COMEBACK MY DAUGHTERS presents
"SUMMER DUDES -Back in the Summer Release Party-"
2012.09.01(Sat) 横須賀走水海岸 かねよ食堂
act:COMEBACK MY DAUGHTERS (Acoustic Set) & [DJs]
Open 16:00 Start 16:00 / Adv 3,000yen Door 3,500yen / Ticket 7/28(sat) On Sale at:Lawson (L:77402) / e+
Info:046-841-9881 (10:00-22:00) *会場に関するお問い合わせ
“当日Photo Book+CD盤を先行販売予定”
※ WEB掲載中の写真は写真集の内容とは異なります。
——中津川さんが作った1曲目の「WEEKEND」は、『OUTTA HERE』の1曲目の「Secret Castle」の作り方と言うか、曲調を発展させた曲なのかなと感じました。
中津川 そうかもしれないですね(笑)。作ったとき、僕はそんなつもり全然なかったんですけどね。僕がデモを持っていった段階では、曲と言うには正直、半分ぐらいしかできあがってなくて、あとはみんなに任せるという形でやらせてもらいました。メロディーは高本君が歌うので、彼に考えてもらいたいと思ってたんですけど、彼の歌と僕が持っていったアイディアに、こういうコードを足したらいいんじゃないかという提案を加えたことで、「Secret Castle」のような展開の曲になりましたね。
——デモの段階では、どんな形だったんですか?
中津川 そんなに違ったわけではないんですけど、僕の中ではライヴの1曲目にやれる曲が欲しいなというのがあったので、スケールが大きい感じをイメージしてました。
高本 吾郎ちゃんが送ってきたデモで、耳に残ったのが曲の頭のほうのコードのループだったんですよ。そこにフックをちょっと加えた形がほとんど展開せずに最後まで続いてたので、ぱっと聴いたとき、歌をつけてほしいというリクエストはあるけれど、これは頭から歌をつける展開じゃないんじゃないかなと思いました。それで、最初に「これぐらいまでインストで、これぐらいから歌をつけようと思うんだけど、どう?」って提案したら、「それいいね」って話になったので……まぁ、「Secret Castle」みたいにって思ってたのは主に僕でしたね(笑)。
——ああ、そうだったんですか(笑)。
高本 それとやっぱりコーラスで展開していきたいんだろうなっていうのは、デモを聴いたとき受け取れたので。
——曲の構成そのものは、ものすごくシンプルなんですけど、コーラスが加わってドラマチックに盛り上がりますよね。
CHUN2 俺のイメージでは、「Secret Castle」と(『OUTTA HERE』の)「Why」を足した感じがあるんですよ。叙情的で、壮大なコーラスがあって、高本が1分何秒から歌いだしたあとは、みんなでおもしろいことをやっちゃって、みたいなね。
——ヴォーカル・パートは繰り返さないでワン・コーラスだけでしたよね?
高本 歌が主役にも取れるし、楽曲が主役にも取れるしっていうのはいつかやりたかったんですよ。そのアイディアがばっちりはまりましたね。ただ、きついんですよ、この曲のコーラス。
——でも、ライヴでもやるんですよね?(笑)
高本 やりたいですね(笑)。
中津川 曲を形にしている時に、退屈だってワードがすごく気になりました(笑)。
——曲が退屈だ、と?
中津川 ええ、「単調なんだよな」ってみんな言いながら作ってたので、すみませんって思いながら(笑)。展開がないと言うか、いわゆるABCみたいなのじゃなくて、ずーっとワンフレーズみたいな曲なんだけど、別のところで盛り上がるような曲をやりたいと思ってたので、今回、それができてよかったです。もう大満足です。
——2曲目の「SHINING」ではCBMD流のフォーク/カントリー路線を追求していますね?
高本 僕っぽいでしょ?(笑)。
——そう思いました。
高本 これはそれこそ『OUTTA HERE』の時からのアイディアと言うか、もうちょっとプリミティヴなものをやりたいっていうのがあって。元々、M.ウォードとかアイアン&ワインとかが好きで、ああいうちょっと哀しげで、きゅっと収まってる曲をやりたいなと思ってたんですけど、ここ最近すごくでかいフォークの人が出てきたじゃないですか。
——でかいフォークの人?
高本 たとえばフリート・フォクシーズみたいな。
——ああ。
高本 どちらも凄い好みなサウンドなので影響されて作り始めたんですけど、作ってるうちに普通の位置に収まっちゃったんですよね。
——普通の位置に収まっちゃった?(笑)
高本 そんなにでかくなくていいし、劇的じゃなくてもいいし、なんかすごくぼーっとできる曲を作りたかったんです。自然の音みたいなね。写真集ありきだったから……写真集のイメージが僕は移動だったんですけど、移動と言ったってたいしてドラマチックなことも起きないし、ただ揺られたりとか、止まってまた動いたりとかみたいな時にベストマッチなものってあるなって。けっこう日常もそういうことって多いじゃないですか。そういう時にあったら活力になる音楽ってあるよなって。
——ああ、確かにそういう音楽ってありますよね。
高本 いろいろ影響を受けていた音楽とはちょっと違うものをやりたくなったんですよね。最終的にはノラ・ジョーンズとかプリシラ・アーンとかみたいなのを意識してました。
——あ、この曲? へぇ。あぁ、そうなんだ。
高本 女性シンガーですけどね。ライヴですごく燃え上がるような感じではないけれど、普段の生活の中にあると、あったかい気持ちになるような。ヤマテツの写真集もそうだなと思って。
——あ、女性シンガーと言えば、この曲って女性コーラスが入ってますよね?
高本 入ってないんですよ。
——あれ、入ってませんか?
高本 あれ彼(戸川)なんですよ。
——え、そうなんですか?!
高本 そうなんですよ。
戸川 ……。
(全員 爆笑)
CHUN2 喋れよ、おまえ(笑)。
戸川 キンタマはあります(笑)。
——すっかり女性だとばかり思っていました。もちろん、女性コーラスをイメージしたわけですよね?
高本 そうですよ。女性コーラスをイメージしたとき、「あ、いた! ビューティフル・ヴォイスがいた!」って(笑)。『OUTTA HERE』を作ったとき、このバンドはコーラスを武器にしていったらすごいおもしろいなと思って。
——ああ、それは。
高本 声質がみんな違うんですね。しかも僕と全然似てない。中でも、たっくんの声はよく通るので、「SHINING」のコーラスは、たっくんがこのバンドのメンバーになって、歌ってきたからこそ可能になったアイディアだったのかな。
——女性の声をイメージしたコーラスを加えてくれというオファーを受けた時は、どう思いましたか?
戸川 デモを聴いたとき、すでにそういう雰囲気はあったんでね。それに合わせてやってみて、実際レコーディングしてみたら、よりそういう感じに聴こえたんで(笑)。
CHUN2 だいぶ女っぽかったよね(笑)。
——この曲もライヴでやります?(笑)
戸川 もちろん、やります。
CHUN2 高本がこの曲のデモを最初に持ってきたんですけど、今回の作品を作るうえで指針になりましたね。そういう意味では一番重要な曲ですね。
——終盤の、あれはランニング・ベースって言うんですか、弾きまくるベースがいいですね。
戸川 あれはリハーサルで、他の音をよけながら適当に弾いたんですよね。そしたらレコーディングで「あれやってよ」と言われて、慌てて耳コピして(笑)。でも、やってみたら、自分でもはまるなぁって。
高本 この曲はけっこうみんなに対するリクエストが多かったかもしれない。ラップ・スティールも入ってるんですけど、ちょっと前にCHUN2がラップ・スティールを買って、使いたいと言ってて。ただ、CHUN2はもっとカントリー/ブルース調のラップ・スティールをやるつもりだったんでしょうけど、それをね、敢えて言葉にせずに自然に促すように「CHUN2、このアーティストすごくいいんだけどさ」って、ああいう感じのラップ・スティールが入ってるアーティストばかり聴かせるっていうのをしばらくやったら、もうまんまとね。「いいねぇ、あれ」って(笑)。
——あ、ラップ・スティールはCHUN2さんが。
CHUN2 そうです。
高本 素晴らしいなと思いますよ。この人、ラップ・スティールの才能があるなぁって。だけど、そう思ってたらそのあと1回赤点を取って(笑)。
CHUN2 そう、自分の曲で(笑)。
(全員 爆笑)
高本 でも、CHUN2のラップ・スティールは今回、すごくいい世界観を加えてくれましたね。
戸川 そうだね。今までにないよね。
——あまりルーツィーな感じの音色じゃないところがいいですよね。
高本 そうなんですよ。そこをぼやかしたかったんです。自分がどっぷりはまっちゃってるところをぼやかしたいっていうのもありました。
CHUN2 ちょっとシンセ的な感じの音色と言うか入れ方を意識したんですよ。
——そういうラップ・スティールの音色をCHUN2さんにリクエストするとき、どんなアーティストを聴いてもらったんですか?
高本 主にA.A.ボンディー(※メランコリックな歌を歌うアラバマの男性シンガー・ソングライター。以前はヴァービーナというグランジ・バンドのフロントマンだった)。
——A.A.ボンディー! すごい名前が出てきましたね。
高本 あの感じです。A.A.ボンディーってものすごくこういう時に聴くじゃないですか。
CHUN2 ダルダルの時。
高本 ただ、「いいよ、この人」とだけ言って、それ以上のことは言わずに聴かせたんです。だから、CHUN2の解釈で、ああいう音になってるんです。初めの頃、言ってましたけどね、「これラップ・スティール入ってる?」って(笑)。
CHUN2 聴いててもラップ・スティールなのかシンセなのかわからないんですよ。
高本 だから「入ってるかもね」って。いや、入ってるって僕はわかってたんですけど、ラップ・スティールなのかシンセなのかよくわからないってところから、ああいう音色を作り出したんだからすごい。リヴァーヴをかけたり、ヴォリューム・ペダルを使ったり……。
CHUN2 ギターのヴァイオリン奏法を混ぜたりしてね。
高本 みなまで言わずにホントによかったと思いましたね(笑)。
——かなり研究したわけですね?
