所々で変化を入れた方が面白いから。

-- 比較的パンキッシュなノリがある「Do It For You」や「So Far So Good」って、時期としては結構前に作ってた曲ですよね。

Minami あっ、そうですね。そのときはライヴですぐにやることを想定してたから、それがそのまま反映されてますね。ちょっと変化球な曲はすぐにライヴの即戦力にならないっていうか。

-- emberのパブリックイメージとしては、そういったポップパンク的な色合いが濃いというか、ジャンルとしては括られることも多いですよね。

Minami 多いですね。それは全然否定してるわけでもないんですけど、何て言うのかな……僕はいいんですけど、メロディックを期待されて買われてもガッカリされるかなっていう(笑)。だから、あえて自分ではメロディックとかポップパンクとは言わないんですけど、聴いた人がそう思ってくれるのは全然いいし。そこらへんのこだわりはなかったりするんです。

-- あえて差別化する為に、そういったパンク的な要素を排除しようと考えることはないですか?

Minami いや、それはないですね。やっぱり、そこは絶対にある部分だし、そこをあえて隠す必要もないだろうなって。人によって様々な解釈があるでしょうけど、僕が考えるロックンロールにはRamonesのような8ビート感が絶対に外せない存在としてありますからね。

-- 改めて考えてみれば、『New Neighbors』は新作よりもポップパンク寄りな作品だったと思うんです。そこからよりロックな方へフォーカスしたような印象もあって。そのあたりについては、どうお考えですか?

Minami おそらく、『New Neighbors』をリリースしてから3年の間、いろいろ活動していった結果というか。結局、僕らのライヴってみんなが汗だくになって、グシャグシャになってダイブして、っていうライヴじゃないんですよね。そう思ったとき、来てくれたお客さんが暴れなくても楽しめる曲というか、聴かせるとまではいかないけど……そう考えるようになったから、こういう作品ができたのかもしれないですね。ライヴを重ねていって、emberとしてのスタイルが形作られたところもあるし。

Interview by ヤコウ リュウジ
vol.02に続く...

  • Interview Vol.01
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