CHUN2 そうですね。まぁ、なんか感覚で(笑)。
——ちょっとビーチウッド・スパークスっぽいとも思いました。
高本 ああ、それはたぶんありました。元々、自分が本当に好きな、自分にとってルーツと言えるところは出したかったので、サイケデリックな雰囲気も意識しました。プリミティヴになりすぎないように、最近のでかいフォークに影響されすぎないように居心地のいいものでと悩んだ結果、うまい具合に、どちらでもないものになりました。
——CHUN2さんの「STEP BROTHERS」はトラディショナルなフォーク〜ブルーグラスを思わせるインスト・ナンバーですね。
CHUN2 『OUTTA HERE』のツアーが終わってからと言うか、ツアー中も最後のほうは、もうそういう気分になってたんですけど、新しい奏法にチャレンジしたいというのがあったんですよ。具体的に言うと、親指にサムピックつけて、フィンガー・スタイルでバンジョーを弾いていこうというブームが自分の中にあって、去年のクリスマス・シーズンもチェット・アトキンス(※1946年にデビューしたカントリー系ギタリスト。サムピックを使ったチェット・アトキンス奏法で知られる。ロック系のギタリストにも影響を与えた)のクリスマス・アルバムを聴いてたんです。それがすごくよくて、正月もずっとフィンガー・ピッキングやってて(笑)。デモもその頃には作っちゃってたんですよ。ラップ・スティールも買ったんで、それも入れてみて。『OUTTA HERE』を作って、そのあとツアーしたことで、初期衝動と言うか、音楽が本当に好きだから演奏するんだっていう感覚を取り戻すことができたんですよね。今思えば、『OUTTA HERE』を作る前は、どこかできあがっちゃってたようなところがあったのかな。でも、またそういう気持ちになれたんですよ。新しい楽器を買ったり、新しい奏法をチャレンジしたりするのが楽しくて、デモもその延長で作っちゃったんです。
戸川 最初は歌メロも入ってたんだよね。
CHUN2 そう。
戸川 楽しみにしてたら、インストになってて(笑)。
CHUN2 3分ぐらいのポップ・ソングにしようと思ったんですけど、しっくり来なかったんですよね。一度、そういう形でレコーディングもしたんですけど、ダメだ、何か違うと思って、録り直したのが「STEP BROTHERS」なんですけど、音的には40年代、50年代のローファイな音作りを意識しました。デモがたまたま、雑に録ったもんだから、いい感じにローファイなサウンドになってて。ガイデッド・バイ・ヴォイシズっぽい、いかにもUSインディーの連中がテープで録ってるような音になってたから、それでいいんじゃないかと思ったんですけど、改めてスタジオで録り直して……けっこう凝った録り方をしたんですよ。録り音をカセットテープに落としこんで、それをまた拾い上げたんですけど、古〜い、ルーツ・ロックっぽいインタールードになりました。
高本 おもしろいと思ったのは、いわゆるアメリカン・プリミティヴ・ミュージックとは違うんですよね。
CHUN2 そうですね。
高本 なんかヨーロッパの匂いがするんです。どこかヨーロッパのトラディショナルな音楽の雰囲気があるような気がして、初めはちょっとノーマン・ブレイク(※50年代から活躍しているブルースグラスのギタリスト。ボブ・ディランとの共演が有名)みたいな感じなのかなと思ったんですけど、バンジョーの音色が英国紳士的に聴こえるんですよ(笑)。だから、「ラップ・スティールがないほうがトラディショナルだよ」ってずっと言ってたんですけど、本人が(ラップ・スティールを)入れたいって言うんで、入れてもらったら、まぁ僕の曲の時の素晴らしさを帳消しにするようなラップ・スティールを入れたので、「こんなのは赤点だ」って。自分でもわかってたみたいですけどね(笑)。
CHUN2 いや、早いうちからできてたんで、性格なのか、それからあれこれ考えすぎちゃって、いろいろなものがごちゃ混ぜになっちゃったんですよね(苦笑)。
高本 僕の中ではラップ・スティールが入ることによって、英国紳士的な感じがなくなるから、「バンジョーとアコギだけですごくいいよ」って言ってたんですけど、そしたら最後だけハワイに行って終わるというあの形になりました(笑)。
——ああ、あのラップ・スティールのピヨーンって音色が(笑)。レコーディングはCHUN2さん一人で?
CHUN2 そう、一人です。ライヴはたっくんにラップ・スティールやってもらおうかなと思って。
戸川 あのラップ・スティール、コピーするの大変そうだな。
CHUN2 あれコピーするの大変だと思うよ。
戸川 がんばってみるよ。
——それで、さっきちらっと言ってましたけど、これはホモ・ソングなんですか?(笑)
CHUN2 いやいやいや(笑)。自分一人で演奏してるっていうのとツアーのことを思い出しながらっていうのもあるんですけど、サントラっぽいイメージで作るってことで、最初に思い浮かべたのが『トゥルー・ロマンス』だったんです。哀しくて、でも、最後はハッピーなアクション映画なんですけど、あの映画のテーマ音楽が大好きなんですよ。楽しいハッピーなメロディーなんですけど、どこかマイナー調が混じってて。それがヒントにはなってるんですけど、ヤマテツの写真も叙情的なところがあって、そういう感じだったんですよね。
―― 小坂さんが作った「CRUSIN’」の、何と言うか、アーバンなR&B感覚は、これまでなかったものじゃないかと思って、ちょっとびっくりしました。
小坂 ヤマテツの写真集を見ながら、やっぱり夏っぽいものをやりたいなと思って……。
戸川 でもさ、祐亮が最初に持ってきたデモ、全然、夏じゃなかったよ(笑)。
―― 最初のデモでは、どんな曲だったんですか?
小坂 割と……。
高本 意味がわからなかった(笑)。
戸川 そもそもマイナーなのかメジャーなのかわからなくて(笑)、「これ、どうすりゃいんだ?!」ってみんなで話し合いながら、結局、祐亮が持ってきた最初のイメージを無視して作ったら、ああいう感じになったというのが僕の印象です。
CHUN2 それがレコーディングの前日ですよ(笑)。
高本 この曲はホント、おもしろかったですよ。どういう方向に持っていこうか、みんなで考えているとき、「裏打ち(のリズムを)入れたらいいかもね」って苦肉の策で提案したら、みんなけっこう乗ってきて、すぐにアレンジしてくれたんですよ。何て言うか、それこそ夏っぽい、90年代以降のデジタルな感じもするR&Bインストみたいなね。そういう方向に持っていこうよってオケヒットみたいな音も入れちゃったんですけど、それでもなんとか形になるところまで持っていったら、こいつ(小坂)がそこにものすごいアレンジを加えてきたんですよ。みんなでようやく形にしたものに対して、ヴォコーダー・ヴォーカルを乗せてくるっていうね(笑)。
小坂 ええ、まぁ、ちょっとそういうような(冷や汗)。
高本 しかも変な音のシンセを2本重ねてきて……でも、それが僕はこの音しかないだろうってくらいしっくり来ちゃって。お、すげえ。祐亮、ここへ来て挽回するかって(笑)。ホントだっさい音なんですよ、1本1本を聴いたらね。でも、なんかそのデジタル感が絶妙で。最初はみんなに投げっぱなしで、みんなでなんとか形にしたんですけど、最終的にものすごい力を発揮したのは祐亮だっていう(笑)。
―― オルガンっぽいシンセが、その最後に加えたやつですか?
小坂 あ、そうですね。
高本 あれはちょっとびっくりしましたよね。性格が出るのかな(笑)。
小坂 本当はもっとアコースティックな曲にしたかったんですけどね(笑)。
戸川 えぇ?!
CHUN2 真逆?
戸川 ちょっと待て待て(笑)。最初、もっとレゲエと言うかダブと言うか、そういうのを……。
CHUN2 違うよ。たっくんと吾郎ちゃんが「これじゃやばいやばい」ってリズムを組んで、そこから「これはアコースティックじゃないな」ってなったんだよ。
戸川 そうか。祐亮が最初持ってきたデモだと、マイナーにしないとハマらないところがあったんだけど、祐亮が持ってきた感じを尊重したいよねって流れになったんで、「じゃあ明るい方向にはめたほうがいいんじゃないの」ってぽろって言ったら、みんながそれに乗っかってドカンとベーシックはできたんだ。
CHUN2 そう言えば、たっくん常に文句言いながらやってたよ(笑)。
小坂 ホントですよね。
CHUN2 「これ弾きたくねえ」って言ってたよね(笑)。
高本 僕らもなんとか打開策を見つけたくて、いつもどおりやっちゃダメだと思って、いつもなら弾かない弦の位置からスタートしましたもんね。この辺から行っちゃえって(笑)。
CHUN2 どうにかしなきゃって、あんなにみんなが建設的になったのは久々でした(笑)。
戸川 土壇場感はあったね。
小坂 そうですね。ホントに。
高本 ただ(祐亮の)最後の挽回はハンパなかった(笑)。
CHUN2 そうだねぇ。
高本 笑っちゃったよ。
CHUN2 ケバい女が好きなんですよ。だからケバい音色を使うんですよ(笑)。曲のイメージは何だったの?
小坂 イメージしたのはビーチで赤いTバックのねえちゃんがって、そういう感じの海辺感。
戸川 それは曲ができあがってからの想像だろ?
高本 ヤマテツの写真と全然関係ない。
小坂 いや、移動している時に……。
高本 赤いTバックと移動、全然関係ないからな。
小坂 ツアーにスケボーも持っていってみたいな。
戸川 浮ついてるなぁ、おまえ(笑)。
―― でも、こういうアーバンなR&B感覚は、これまでほとんど出してきませんでしたよね?
高本 コンセプトに入らなかったですね、やっぱり赤いTバックは(笑)。そういうぶっとんだオリジリナリティーはありますよね。
CHUN2 ただ、元々、黒っぽい感じは、たとえば「Sissy Walk」とかね。ああいうモータウン的なやつはすごく好きなので。
高本 R&Bと言うか、ちょっと(アーチー・ベル&ザ・ドレルスの)「タイトゥン・アップ」っぽい感覚は元々持ってましたけどね。
―― 戸川さんが作った「URBAN COYOTE」からもR&Bっぽいヴァイブズが感じられませんか?
戸川 ヤマテツの写真を見ながら、最初はカントリー的な曲を作ろうと思ったんです。
―― あ、カントリーですか。
戸川 ちょっとトライしてみようと思って、コードにメロディーをはめてみたんですけど、なかなかうまく行かなくて、それで作りなおそうと思ったとき、高本のメロディー・ラインを最初にイメージして、キーは何がいいのか、コードはメジャーなのかマイナーなのかというところから始めて、最初に録ったデモが簡単なドラムとアコギと僕が適当に歌ったメロディーだったんですけど、そこからどうしようかなってとき、ちょうどベン・クウェラーと対バンすることがあって。2月に大阪でやらせてもらったんですけど、メンバー全員が心底楽しめるライヴだったんですよね。で、あ、なるほど。やっぱりCBMDにはこういうことが必要だなって単純に思っちゃって、個人的にそういう曲をやりたくなったんですよ。ただ、みんなに打ち出したら、どんなリアクションするかなって思ったら、意外に受け入れてくれて、じゃあ行けるかって、そこから高本に「こういうアレンジは?」って投げたら、「他の曲と雰囲気が違いすぎるからダメ」って言われて、何度かディスカッションして、いいところを取って、うまいところに収まりました。「URBAN COYOTE」ってタイトルに関してなんですけど、ベン・クウェラーとやった後、どこかのライヴで高本が酔っ払いすぎて、粗相をしたことがあって(笑)。なんだか高本がすごく反省してたんで、普通にメールを送るのも野暮だから、詩を書いて送ったんですよ。
CHUN2 フハハハ。何だそれ?(笑)
高本 それってすごくないですか?(笑)
戸川 もちそん、そんなことはその1回限りなんですけど、高本の様子を見てたら、なんかね。さくっと書いて送ったら、「なんかいいね」って返事が来て、高本が僕の曲に書いてくれた歌詞を見たとき、僕の詩に対するアンサーだと思ったんですよ。じゃあ、タイトルもそのタイトルにしちゃおうって、そんなストーリーも含め、僕の中ではできあがっていった曲ですね。
―― アンサーだったんですか?
高本 うーん、アンサーだったのかなぁ。ただ、確かに、そうだなみたいなところはあったと思います。手紙的な詩を読んだとき、確かにそうだよねって思ったところは(歌詞に)入れたんでしょうね。それと、この曲は彼がディレクションもしたんですけど、そのやり取りをしている時の彼が僕に負けないぐらい頑固なんですよ。そういう頑固者同士の答えの出ないやり取りをしている時に「戸川琢磨ってホント、モンスターだな」と思ったので、そういう意味でのアンサーもありましたね。
―― 「URBAN COYOTE」って今回の作品の中で唯一アップテンポのライヴ映えしそうな曲なんですけど、メンバー全員が楽しんでやれる曲っていうのは、やっぱりライヴで演奏して楽しいという意味ですか?
戸川 「いいね!」と自然に言えるような感覚がベンのライヴを見たとき、全員にあったんですよ。それをCBMDが今までやっていないアプローチで、どうにか表現したいというそれだけの欲求だった気がします。今までのCBMDって割と遊びがないイメージがあって、だからこの曲の最後でアドリブやっちゃうっていうのは新たな試みなんですよ。これまでのCBMDってかちっとしたことをかちっとやるというイメージがあったんですけど、そうじゃない遊びの部分を、随所随所で表現できる曲も必要だなって。頭にノイズを入れるっていうのは、高本のアイディアだったんですけど、この曲はそんなふうにその場の雰囲気でいろいろやれちゃう曲なんじゃないかと思って、中盤、ギター・ソロとベース・ソロになるんですけど、あそこは何も決めず、もう流れでやりました。基本的にベースはパンチインしてないんです。全部エフェクターを踏み変えてるんですけど、いろいろなサウンドを1曲の中で表現できたんじゃないのかな。そういう意味では、おもしろい曲にはなりました。他のメンバーも同じように自分なりの色を単純に出しているだけなので、ベン・クウェラーがきっかけでしたけど、結果、CBMDらしい曲になりました。振り返ってみると、高本に出した発注が一番うるさかったですね。たぶん今まで、そういうことを言われたことがないと思うんですよ。自分で曲を作ってるし、メロディーに関しても僕も含め全員が信頼してるし。ただ、そこからの……。
高本 からのじゃねえよ(笑)。
戸川 そういうほうが刺激しあえておもしろいのかな。
高本 ふだん、みんなにやってもらっていることを、逆に自分がやるっていうのは新しい試みでしたけど、楽しかったですね。それと、やっぱり悩むんだなって思いました(笑)。いろいろなパターンは出てくるんですけど、それを自分の落としどころと曲を作った人間の落としどころにきれいに当てはめるのってけっこう悩むんものなんですよね。たっくんの曲は、うちで何回か録りなおしました。キーが低いEだったから、いくらでも家で歌えたので(笑)。僕がやりたいと思っていた低いキーとはまた違ったんですよ。もうちょっとプリミティヴな感じでやってみたいとは思ってたんですけど、「URBAN COYOTE」はけっこうロックだし、バックのサウンドも割と音量があるから、自分のヴォーカルとしてこのキーでやって、果たして存在感を出せるんだろうかというところはありました。ヴォーカルが後乗せ感バリバリみたいになるのだけはいやだったんで、そこはがんばりましたよ。
―― この曲のギターはかなり歪ませて弾きまくっていますね?
CHUN2 そうですね。まず、たっくんってどういうイメージかなって考えたんですよ。僕の中のイメージはかなりの変態(笑)。それをポップ・ソングにどう落とし込むかがテーマだったんですけど、歌メロの中ではきれいにいろいろなノイズを使って、歌が抜けた後は、みんなの個性がばっと出る。この曲は、やってて楽しかった。みんなのキャラが出てる感じがします。たっくんがバンドに入ってきてから、みんながどんどん自分を自然に打ち出せるようになったっていうのはあるので、たっくんの曲はみんなががんばって、自分の個性を磨いてるのかな。いろいろチャレンジしている曲だと思います。ただ、たっくんもそれで苦労したと思うんですよ。レコーディングでも自分の曲なのに一番苦戦してたよね(笑)。フリーすぎちゃって、逆に自分らしさを出すのがけっこう大変だんじゃないかな。
戸川 やっぱ同時進行って難しいね。弾いているところ見てなかったでしょ?
CHUN2 聴いてたよ。
戸川、すごかったよ、俺(笑)。自分で言うのもなんだけど、エフェクターを2個同時に踏んで、しゃがんでタッピングで音を出して、(エフェクターのツマミを)ひねったりしてさ。
高本 客観的に見て、たっくんって口に出した以上は実行しなきゃって気持ちが強いんじゃないかな。でも、モチベーションがけっこう高いから、言っちゃった手前、苦労してるなってところはありましたよ。
(全員 爆笑)
高本 自分で自分の首を絞めてるなとは思いました。
戸川 そんなことないよ(笑)。
高本 たっくん、そんなことあったよ(笑)。ただ、苦労しながらもそれをこなすことで、自分が予想もしてなかったことを生み出せるってことを考えると、曲の作り方としては、いいやりかたなんじゃないかな。限界までやれてるんだと思いますね。
CHUN2 「URBAN COYOTE」は今回、一番ポップだけど、一番変態の匂いがしてますね(笑)。
戸川 みんなのお陰でカラフルになりました。それが最終的な僕の印象です。
―― ラストを飾る「EARLIY MORNING」はインストですけど、バンド・サウンドではないという意味では、他のどの曲とも違いますね。
高本 これは地味に一人でやったんですけど、コンセプトは1個だけあって、本だからページをめくるっていうふだんとは違う作曲方法があって、いつも作曲するとき、何かしら景色はあるんですけど、それが動くってことはこれまで考えたことはなかったんですね。でも、本ってページが動くなと思って、そういうものは歌ものじゃないほうが作りやすいと思ったので、全然違う方向に展開する曲を作りたいと思いました。あとは初めてのインストだったので、考えすぎると悩むからぱっとインスピレーションで作りました。
―― この曲はオルガンとピアノだけですよね?
高本 そうですね。細かいことを言うと、すごく偏屈なところがあって、ピアノも半音ずつで、ものすごく弾きにくい(笑)。簡単なんですけど、普通ピアノを弾く人はここに動かないだろうってところばかりで選んで動いてるんです。半音同士でどうですかって(笑)。普通の人がぱっと手癖で弾いたら、絶対やらないであろうって動き方をしてやろうっていう(笑)。
―― スタジオでレコーディングしたんですか?
高本 スタジオで。祐亮と僕で。サントラでもあるし、みんなの曲も入るし、何をやってもいいだろうって。M・ウォードが大好きなんですよ。変な話をすれば、ああいうふうな作家に思われたいってところがある(笑)。シンプルな芯を持っているけど、何でもトライするよねっていうああいうタイプの作家だと思われたい。ずっと好きなんですよね。何も変わってないようだけど、作品を作るたび更新しているなって。
CHUN2 うんうん。
高本 オールディーズ風のポップ・ソングからカントリー・ブルースな曲、ピアノのインストから歌ものまで何でもできて、どれもいいじゃないですか。ああいうのすごくいいなと思って。音楽が好きでやってるんだろうなって感じがしますよね。
―― 今回の作品で、そういう部分がかなりアピールできるんじゃないですか? まさかCBMDのアルバムにオルガンとピアノだけの曲が入っているなんて想像できないじゃないですか。
戸川 写真集のサントラならではですね。
―― 逆に言うと、自分達のレギュラーなアルバムを作る時は、ちょっとまじめになりすぎるようなところもあるんでしょうか?
高本 そうだったのかなと思って。さっきも言ったと思うんですけど、今回、この作品を作れたからこそ、もうちょっと自分達の中でのやっていいことって増えると思うんですね。でも、アルバムとしては一貫したものを作りたいから、また新しい目標ができたのかな。別に爪弾きの曲が入っててもいいし、ファズ・ギターがガンガンの曲が入っててもいいし。でも、アルバムという一つの世界観も作りたいので、今回みたいにいろいろな曲を作りながら、その作業をプラスしたらおもしろいだろうなとは思いますね。
―― もう好き勝手にめちゃめちゃやっても、CBMDの世界観は勝手にできあがるんじゃないですか?
高本 それは言いすぎですね(笑)。(ファンから)嫌われる可能性がある。意味がわからないって(笑)。
CHUN2 そうですねって言っておけばいいんだよ(笑)。
―― 次の作品が楽しみになるような作品になりましたね。
高本 そうですね。制作意欲も全然落ちてないので、ライヴもしっかりやりながら制作も続けていきたいですね。これからはもう制作は制作、ライヴはライヴというふうに分けなくてもいいんじゃないのかな。
インタビュー@山口 智男
連続インタビューの第3回目は今回のPHOTO BOOKの写真を撮った写真家、山川哲矢を迎え、メンバーと一緒に今回のPHOTO BOOKにまつわるあれこれを語ってもらった。多くの日本人バンドを撮っている新進気鋭の写真家と唯一無二のバンドの座談会――と銘打つには、ややざっくばらんな内容からは、両者の飾らない関係が窺える。
――CBMDと山川さんの出会いは?
山川 いろいろなところで、ちょくちょく顔を合わせていて。Niw! Recordsのバンドをよく撮らせてもらってたんですけど、CBMDがけっこう対バンで出ることがあったんです。野音(日比谷野外大音楽堂)でやったKAKUBARHYTHMのイベントとか、FRONTIER BACKYARDと地方に行った時とかもCBMDが対バンで、その時は挨拶しただけだったんですけど、高本さんがビールをこぼしたんですよ(笑)。それは今でも覚えてますね。CBMDのライヴを初めて撮ったのは、恵比寿のLIQUIDROOMでRIDDIM SAUNTERとTHE BAWDIESと一緒にやった時。それからちょくちょくライヴを撮らせてもらってます。
――最初はバンドからのオファーだったんですか?
山川 いや、自分から撮らせてくださいってお願いしました。ずっと撮りたいと思ってたんですけど、近寄りがたい存在だった(笑)。怖い先輩って感じだったんです。それまで接点もなかったから、ほとんど喋ったこともなかったので。喋らないと、やっぱりちょっと怖い雰囲気があるじゃないですか。
CHUN2 怖くはないでしょ。
――CBMDを初めて撮ったのが…。
山川 2、3年前。
高本 3年前ですね。僕、はっきりと覚えてるんですけど、初めて彼とちゃんと喋ったとき、お酒が飲めないって言うから、「カメラマンなのにお酒が飲めないってどういうことなの?!」って言ったら、ちょっと怒ったのか何も言わずに、ものすごい勢いでお酒を飲みはじめて、それからあっという間に陽気になって寝るところまで行っちゃったんですよ。それで、えらいおもしろい子がやって来たなって(笑)。
CHUN2 俺もかわいい坊やが来たなって思って。でも、そう思ってたら、けっこうがめつい男で(笑)。
(全員 爆笑)
CHUN2 そのアンバランスさがよかったんですよ。
――がめついっていうのは、写真を撮ることに対して熱心とか貪欲とかってことですよね?
CHUN2 そう。気がついたらバンドのホームページのトップに写真が上がってて、あ、これいいなって思ったら、ヤマテツの写真だったんです。
山川 それが初めて撮った時の写真で。
中津川 LIQUIDROOMのね。
――最初、撮らせてくださいってオファーした時は、どういうシチュエーションだったんですか? 直接、面と向かってお願いしたんですか?
山川 そうですね、高本さんに。吾郎さんもいましたっけ?
中津川 ヤマテツが元々撮ってたバンドと僕らが一緒にやるとき、「CBMDも一緒に撮らせてもらってもいいですか?」って。僕らも基本的にそういうのはウェルカムなんで、じゃあ、お願いしますって。その後の僕の印象としては、その2日後ぐらいに写真が届いたんですよ。彼からメールで。すごく早いな。しっかりしてる子だなってそういう第一印象がありました。それで、来られる時は、ぜひ撮りにきてほしいと逆に僕らからもお願いして。それまで僕ら、誰か専属で写真を撮ってもらったことってほとんどなかったんですけど、彼の場合、人柄もよかったので、ぜひと思ったんです。
――人柄っていうのは熱心さってこと?
中津川 それもあるし、ほんわかした中にも断固とした信念が感じられたんですよ。
高本 僕らみたいなバンドって、そういう人じゃないとうまくやれないんじゃないかな。たぶん、すごく言うことを聞いてくれたり、すごく機敏に動いてくれたりしたとしても、その人が持ってるCBMDのイメージを表現してくれる人じゃないと一緒にできないと思うんですよ。あとまぁ、そういう人と一緒にいたいというのもあって。その人が無名でも有名でも関係なくて、そういう人達と一緒に音楽にまつわる何かをずっとやっていくっていうのが僕達らしいし、それが楽しいなと思ってて。彼はまさにそういうタイプだったんですね。ただ、そういうタイプだったんですけど、まぁ、初めはそれを出さない出さない(笑)。長い物に巻かれた感をすごく出してましたね。
CHUN2 怖かったんだよな。
高本 「僕なんて…」とか「誰々のアシスタントで、ペーペーで」とかみたいな感じで、最初入ってくるから、なんだよ、つまらないなって思ってたら、写真が全然そうじゃないっていう(笑)。
CHUN2 自分を持ってるんですよね。
高本 主張のしかたって言うか、意地の張り方が僕らに近いって言うか。
――ああ。
高本 そういうところがよかったですね。「いや」とか「でも」とかってけっこう言うんですよ、会話の端々で。「そうですね」で会話が終わらない。「いや、俺はこっちのほうが」みたいなことをサラリと言ってくる。そういうところが好きですね。
――そういう部分がつきあいの中で徐々に出てきたわけですね。
高本 DVD(『KEEP THE FLAME』)を作った時と一緒で、それを100でやってみないか? 僕らも気にしないからって。ヤマテツも気にせずに好きなようにやれたら、僕らが思ってたのとはまた違うCBMDが表現できるんじゃないのかなって思ったんで、今回はそれをやりたかったんですよ。
――山川さんはそもそも、なぜCBMDの写真を撮りたいと思ったんですか?
山川 バンドとして単純に好きだったんですよ。でも、やっぱりメンバーの人柄が大きいと思うんですけど、最初は近寄りがたいと言うか、先輩っぽい雰囲気だったので、こっちもちょっと遠慮してたし、あまり馴れ馴れしくできない雰囲気もあって。でも、ライヴの打ち上げで話す機会があって、喋ってみたらすごくおもしろい人達だなって。その時は高本さんとCHUN2さんと喋ったんですけど、高本さんに「おまえ俺のこと嫌いだろ」って言われて(笑)。
(全員 爆笑)
高本 そんなこと言ったっけ?(笑)
山川 そんなことないですって(笑)。
CHUN2 恥ずかしいよ、おまえ。
高本 それからはもう1月に2回ぐらい赤ワインを飲む仲になって(笑)
――赤ワインを(笑)。
山川 気がついたら信頼関係って言うか、そういうのができてる気がして、遠慮しなくていいんだな。ちゃんと自分を出して、そこで写真を撮っても大丈夫なんだなって思いました。実は、そういう人達ってそんなに多くなくて。仕事としてではなくて、一緒にいたいと思ったことがCBMDを撮りたいと思ったきっかけでしたね。
――じゃあ、去年、『OUTTA HERE』のリリース後、ツアーに一緒に行こうと誘われた時も即OKだった?
山川 そうですね。と言うか、自分から言ったんですよ。去年の5月、6月に仙台と盛岡に一緒に行ったんですけど、それぐらいの時期に……『OUTTA HERE』が出る前だったんですけど、RIDDIM SAUNTERの機材車の中で、みんなで聴きながら、新作すごくいいなと思って。で、ライヴを見たら、あ、これは本当にすごい。何かが変わるって言うか、何かが起きるような気がして、今度のCBMDのツアーは写真で残したほうがいいんじゃないかって思ったんです。
高本 おまえ、ぼそぼそぼそぼそちゃんとしたこと言うな(笑)。
CHUN2 ホントだよ。
山川 それができるならやってみたいと思って、それで仙台と盛岡に行ったタイミングで吾郎さんに「行きたいんですけど」って相談して。
中津川 ぜひぜひって(笑)。
CHUN2 それでツアーに連れていったんですけど、こいつツアー中、車の中では寝てばかりで(笑)。それ以外はずっと写真を撮ってるし、全然うちらと遊んでくれなかったんですよ。でも、夜すごくおもしろいんですよ。
――おもしろい? えっと、それはどんなふうに?(笑)
CHUN2 夜ってやっぱりちょっと危ないじゃないですか?
――危ない?
戸川 ノー・プランじゃない?(笑)
高本 いや、大体ノー・プランだから。
CHUN2 危ない奴が出てくるじゃないですか。そいつらを検挙する警察を作ったんです。僕らで。
戸川 何て言う警察?
CHUN2 アカン警察って言うんですけど(笑)。
(全員 爆笑)
CHUN2 それの山川刑事(デカ)の取調べがハンパないんですよ(笑)。若いだけあって血の気が多いから。でも、そのバイオレントな部分が俺好きで(笑)。あと、ヒゲの濃さが好きで(笑)。
(全員 爆笑)
戸川 そこ?!
CHUN2 ホント、一緒に回れてよかったです。
戸川 出会った時はつるっとしてたんですよ。かわいらしい顔だったんですけど、それがいつの間にかヒゲなんかはやして、悪くなりはじめのラテン・ギャングみたいになっちゃった(笑)。
CHUN2 『カラーズ』って映画みたいになっちゃって、意外に貫禄出てきちゃったんですよ(笑)。
(全員 爆笑)
CHUN2 いい感じに育ってきてるなって(笑)。でも、ツアーは本当におもしろかったですね。部屋飲み事件とかね。言えないことばかりで、ホント、取り締まっていかなきゃいけないんですよ(笑)。
高本 一緒に、わーわー騒げると言うか、CHUN2が言ってるのは、夜の打ち上げのことなんですけど(笑)、打ち上げで羽目外したらそうやって検挙もして、一緒に遊んだりもできるし、そうかと思えば、一人で迷子になって、何やってるのかと思ったら、写真を撮ってたりするんですね。迷子になった状況をポジティヴに考えてる。ホントにナチュラルでよかったですね。たまに思いましたもん、こいつ何しに来てんだっけって(笑)。でも、写真を撮ることがすごい好きだから、僕らが見えないところでもずっと撮ってたみたいで、写真を渡されたとき、けっこうびっくりしました。「これどこ?!」「酔っ払って、トイレがどこかわからなかったとき、いいなと思って撮ったんですよ」って、そういう写真がけっこうあって。CBMDのツアーだとは言っても、僕らにだけカメラを向けているわけではなくて、ツアーに参加している一人のメンバーとしての視点の写真も撮っているところがよかったです。(『KEEP THE FLAME』を撮った)MINORxUもそうだったけど、そういう人って僕らが思ってもいないような何かをプラスしてくれるから、そういう人と一緒にいるのは楽しいですよね。
――ツアーに行く前にこんな写真が撮りたい、こんな姿を撮りたいっていう撮影プランはあったんですか?
山川 特に考えてはなかったです。最初、1、2ヶ所ぐらい撮ったとき、撮った写真を見てみたんですけど、その時、計画を立ててやるとおもしろくなくなっちゃう。想像できないことが起きなくなっちゃうだろうって思って、だったら毎回、思うとおりに撮ってみて、最後の段階で、組み立てる方法がいいだろうって考えたんですよ。
――メンバーが5人いて、撮りやすい人と、どちらかと言うと、撮りづらいっていう人っているんですか?
山川 撮りやすいのは、高本さん。
――どんなところが?
山川 何考えているかわかりやすい。
(全員 爆笑)
高本 最高だね(苦笑)。
山川 逆に撮りづらいのは、祐亮さん。
小坂 俺か(笑)。
――それは…。
山川 何考えてるかわからない(笑)。
(全員 爆笑)
小坂 まぁ、そうなんでしょうね。でも、気づいたら撮られてて、それはすげえよかったです。
CHUN2 こいつ撮られるの好きなんですよ。
小坂 それはそうですね。
中津川 なおかつ写真栄えもいいんです。
――カメラマンがついてきているって感じはあまりなかったんじゃないですか?
高本 そうですね。それは一番重要なことだと思います。仲のいい、気の合う友達をもう一人一緒に連れていったって感じでしたね。
――メンバー的には無防備な姿も撮られているのでは?
高本 撮られてるんでしょうね。でも、使わせないですけどね(笑)。
山川 でも、メンバーが無防備な時は僕も無防備なんで。
高本 そうだね。
山川 撮れてない(笑)。
CHUN2 そういう意味でも、ヤマテツは本当に図太いですよ(笑)。
――写真集にまとめた写真の数々を改めて見たとき、どんなことを感じましたか?
山川 寂しくなりました。記録的なものにしたいと考えて、写真に感情が入り過ぎて、写真を見る人がそれにひきずられないようにしようとは思ってたんですけど、でも、やっぱり地が出ると言うか、バンドと一緒にツアーしている時の移動中の風景を見ていると、同じ時間を過ごしてたことを思い出して、寂しい気持ちになるんですよ。
――中津川さんも山川さんの写真はすごく叙情的だと言ってましたね。
山川 思い返してみると、ツアーが始まってすごく楽しい反面、いつか終わるんだなって、ふとした瞬間に思うと、寂しかったですね。
――今回、写真を元にメンバーが作った曲は聴きました?
山川 もちろん。こういう曲になるんだってびっくりしました。こういうふうに写真を見てくれたんだって思うと、すごくうれしかったです。こういう作品を一緒に作れたことはもちろん、同じ時間を共有できたことがうれしかったです。
――メンバーそれぞれにお気に入りの写真なんてあるんですか?
高本 けっこうありますよ。基本的にライヴの風景の切りとり方が好きで、被写体がどこなのかぼかしてると言うか、ヤマテツの写真って写真全体を見て、その写真をジャッジするようなものが多いんですよ。ヤマテツがそう思っているかどうかわからないけど、そういうところが音楽を作ることと似てるなって。ここを目立たせたいみたいな感じで、誰しもやろうとすると思うんですけど、やっぱり全体だと思うんですよ。全体の世界観がどうあるかが一番重要だって物作りするとき、僕は思うんですけど、同じことをヤマテツの写真からはすごく感じますね。
CHUN2 フィルムで撮っているからっていうのもあるんですけど、ざらついた感じが俺達の音楽と近いのかな。今回の音源もそんな感じで、アナログ感って言うか、その感じが好きですね。
――あ、デジタルじゃないんですね。
山川 ええ、モノクロのフィルムで撮りました。
CHUN2 その雰囲気はすごく独特でいいですよ。
――モノクロのフィルムを使ったのはどんな狙いで?
山川 元々、フィルムで作品を作ることが多くて、ライヴも仕事以外で撮る時はできるだけフィルムを使ってるんですけど、今回は特にカラーで撮ると、時代が写っちゃうような気がしたんです。
――ああ、時代が写る。
山川 残したいという気持ちが強かったんです。10年後でも見られる作品にしたかったので、それにはモノクロのフィルムで撮るほうがいい。CDの雰囲気にも合うんじゃないかって考えました。
――全体で何枚ぐらい撮ったんですか?
山川 36枚撮りで1回の土日のライヴで20本ぐらい。だから、全体で100本ぐらい。でも、デジカメで撮ることを考えると、枚数はそんなに多くないと思います。
――そこから…。
山川 128枚選びました。
――選ぶのは大変だったんじゃないですか?
山川 それが意外に大変ではなくて。普段からそんなに悩まないんですよ。撮りながら、この日はこれだって思ったことをけっこう覚えてるんですよね。
――ああ、撮りながらね。
山川 撮っているとき、楽しい瞬間って覚えてるんで、案外悩まないですね。たまに思わぬ写真が出てきて、意外にこれいいなって。そういのってたいてい一人でさまよっているとき、撮った写真で(笑)。今回、CDのジャケットに使われている写真も、かねよ食堂のライヴで、酔っ払いすぎてトイレに行こうと思って迷った時に撮った夜の海の写真なんですよ(笑)。
――またこういう機会があったら、CBMDと一緒にやってみたいってことってありますか?
山川 何かやりたいと言うよりは、撮りつづけたいですね。CBMDがどうなっていくのかやっぱり気になるので。今回は写真集を作ることになりましたけど、そういう結果のために撮ってるわけではなくて、ただ一緒にいたいと言うか、一緒にごはん食べたりお酒飲んだりしたいから撮ってるようなところもあるんで。あ、写真展はやりたいですけど。
――なんで一緒にいたいんでしょう?
高本 太字にしようとしてるでしょ?
山川 あ、決めっぽいことを言ったほうがいいですか?
高本 なんでおまえが気にするんだよ、そこ(笑)。
――単純に楽しいのか、落ち着けるのか、それとも刺激的なのか理由はいろいろあると思うんですけど。
山川 もちろん、写真を撮ることでもらってるものも当然あるんですけど、写真に残したいと言うか、記録に残したいバンドだからかな。おこがましいかもしれないですけど、残すのであれば、他の誰かではなく、自分がやるべきバンドなんじゃないかなって。割と最近からのつきあいなので、昔の話はわからないですけど、今のCBMDは自分の感覚に近いバンドなんですよね。
インタビュー@山口 智男
Vol4.へ続く
写真集のサントラという異色作になった『BACK IN THE SUMMER』についてメンバーが語る連続インタビュー。
その第2回目は、バンドのアルバムというある意味、決まった形から解放され、いつも以上に自由な発想で挑むことができたという制作の舞台裏について聞いてみた。
まずは、ひとり1曲ずつ持ち寄った曲の話から。
――今回は高本さん以外も曲を作っているんですよね?
高本 そうです。全員が1アイディアずつ持ってきてます。
――全員?! あ、そうなんだ。
高本 だからよけいに、これまでと違う感じに聴こえるのかもしれないですね。
戸川 今回、フォーマットがアルバムぐらいのボリュームじゃなくなるって聞いた時に、これはいつもと違うことになりそうだなと思ったんで、「だったらみんなで1曲ずつ作ろうよ」って試しに言ってみたら、「いいね」ってことになったんで、「じゃあ、みんながんばろうか。やれるところまでやって、あとはみんなで揉んでいこう」って。
――えっと、フルアルバムにはならないってことは、割と早い段階で決まっていたんですか?
高本 自分達のことは自分達でわかるので(笑)。この時間じゃフルアルバムにはならないっていうのはわかってました。でも、ベストを尽くしたかったので、フォーマットは(何でも)いいかって。ただ、ひとり1曲ずつ持ってきて、みんなで作ろうっていうのは、コンセプトとしてありました。
――これまで、そういう話にはならなかったんですか? 全員ではないにしても、誰か高本さん以外のメンバーが持ってきた曲をやろうという話には。
高本 僕、曲を作るのが好きなんで(笑)。それに僕が曲を持ってきてたと言っても、僕が持ってきたアイディアに、みんながいろいろ加えて、曲にしてるので。それに僕もみんなのことを当てにしてるんで、みんなで作っているようなものですよね。「こういうギターをお願いします」だったり、「ベースはノー・プランです。よろしくお願いします」だったりそういう感じでいつもやってるんで、今回、全員が曲を作ってると言っても、元々のアイディアを誰が持ってきたかってそれだけの違いでしかないんですよ。
――ああ、なるほど。それで、えっとメンバー5人で6曲っていうのは……。
CHUN2 高本が2曲作ってるんです。
高本 今回が初めてじゃないですか。デモを相当がっつり作って持っていったのは。メンバーそれぞれに曲を持ち寄るってことで、今回は今までよりも自分の曲ってことを意識して、デモもかなりがっつり作ったんですよ。
――高本さんは「WEEKEND」と「SHINING」ですか?
高本 僕は「SHINING」と最後の「EARLY MORNING」ですね。
――あ、そうなんだ。じゃあ、戸川さんは「CRUSIN’」と「URBAN COYOTE」?
戸川 いや、「URBAN COYOTE」だけです。
――あ、そうか。ひとり1曲か。
戸川 「CRUSIN’」は裕亮です。
小坂 俺です。
――へぇ、そうなんだ!
(全員 爆笑)
小坂 なんですか? なんですか?
CHUN2 ちゃらいでしょ? 無口だけど(笑)。
小坂 そんなことないですよ。
戸川 で、「WEEKEND」は吾郎ちゃんで、「STEP BROTHERS」がCHUN2。
――ああ、なるほど。らしいところもありつつ、意外なところもあって。でも、一番意外だったのは「CRUSIN’」かな。
小坂 マジすか?!
――ひとり1曲ずつ作ろうっていう話になったとき、そのアイディアには全員乗り気だったんですか?
CHUN2 もちろんもちろん。
中津川 たぶん、こういうタイミングでしか取り組めなかったんじゃないかな。いきなりアルバムでそういうことをやると、とっちらかっちゃうと言うか、今回は写真集のサントラというコンセプトがあったので、やりやすかったですよね。
戸川 そうね。「サントラだから、いろいろな曲が入っててもいいよね」って話になったよね。アルバムの時のビッとした感じよりは、間口が広い気がして、だったら自由な発想で、みんなで写真に曲を当ててみようぜって、そんな雰囲気もあったような気がしますね。今思えば。
――これまでやってみたかったけど、CBMDってバンドにはちょっとそぐわないからやらなかったようなことも今回はやってみた?
高本 うーん、そこまではないんですけどね。でも、踏ん切りにはなりますよね。インストを作ったことってなかったですから。インストを作ることについては、たっくんが「休んだらいいんじゃない?」ってことをさらっと言ってくれたので(笑)。
戸川 ムフフ。
高本 「インストが1曲あると休めるぜ」って言われて、あ、そうか。じゃあ、半分ぐらいインストで行きますかって(笑)。
――歌ものとインストを作る時って、神経の使いどころって違うんですか?
高本 違いましたね。それは自分でも新鮮でした。これまではメロディーに対して、展開を考えることがクセになっちゃってたんで。今回、僕は歌ものとインストを1曲ずつ作ってますけど、インストを作る時は、いかに自分の歌を無視するか、逆に歌ものを作る時は、どれだけ自分らしい歌にするかっていう正反対のことを考えてました。メロディーを弾きすぎると言うか、メロディーが展開しすぎるようなインストにはしたくなかったんです。でも、その反面、インストとは言え、自分の色は出したかった。結果、すげえ適当に作りました(笑)。ちゃちゃちゃって。あまり考えすぎるとドツボにハマると思ったんで、ま、いいかってくらいの気軽な気持ちで。
――曲は「せーの」で、みんなで持ち寄ったんですか? それともできた人から順々に発表していったんですか?
戸川 えっと、ライヴのスケジュールも入ってたんで、いついつまでに作らなきゃいけないよね。じゃあ、デモはこれぐらいまでに上げようって事務的なところからスタートして、その流れで、できた人からバンドで1回合わせてみようかって、そんな進み方でした。
――みんなが持ち寄ったデモを聴いて、「らしいなぁ」という曲もあれば、「お、意外」という曲もあったんじゃないですか?
高本 それがデモを聴いただけではわからなかった(笑)。デモの作り方もそれぞれなんで、デモを聴いて、曲がぱっと見えるものもあれば、正直、これどうしたらいいんだろうってものもあって、5人が曲を持ち寄るってことは、こうことになるんだっていうのが最初の印象でした(笑)。
――じゃあ、そこから曲として形にしていくのはけっこう大変だった?
戸川 つるっとスムーズに行ったやつと、そこそこアレンジしたやつ、それと大幅に変えちゃったやつがありましたけど……高本のデモは今回、かちっと最終的な曲の構成までやってあったんですけど、その他のデモはリズムとコードだけとか、曲を作る要素はすべて揃ってるんだけど、それ以外をはしょってすごくミニマムな形になってるとかいろいろだったんで、結局、1曲1曲揉みながら形にしていったって感じですね。
CHUN2 でも、トータルでそんなに時間はかからなかったですよ。俺の印象では、何これ?ってデモは一つもなくて、どれも作ってきた人間のバックグラウンドが見えるようなものだったんでけっこうすんなりと……。
高本 いや、あったよ(笑)。
CHUN2 あった?
(全員 爆笑)
CHUN2 ああ、一人ね。一人いたんですけど。
高本 でも、それも含めて楽しい作業でしたね。
戸川 そうだな、俺の印象だと、コード進行(をつけること)とかアレンジとかに関しては、高本がけっこうサクサクとやってくれたんでね、ある程度できあがったところで、バンドでバンッと合わせたら、「お、もうできちゃいそう」ってことが多かったんじゃないかな。「みんなの曲を作ろう」って意識が『OUTTA HERE』を作った時に培ったことやその後のツアーを経て、以前とはまた変わってたと言うか、そのへんの潔さもあって、スムーズにいったところが意外にあったと思います。
高本 そうですね。そこはだから初めての試みがうまくできたっていうのは、僕が今まで曲の原案を持っていってたけど、いつもみんなに投げてるんで、逆に考えれば、みんなが持ってきたアイディアを、自分が持ってきたものと考えて、いつもと同じようにディレクションだけすれば、あとはみんな勝手にやるだろうって最初からなんとなくわかってたんですよ。だから、なるべくその役目をやるべきなのかなって作ってる時は意識してました。君の曲だから君が全部やってくださいではなく、それが自分の曲だったらどうするか考えて、「こうしたほうがいいかもしれないね」って。で、「じゃあ、こういうのは?」ってなったら、「いいんじゃない。いいんじゃない」ってあとは任せてしまう。そうやってみんながガッと乗ってきたら、みんなの世界観がギュッと入る。そういうところは、これまでと一緒ですよ。
――新作を聴かせてもらって思ったのは、『OUTTA HERE』の後のツアーの写真に対する曲にもかかわらず、ほとんどの曲が切ないと言うか、物寂しい雰囲気というところがおもしろいですね。『BACK IN THE SUMMER』というタイトルからも過ぎ去った夏を惜しむような気持ちが窺えますよね?
高本 まぁ、(ツアーが)終わってから作ったから(笑)。
(全員 爆笑)
高本 ツアー中に作ってたら、もっとオラオラオラって曲になってたかもしれないけど、やっぱり終わってから作ったからだと思います。
戸川 振り返った感じだね。
高本 それが理由じゃないですか。
中津川 それと、彼の写真のテイストもあると思うんですよ。叙情的な写真を撮るんで、そこに引き寄せられたところは少なからずあると思います。
――完成した6曲を改めて聴いてみて、どうですか?
高本 おもしろいですよ。さらっと全曲聴けるし。聴いてくれる人は、なんかまたわからない状態になってると思うかもしれないけど、僕らの中では辻褄が合ってるんで、それほど、これまでと違うことをやってる感じはしない。そこが厄介ですよね。でも、僕らのことを好きな人達は、そういうところも楽しんでくれるんじゃないかなってちょっと思ってて。写真集ってフォーマットも含めてね。みんなの思い出の品みたいなものになったらいいですね。
――ツアーの写真が元にはなっているんですけど、曲のタイトルからはまた別の一つのストーリーがあるようにも感じられますね。
CHUN2 鋭いな。
――「WEEKEND」で始まるじゃないですか。で、最後の「EARLY MORNING」は週末を、義理の兄弟に会ったり、クルージングしたりしながら海で過ごしたあと、日常の生活に戻る月曜日の朝の寂しさを表しているんじゃないのかなって。
CHUN2 深読みしすぎですよ!(笑) あ、でも、そういうつながりもあるのか。
戸川 そこまでは打ち出してないと思いますけど。
中津川 偶然そうなっただけで。
戸川 でも、そういうふうに想像してもらえると、うれしいですけどね。そういう楽しみ方もいいのかなって。
――じゃあ、何か一つのストーリーがあるわけではない?
高本 ないです(笑)。歌詞は僕が書いているんで、それぞれの曲の歌詞にはストーリーはありますけどね。ただ、タイトルは曲を作った人が決めたので、それぞれの中でのツアーのストーリーがそんなふうに要約されたんでしょうね。まぁ、「STEP BROTHERS」のどこがツアーと関係あるのかはわからないですけど(笑)。でも、そうなんだと思います。
――今回、『OUTTA HERE』のアコースティック・ギターの音色を押し出した温もりのあるバンド・サウンドとはまた違うサウンドになっていると思うんですけど、レコーディングではどんなことを意識したんですか?
高本 これは僕個人かもしれないですけど、今回一緒にやったのが、かなり信頼しているエンジニアさんだったんですね。『OUTTA HERE』を作るためにニューヨークに行く前に一緒に作品を作ってた人で、彼が「アメリカに行け」って言ったんですよ。「行ったらいいんだよ。君らみたいなバンドは」って。で、アメリカに行って、自分達なりにわかったこともありつつ戻ってきてからのやり取りだったので、けっこうムチャなことも言ったと思うんですけど、汲みとってくれて。個人的なことを言えば、決まりきったレコーディングのやり方を一度打破してみたかったと言うか、それは機材がどうのこうのということではなくて、僕、毎度言ってますけど、シンガー・ソングライターとかプリミティヴな音楽とか好きなので、そういう雰囲気もこのバンドに混ぜたくて、それにはどうしたらいいかなって考えて、今までだったら、「弾きます!」みたいな感じで、構えてギターを弾いてましたけど、今回はできるかぎり家にいる時みたいな姿勢で弾きましたし、歌も座ってレコーディングしました。そのほうがいいって、エンジニアさんに相談したら言われたんですよ。曲の元になった景色を思い浮かべると言うか、もちろんうまく歌おうとは思うんですけど、写真集につける曲なんだから景色が見えないのはどうなんだろうって話にもなって、そこが一番大事なんじゃないかって。僕が座って歌ってるとき、エンジニアはずっと外を見ているって、かなり変わったレコーディングでした。「ああ、今のいいね」って全然こっちを見てない(笑)。いい感じに小さな畑が見えるんですよ、スタジオから。そこばっか見てましたね。そういう意味で、レコーディングにはこだわりました。
――ああ、だからなのかな。ヴォーカルの感じがこれまでとはちょっと違いますよね。
高本 あ、そうですか。
――今回は、全体的にこういうサウンドでみたいなものはなかったんですか?
戸川 最初はあったんだよね。もうちょっとかねよ食堂で演奏できるような曲を増やそうかって高本が言ったんだけど、蓋を開けてみたら、そうはならなかった。
CHUN2 かねよ食堂で、去年、メチャメチャ怒られたんですよ(苦笑)。近所の家から10軒ぐらい、「音がデカい」「やめさせろ」って言われて。でも、まだかねよ食堂でやりたいんで、本当は、そういうロケーションでできる音楽を作りたかったんですよ。
――ああ、かねよ食堂でできるような曲っていうのは、そういう意味で。
高本 結果、そうはならなかったんですけどね(笑)。
CHUN2 うん、まあね(苦笑)。
高本 たっくんなんて(自分の曲で)ファズ使ってますから(笑)。
CHUN2 バカファズ(笑)。
戸川 ツアーが終わったあともライヴがいくつかあったから、その間の出来事とかハプニングとか、今回の曲は基本、写真ありきではあるんですけど、そこにプラス、僕の場合はそういう記憶に新しいことからの影響も入ってるんで。
高本 そういうところはホント、たっくんって自分の世界観が相当あるんですよ。今回も自分の曲に関しては、彼なりにかなりディレクションしてて、僕は僕で他のみんなの曲と同じように、「こうしたほうがいいんじゃない?」って提案してみるんですけど、頑なにノーって(笑)。もちろん、それはいいねって受け入れてくれるところもあるんですけどね。たっくんが持ってきた原曲を聴いたとき、強烈な世界観を感じて、とてもおもしろいと思ったんですよ。それで、これはやりたいと思ったんですけど、ヴォーカルのキーが低かった(笑)。デモだから、仮のキーなのかなと思ったら仮じゃないんですよ。「一番低いEで始めてくれ」ってオファーだったんです。
戸川 CBMDに入る前からCBMDの曲をしょっちゅう聴いていたというファン的な視点から、今までにない曲を作りたかったんですよ。それで、曲はロック調なんだけど、そんなにシャウトしない感じでと考えて、敢えてキーを低めにして、これまでとは違う声の出し方をしてほしいというオファーをしたんですよ。
高本 歌は丸投げします。ただしキーは決まってますっていう(笑)。すげえ難しいオファーをしてきたなって。
戸川 高本もいつも俺にベース・ライン投げるな。じゃあ、デモには歌を一応入れたけど、投げるわって。
高本 僕がもうちょっとボブ・ドロウ(※50年代~活躍しているジャズ・シンガー/ピアニスト)みたいなジャジーな雰囲気を入れたいと思ってるんだよねって言ったら、あっさりノーって。
高本 「もっとロックです」って。もっとロックかぁ。「でも、なんかさ」っていろいろ言い方を変えて、相談してみたんですけど、ノー、ノーって。
CHUN2 ノーははっきり言う(笑)。でも、どこまで考えてノーって言ってるのか疑問でしたけどね。答えがないのにダメ出しだけしてるんじゃないかって俺は疑ってましたよ(笑)。
高本 ノーって言われて1日ぐらいテンパりましたよ。でも、それも楽しかったですけどね。
――今回のレコーディングを通して、バンドとして、プレイヤーとして表現の幅が広がったんじゃないですか?
CHUN2 うん、それは。
高本 楽しいですよね。みんなのアイディアが入ってたほうが。自分が思いつかないこともやってくれるし。だから、今回は写真集のサントラというコンセプトがあったので、特別なフォーマットになってますけど、これをアルバムに向けて、足並みと世界観を揃えて、みんなで作っていったらもっとおもしろいだろうなと思うんですよ。
――それは作り方に関してであって、今回の曲調や音がCBMDの新しいスタンダードになるわけじゃないですよね?
高本 なるわけじゃないと思います。たぶん、これがきっかけで……うーんと、リリース前に言うことじゃないかもしれないけど、バンドにとって何かのきっかけになる作品ってあると思うんですけど、今回の作品を作ったからこそ、新たにできるってこともあると思うし、単純にアルバムはもっとバンド・サウンドで行きたいし、歌も歌いたいし。ただ、今回、やったことって一人ではなくバンドでやりたかったことだから、それができてよかった。今回、全員が曲を持ち寄ったことで、みんなの感じはわかったんで、作品としてみんなの世界観をもうちょっと1枚のものに向けるって作業を今度はしてみたい。曲は全曲、違う人が作ってるけど、統一感のある作品を作って、そこに、どれだけみんなが寄れるかってことをやってみたいです。
――いや、ホントに『BACK IN THE SUMMER』がまだリリースされてもいないうちから、こんなことを言うのはどうかと思うんですけど、でも、次のアルバムも割と早いペースでできちゃうんじゃないですか?
高本 作りたいですね。僕らまだ、燃え尽きてはないです(笑)。
インタビュー@山口 智男
Vol3.へ続く
バンドの成熟と新たな始まりを印象づけた前作『OUTTA HERE』からわずか1年2ヶ月という早いペースでCOMEBACK MY DAUGHTERSが新作『BACK IN THE SUMMER』をリリースする。その新作は前作発表後、彼らが行った“Edacious cheers Tour”に同行した写真家、山川哲矢がツアー中のメンバー達の姿を撮影した写真の数々からインスピレーションを受け、彼らが書き下ろしたインストを含む全6曲を収録した異色作(PHOTO BOOK+CDの完全限定生産盤とCDのみの通常盤の2種類がリリースされる)。連続インタビューの第1回目は『BACK IN THE SUMMER』が写真集とそのサウンドトラックと言える作品になったいきさつを、“Edacious cheers Tour”を振り返ってもらいながら聞いてみた。
――『BACK IN THE SUMMER』。予想もしていなかったと言うか、これまでの作品とかなり趣の違う作品になっていて、びっくりしました。
高本和英(Vo&G) そうですよね(笑)。
――どうしてそういう作品になったのか、そのへんは追々聞かせてもらうとして、前作の『OUTTA HERE』からわずか1年2ヶ月って、『EXPerience』と『OUTTA HERE』の間が3年ちょっと空いていたことを考えると、かなり早いですよね?
高本 早いですね、我々にしては。でも、『OUTTA HERE』の時のインタビューで言ったと思うんですけど、「次はやりますよ」って。
戸川琢磨(B&Vo) 覚えてないよ(笑)。
高本 言った気がするんですよね。「次の作品、もう作ろうかな」って。
――そうでしたっけ?(笑)
高本 作品を作ったあとは、割とわーっとなっちゃうんですけど、『OUTTA HERE』の時は、作ったあともやりたいことがまだまだ溢れていたんですよね。実際には、そんなにすぐには作りはじめることはできなくて、ここまでかかっちゃいましたけど、作品を作りたいって意欲は残ってて。
――『EXPerience』の時は、アルバムを作ってその後のツアーで燃え尽きたって。
高本 そうですね。あんまりやる気にはならなかったですね(笑)。
(全員 爆笑)
――それが『OUTTA HERE』では燃え尽きはしなかった、と。
高本 燃え尽きなかったですね。その後のツアー(“Edacious cheers Tour”)も良かったっていうのもあるんですけど、やっぱりやりたいことに溢れてたっていうのが大きいのかな。
――やりたいことが溢れていたっていうのは、こんなことがやりたい、あんなこともやりたいっていう具体的なアイディアが溢れていたってことですか?
高本 そうですね。アルバムって全体的なバランスも考えるし、その時のモードを閉じこめるんですね、僕らは。でも、アルバムには合わないけど、こういうこともやりたいとか、ああいうこともやりたいとかっていうアイディアもけっこうあったんですよ。そういうアルバムには入らないアイディアを、これまでは時間がなかったり、実力がなかったりという理由で形にすることができなかったんですけど、いつかちゃんと時間をかけて、形にしたいと思っていて、そういう思いが今回の作品を作るきっかけになったとは思います。結局、最初やりたいと思ってたような作品にはならなかったんですけど、そういうことをやってみようというきっかけにはなりました。
――やりたいと思っていた作品とはちょっと違うものになった?
高本 ええ、その時やりたいと思ってたものとは。
――その時は、どんなことをやりたいと思っていたんですか?
高本 『OUTTA HERE』ではアコースティック・ギターをけっこう使ってたじゃないですか。でも、それはやっぱりバンドのグルーヴありきでのアコースティック・ギターだったので、もっとアコースティック・ギターにスポットを当てた曲をやってみたいって。爪弾きの曲もそうですし、もっとおとなしい曲もやってみたいと思ってました。
――でも、今回の作品は、そういう発想の延長にあるんじゃないですか。もちろん、CBMDらしい作品ではあるし、今までと全然違うというわけではないんですけど、それでもこれまでとは趣がずいぶん違うのは、やはり写真集のサウンドトラックということが大きい?
高本 うん、それはあると思います。
――ツアーにカメラマンさんを連れていこうっていうのは、どんなところからの発想だったんですか?
高本 彼の写真がすごくいいっていうのがまずあるんですけど、『EXPerience』の時は映像ができるMINORxUって奴を連れていって、彼が撮った映像を作品(DVD『KEEP THE FLAME / EXPerience TOUR FINAL』)にしたんですけど、何かそういうのが好きなんですよ。海外のアーティストってそうじゃないですか。映像を撮る人だったり、写真を撮る人だったりを、音楽からそんなに遠くに置かないと言うか、バンドはバンド、写真家は写真家、映像作家は映像作家と別々に考えるのではなく、もうちょっとビートルズ的な、チームで何かを作ることにとても興味があって。人の才能に興味があるんです。そういうのがきっかけだったと思います。
CHUN2(G) 言いだしっぺは吾郎ちゃんだったんじゃない? 今度のツアーはカメラマンを連れていって、そこで撮ってもらった写真をツアーのドキュメンタリー的な写真集にしたいって話が、ツアーが始まる前にたぶん吾郎ちゃんから出てきたんだよね。
中津川吾郎(Dr) 厳密に言うと、ツアー中なんですけど、ヤマテツ(山川哲矢)にはずっと僕らのライヴの写真を撮ってもらっていて、僕らも彼の写真が好きなので、何か作品に残したいと思ったんですね。『OUTTA HERE』のツアーでも撮ってもらってたんですけど、撮ってもらった写真を、ツアーの初日から何回かライヴをやっている間に見せてもらう中で、彼の写真集を作らないかって僕が提案したら、みんなから「おもしろいね。でも、写真集を出すなら音源もあったほうがいいんじゃないか」ってアイディアが出てきて……。
CHUN2 前々からサントラを作ってみたいっていうのがあったんですよ。
中津川 やっぱり僕ら、90年代の音楽に影響を受けてるので。あの時代のバンドも本が出てるじゃないですか、フガジとかウィルコとか。それで“BOOK”というフォーマットで何かリリースしたいというのはずっとあったんですけど、それに彼の写真がすごくフィットしたんですよ。ただ、今までの僕らだったら音源が間に合わないんじゃないかってことになってたかもしれないけど、ちょうどツアーも終わってすごくコンディションも良かったので、そのまま曲を作りはじめて。写真集をリリースするタイミングに音を間に合わせたこともあって、リリースのペースが早かったというのもあると思います。
CHUN2 ヤマテツすごくやる気があるんですよ。ガッツ系の男なので(笑)。彼には写真集を出したいという意欲があって、うちらには音源を作りたいという意欲があった。お互いのやりたいことが一致してこういう形になりました。
高本 みんな、やる気に満ちてましたね。ただ、さっきアーティストっぽいことを言いましたけど、実際、ヤマテツからこういう写真集にしたいというラフの写真が送られてくるまで、俺、全く何も浮かばなかったです、曲が(笑)。やることは決まってたけど、写真をもらうまでは何も浮かばなかった(笑)。でも、まぁ、それぐらい写真に合わせた曲を作りたいなとは思ってたんですけどね。写真のラフを……ホチキスで止めてきたラフをもらった時に、ああ、ライヴの写真集というよりは旅の本だなって。そういうイメージがあって、主にこれ移動だなって思ったんですよね(笑)。
――移動ですか?
高本 ええ。僕はそんな感じがしたんです。ライヴの写真なんですけど、被写体が僕らなのか、お客さんなのか、そのライヴの会場の空気なのか、いい意味でわからないような写真を撮るんで、写真を見たとき、曲のイメージはしやすかった。実際、自分らのライヴの写真を見ながら曲を作るなんてこと、普通はできないと思うんですけど、彼の写真はそれができたんですよね。
――話の順序が逆になっちゃいましたけど、『OUTTA HERE』のツアー(“Edacious cheers Tour”)のことを振り返ってもらってもいいですか?
戸川 だとしたら、かねよ食堂からの流れかな。毎年夏に横須賀の走水海岸にあるカネヨ食堂でイベントをやってるんですけど、その時(2011年8月20日)、たぶんバンドとして初めてだったんじゃないかな。『OUTTA HERE』を1曲目から最後まで曲順通りに演奏したんですよ。そこから前回のツアーは基本、ワンマンで回ったんですけど、ふだんは対バンがいることがほとんどだから、ワンマンで回ることで発見や見つめなおすことも多かったし、自分達なりのルーティーンを組むこともできて、次のライヴ、次のライヴと1本1本改善していけたことは大きかったですね。例えが適切かどうかわからないですけど、ロールプレイングゲームでレベル上げしていってるみたいでした(笑)。
CHUN2 確かに自分達を見つめなおすいい機会になりましたね。
――じゃあツアー中はけっこう生真面目にやっていたんですか?
戸川 僕は真面目にやってました。
CHUN2 僕らはあまり変わらないですね(笑)。
小坂裕亮(K) そうですね(笑)。
戸川 僕はいつも真面目です(笑)。
高本 その時その時、自分達が好きなこととかやりたいこととかを出しているんですけど、正直、それがベストかどうかわからないんですよ。自分達は自信があって、作品も作ってますけど、それが世の中的にも、僕らを選んでくれてるリスナー的にもベストな形でできているかはわからない……と言うか、そんなに気にしたいことはないんですね。いつも自分達主体でやっちゃってるんで。それの辻褄が合わないツアーもありそうだなって、いつもちょっと思ってて。ひょっとしたら、こっちの興奮と向こうのテンションが合わないこともあるんじゃないか。「全然望まれてないじゃん、この形」っていうのがあるかもしれないって不安は、どこかにあるんですよ。いつも好きなことをやってるから。ただ、前回は……前回もですけど、みんなに温かく受け入れてもらって、お陰でいつも通りできたんですね。ただ、もしかしたらいつも通りにならない可能性もあったのかなって、今、振り返ってみると、そんな気もします。すげえ棒立ちで見られて、すげえへこむ可能性もあったなっていうのはありますね。
――あぁ。
高本 ただ、そう思いながらもいつも通り演奏するのがベストだろうなって、また思えたので、自分達にとって、すごく必要だと思えるアルバムを自分達は作ったんだし、その後のツアーも必要だったんだという気はしますね。そのお陰でバンド内の状況もよくなりましたしね。
――10月1日にキネマ倶楽部でやったツアー・ファイナルもいつも以上にハジけてましたよね?
高本 そういう形になっていくのがツアーなのかな。『OUTTA HERE』を作っている時は今までと比べて、ちょっとクールな温度だったよね、音楽的には。
CHUN2 うん。
高本 それでもやっぱりああいうライヴになっちゃうところがいいなって思いました(笑)。
CHUN2 今までだと、気持ちが入りすぎたり、力が入りすぎちゃったりしてたんですけど、前回のツアーはけっこう、どこも自然にできたと言うか、何か、いつもの5人の感じでした。『OUTTA HERE』の時のインタビューで、たっくん(戸川)が「5人の面が見えるようなアルバム」って言ってたんだけど、ライヴでもそれが、いつものみんなの感じが自然に出てて。それを出せるようになってきたと言うか、あまり力まずに、いつも通りに音楽に集中できたっていうのはけっこう大きかったです。
戸川 そう考えると、(『OUTTA HERE』の)レコーディングの合宿状態からの流れが割とツアーでも反映されていた感じはあるね。もちろん、ツアー中、寝泊りは同じ部屋じゃないけど、四六時中一緒にいるから、ニューヨークでレコーディングしていた頃と近い状態にもう一回戻ったよね。
CHUN2 そういうのあるんだね。
戸川 あるんだねぇ(としみじみ)。
インタビュー@山口 智男
Vol4.へ続く